スロウ・ボートのジャズ日誌

ジャズを聴き始めて早25年ほど。これまで集めてきた作品に改めて耳を傾け、レビューを書いていきたいと考えています。1人のファンとして、作品の歴史的な価値や話題性よりも、どれだけ「聴き応えがあるか」にこだわっていきます。




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最近、世間を騒がせている「集団的自衛権」。

報道によると、今月28日から衆院予算員会で

この問題を中心に安全保障政策の集中審議が行われるそうです。


今後の進み具合によっては、日本が戦争に参加するようになるわけですから

とても重要な議論ということになります。


私が気に入らないのは、この問題についての安倍首相の説明の仕方です。

今月15日の安倍首相の記者会見を見たのですが、

冒頭の説明が非常におかしなものでした。要旨を以下に記します。


「海外の紛争地にいる日本人が逃げようとするとき、

アメリカの輸送艦が彼らを運んでくれるかもしれない。

その船が日本近海で攻撃を受けても、日本人自身が攻撃を受けていなければ

日本の自衛隊は守れない。それでいいんですか?」


・・・・正直、「なんのこっちゃ」という話です。

ふつう、集団的自衛権に関して切実に知りたいのは次のようなことでしょう。


「北朝鮮が米軍を攻撃したときに、日本も戦闘に参加するのか」


こうした問題設定は十分ありうることですから、非常に重要です。

国際情勢が変わってきている中、

私を含め国民が軍事のことをほとんど考えてこなかったことは事実でしょうし、

この機会に議論すべきでしょう。


しかし、そんな大切な問いに答えないまま、

一国のリーダーが極めてレアなケースを取り出して

「いまのままではダメですよ」というのは納得できません。

国の根幹を変える重要な問いは表に出さず、

「目くらまし」で逃げきろうとしているからです。


思えば、安倍首相は「原発の汚染水をブロックした」発言に代表されるように、

問題を直視して「正面突破」することを嫌う傾向があります。

そうではなく、本質を隠蔽した上で

自分のやりたいことをいつの間にかスピード処理で押し通していく・・・・

歴代の総理大臣の中でも「クセの悪い人」と言わざるを得ません。


国会の場では、素人の私が思いつく以上の本質的な問いが発せられるはずです。

その問いに対し、首相が真正面から答えてくれることを望みます。


政治家の「論点ずらし」に疲れたところで、「逃げ」のない王道ジャズを聴きましょうか。

アート・ブレイキー(ds)とジャズ・メッセンジャーズの「キーストーン3」です。

このライブ盤が録音されたのは1982年。

ジャズ・メッセンジャーズが60年代末~70年代半ばまでの長い低迷期を抜け出し、

若手の錚々たるメンバーを従えていた時でした。


70年代末、復活を始めた頃の作品については、以前書いたことがあります

 ↓

http://ameblo.jp/slowboat/entry-10753040173.html


今回のメンバーの中で特に有名になったのがウィントンとブランフォードのマルサリス兄弟。

ウィントンはまだ20歳でしたが、すでに圧倒的なテクニックを身につけています。

それでいながら若さゆえのエモーションは抑えきれないところがあり、

後年の冷めたプレイと比べるとむしろ好感が持てます(笑)。

当時21歳のブランフォードはアルトサックスを担当。

その後のテナーに持ち替えたプレイとつい比較してしまうのですが、

線が少し細い感じがあり、こちらも「がんばれ!」と声をかけたくなるひたむきさがあります。


そんな若いフロントを迎えた御大ブレイキーは遠慮せずに彼らを煽り、限界までブロウさせています。

ガツガツしたストレートアヘッド・ジャズを堪能しましょう。


1982年1月、サンフランシスコのキーストーン・コーナーでライブ録音。


Art Blakey(ds)

Donald Brown(p)

Charles Fambrough(b)

Branford Marsalis(as)

Wynton Marsalis(tp)

Bill Pierce(ts)


①In Walked Bud

セロニアス・モンクが作曲したナンバー。

まずピアノのみでメロディが提示され、

一瞬モンク的な「とぼけた」ノリが展開されるのかと思います。

しかし、そこに三管フロントが加わると雰囲気は一転。

急速調で熱いハード・バップ世界がスタートします。

ソロで口火を切るのはブランフォード・マルサリス。

アルトで細かなフレーズを積み重ねていく演奏からは、

汗をかきつつ必死に吹きまくる彼の姿が浮かんでくるようです。

そんなブランフォードをバックでブレイキーが煽ること煽ること。

特にソロの終わりではシンバルが爆発し、

一生懸命な若手にさらなる奮起を促しています。

続くソロはウィントン。こちらは憎たらしいぐらい冷静です。

フレーズにもしっかり長短のアクセントをつけて

しっかり「聴かせる」ソロを構成していきます。

しかし、そんな彼のバックで御大が叩きまくるので

ウィントンもいつしか攻撃的なブロウに走ってしまう・・・

そんなコントラストが「つきそうでつかない」関係が何とも面白いです。

この後、ビル・ピアースのテナー~ドナルド・ブラウンのピアノと続きます。

ブラウンはあまり知られていないピアニストですが、

ものすごく動く手を持ちながら、テクニックにおぼれずスイング感を表出するという

素晴らしい存在です。

全てのメンバーがブレイキーの熱いスピリットに乗せられながら突っ走る、

ハード・バップの王道がここにあります。


③Fuller Love

アルト・サックス奏者で、メッセンジャーズに在籍していたボビー・ワトソンが作曲したナンバー。

おそらく作曲の段階から三管を想定していたであろう、厚みのあるアレンジが印象的です。

ピアノを含むリズムセクションがメロディの一部を反復し、

その上にホーン陣がソロを重ねていくという構成も心憎い。

最初のソロはブランフォード。ここでの彼は激しいリズムの変化にも全く動揺しません。

自信に満ち、スピード感あふれるソロに観客から思わず拍手が出てくるほどです。

続くウィントンはまたもや「冷静ソロ」で、バンドの熱をいったん冷ましますが、

一呼吸置いてからのブロウは非常に熱く、切れ味鋭いものです。

これを受けるピアースのテナーも熱くならざるを得ません。

特に後半はブレイキーと共に「咆哮」と言うべきブロウで盛り上がります。

そして、ブラウンの切れ目ないフレーズで「うねり」を作っていくかのようなソロ。

くらくらするようなスピード感でバンドはラストのメロディに突入していきます。

最後は三管同時のブロウ大会!

そこから一瞬のブレイクで聴衆をハッとさせるアレンジは

この時期のバンドの充実具合を示しています。


以前の記事でも紹介した、ブレイキーに関する本(『ハードバップ大学』アラン・ゴールドシャー著)に

以下のような記述があります。

ピアニストのドナルド・ブラウンの回想です。


「わたしの書いた曲をアレンジしていたときのことだ。

アートが『おまえのコードには、もう少し重みが必要だ』と言った。

わたしは何のことだか分らなかった。

すると彼はピアノに向かい、実例を示し始めた。

彼はピアノを弾いて、ルートと五度の音を使って演奏すれば、

より伝統的なヴォイシングになることを教えてくれたんだ。

わたしはふだん、よくそんなふうに演奏していたけれど、

それが効果的だとは思い浮かばなかった。

アートは一流のピアノ奏者だった。

そして、彼は自分のメッセージをはっきり相手に伝えることができた。」


本物のリーダーというのは、自分の「専門外」のところでも

部下に的確なメッセージを伝えることができるんですね。


我が国のリーダーにもごまかしではない、率直なメッセージを発してもらいたいものです。

それが反発を呼んだりするものであれ、正面切って発言することが

政治家として最低限のモラルではないでしょうか。

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ヴォランティアード・スレイヴリー


けさ、朝日新聞を読んでいたらウクライナ情勢について興味深い論評がありました。

この混乱は「二つの異なる世界観の衝突」だというのです。


国際政治学者の藤原帰一さんが寄せていた文書を簡略化してご紹介させてください。

藤原さんによると、今回、「自由世界の論理と国民国家の論理のぶつかりあい」が

あるというのです。どういうことか。


そもそもウクライナには親ロシアの政権がありました。

この政権が今年に入って欧米寄りの野党勢力によって倒されてしまいました。

するとロシアが反発、クリミアを併合したという経緯があります。

そして、これに派生する軍事的な緊張がいまも続いています。


藤原さんによるとウクライナ危機は欧米とロシアで

まったく異なる受け止めをされているそうです。

欧米側は親ロシア政権の崩壊を

「民主主義を踏みにじる政府を市民が倒した」ものとしている。


これに対し、ロシア側は「全く違う物語」を持っている。

去年からロシアの国営放送は

「ウクライナ各地でテロリストがロシア系国民の安全を脅かしている」と

繰り返し伝えていたそうです。

冷戦の終結で「負け組」となったソ連が解体し、

ロシアの周囲にはロシア系住民が少数派となる国が多くできてしまいました。

かつての地位を失ったロシア系住民は、

欧米寄りの勢力によって「迫害される側」なので、助けなくてはいけないというのです。


話が難しくなってきましたが、欧米から見ると

親ロシア政権の崩壊は「自由世界の拡大」という「正義」につながります。

しかし、ロシアから見ると

「欧米寄りの勢力から迫害されているロシア系住民を助ける」という、

ナショナリズムに支えられた「正義」があるということになります。

この二つがぶつかり合っているというのです。


正直、欧米寄りの見方に慣れていた私には「目からウロコ」的な指摘でした。

ロシアには「欧米から圧迫されている」というイメージがあり、

それにひるむことなく国内・国外のロシア人を守ろうという発想があるとは

思っていなかったからです。

私も藤原さんと同様、ロシアの軍事行動は出口のない愚かな行動だったと考えます。

しかし、同じ事象が立場の違いによって全く異なって見えることがある、という点は

グローバルな時代の中で注意しなくてはいけないでしょう。


ずいぶん長々と書いてしまいました。

今回は「異なる見解」を持たれ続けているジャズ・ミュージシャンの作品を聴いてみましょう。

ローランド・カークの「ヴォランティアード・スレイヴリー」です。


ローランド・カークについては、以前このブログで取り上げました。

http://ameblo.jp/slowboat/entry-10280523282.html


彼についてのプロフィールはこの記事にまとめられているので省略します。

ここで言っておきたいのは、彼についての評価が非常に分かれているということです。

複数の楽器を口にくわえて吹く、といった外見から

「まっとうな」モダンジャズファンからは早くから遠ざけられていたようです。


しかも、60年代後半からはゴスペルのコーラス隊を加えたり、

ソウル・ミュージック的な要素も増してきたりで、

ますますメインストリームから外れた存在として位置付けられてきました。


しかし、音楽に素直に耳を傾けると、「魂の叫び」に

非常に素直に従っていることがわかります。

形式にとらわれず、エモーションを大切にしたジャズの原点を

この人は追い続けたのでしょう。

そう考えると、彼こそジャズの「王道」を進んでいたという見方もできます。

いま、ネットで検索すると「カーク応援団」とも言うべき多くの人が

彼の再評価を求めていますが、それも分かる気がします。


「ヴォランティアード・スレイヴリー」は彼の「ごった煮」性が

あふれた作品として知られています。

曲もカークのオリジナルからスティービー・ワンダー、

バート・バカラック、コルトレーンまでさまざま。

好き嫌いは分かれると思いますが、聴いてみましょう。


1969年7月22~23日、NYでのスタジオ録音と

1968年7月7日のニューポート・ジャズ・フェスティバルでのライブ録音。


Roland Kirk(ts,fl,nose-fl,manzello,strich,gong,whistle & vo)

Charles Mcghee(tp)

Dick Griffin(tb)

Ron Burton(p)

Vernon Martin(b)

Sonny Brown(ds)

Jimmy Hopps(ds)

Charles Crosby(ds)


①Volunteered Slavery

カークのオリジナル。

1960年代の音楽というのは、鈴が鳴りだすとそれだけで

何とも妖しい雰囲気を醸し出すのですが、

この曲の冒頭も鈴と野太いテナーで始まります。

そこに絡み合ってくるのは民族音楽にも聞こえる雑然としたコーラス。

文章では表現できませんが、胡散臭さ全開です。

しかし、この整理のなさがとてつもないエネルギーを生み出します。

この後、ブラス隊がビートルズの「ヘイ・ジュード」のメロディを

繰り返し引用しながら吠えまくるのですが、

その力強いこと!

ジャズというよりはブラック・ミュージックとしか言いようのない世界ですが、

「ソウル」が感じられること間違いなしの演奏です。


③My Cherie Amour

ご存じ、スティービー・ワンダーの大ヒット曲です。

ホイッスルで入るという驚きの「入り」も楽しいのですが、

ここではカークのフルートの「温かさ」を聴いてください。

全く奇をてらうことなく、ストレートにメロディを吹くカークの音に

どれだけ愛情が満ちていることか!

「とにかくこの曲が好きでたまらない!」と言わんばかりの演奏、

聴く者に元気を与えてくれます。


⑤I Say A Little Prayer

こちらもイントロが印象的。入りのテナーの咆哮に加え、

なぞの「語り」からは、フリージャズが始まるとしか思えません。

それが一転、ブラス隊とともにバカラックの「あのメロディ」が

始まるではありませんか!

ビートの激しさに、一つ間違えばB級チンドン屋になりかねない進行ですが、

ピアノ・ソロとトロンボーンが交錯するあたりから

ただならぬ「ジャズ感」が広がってきます。

あまりのパワーの発散に、ここまでくると「ライブ盤か?」と勘違いしてしまうほど。

終盤、コルトレーンの「至上の愛」まで引用したカークのソロが圧巻です。


⑨A Tribute To Coltrane

今回ご紹介するなかでは唯一のライブバージョン。

タイトル通り、コルトレーンなじみのナンバーをメドレーで演奏しています。

「ラッシュ・ライフ」は入魂のバラッド。これを聴いてカークの

「ストレートさ」にびっくりする方もいるでしょう。

ここまで抑制された表現ができるとは・・・・

しかし、続く「アフロ・ブルー」で静けさから一転、

コルトレーンの「ライブ・アット・バードランド」と同様の激しいソロが爆発します。

モード奏法の中でここまでエネルギーを注入できるのは

カークとコルトレーン以外にいないのではないでしょうか。

その後、コルトレーンのオリジナル「ベッシーズ・ブルース」では

一転して4ビートで攻めます。

このあたりの冷静な展開を聴いていると、彼が計算し尽くされた演奏を

難なくできてしまう実力の持ち主だということが分かります。

スタジオ録音での「ゆるさ」もねらいどおりで、

全ては自分のパワーを最大限生かすためにやっているのではないか・・・

カークの実力と幅広さ、おそるべしです。


おそらく、カークは「わが道を行く」と決めて、

最後まで自分のスタイルを貫いていったのでしょう。

外部から「異なる見解」を持たれようと、関係なかったのかもしれません。


しかし、ウクライナのように大国の介入を受ければ

「わが道を行く」とは言っていられません。

しかも、二つの異なる世界観は容易に相容れることができない。

あとは戦争という最悪の結果を避けるために

どこかで妥協するという現実的な選択肢しかないのでしょうが・・・

「欧米の正義」だけが通用しない難しい時代に私たちはいるようです。

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フォー・リアル


1年以上にわたってお休みしていたブログを久しぶりに書くことにしました。

更新しない状態の中でも、ジャズ作品のレビューとして

記事を利用してくださったみなさん、ありがとうございました。

今後も「気まぐれ」で書いていくことになるかと思いますが、よろしくお願いします。



きょう、パソコンに向かうことにしたのは

昨今の「ことば」をめぐる状況があまりにもひどいと思ったからです。

その張本人とも言うべき人が、我が国のリーダー・安倍首相です。

「戦争ができる国になる」ことを「積極的平和主義」と呼んだり、

「与党にしっぽを振る野党」のことを「責任野党」と言う。



けさの新聞を読んでいると、政権は外国人労働者の受け入れを

増やす方針を決めたそうです。

東京オリンピックに向けて人手不足が心配される建設業や、

介護や農業、家事支援でも受け入れ拡大を検討するとか。



私が許せないと思ったのは、安倍首相の以下の発言です。

「移民政策と誤解されないよう配慮しつつ、

外国人人材の活用について検討を進めてほしい」

・・・この人の「ことば」に対する不誠実さはどこまで続くのでしょうか?



私のように北海道という地方に住んでいるとよく分かるのですが、

この国は実質的に「移民」を受け入れています。

農業や水産加工場などでは「外国人技能実習生」といった名目で

戦力として働いている人たちが大勢います。

確かに、日本での滞在期間は3年間で永住は認められていません。

しかし、実際に居住して「縁の下の力持ち」的な働きで

私たちの暮らしを支えている人たちがいるのです。



政権の方針のように、これから追加で働ける期間を設けたり、

いったん帰国しても再入国を認めるということになれば、

彼らの生活基盤は明らかに日本となるでしょう。

この現実を「移民政策」と認めず、「仮住まい」の人たちに

まっとうな権利を与えないという非人道的な措置をいつまで続けるのか。

外国人を「使い勝手のいい人たち」としてしか考えていない

意図と欺瞞が見え見えで、気分が悪くなります。



もっと現実を見て、正しい「ことば」を使おうよ・・・・

今回はそんな思いを込めて、タイトルに偽りなく

「リアル」をしっかり見据えた作品を聴いていきたいと思います。

ハンプトン・ホーズ(p)の「フォー・リアル」です。


ハンプトン・ホーズについては、このブログでも過去に取り上げてきました。

http://ameblo.jp/slowboat/entry-10323097321.html

http://ameblo.jp/slowboat/entry-10665145489.html


非常によくスイングするピアニストで、今回の作品でも好調です。

その理由として、ベーシストがスコット・ラファロということもあるでしょう。

録音が1958年なので、ラファロがビル・エヴァンス(p)と活動を開始する

前の年ということになります。

この頃からすでに相当なグルーブを持っていたことが分かります。


1958年3月17日、ロサンゼルスでの録音。


Hampton Hawes(p)

Harold Land(ts)

Scott La Faro(b)

Frank Butler(ds)


②Wrap Your Troubles In Dreams

「夢に悩みを忘れ」という邦題があるスタンダード。

この曲は多くのジャズマンが挑戦していますが、

ホーズはかなりブルージーなアプローチをしています。

導入はピアノトリオで、テンポはやや遅め。

どこまでしっとりいくのかなと思ったところで、

ハロルド・ランがメロディーを歌いあげます。

これが、彼にありがちな一本調子ではなく、

前のめりながらもちょっと抑えたいい演奏です。

ソロに入ってもこのトーンは変わらず、

味わい深いものになっています。

続いてホーズのソロ。

ややタッチを重くして、一つ一つの音に

印象を与えようとしているかのようなプレイです。

それでいながら、音には明確なつながりがあり、

いつのまにか彼のブルースにどっぷり浸かってしまいます。

彼が残したバラッドの中でも指折りの出来ではないでしょうか。

この後、ラファロの力強いベースソロを経て、

再びランドが登場、エンディングへと向かいます。


⑤For Real

ホーズ作曲のタイトル・ナンバー。

まさに彼らの「リアルな」実力が現れた作品です。

イントロはラファロの勢いあるウォーキング・ベース。

ミドル・テンポながら切れとノリの良さにぐいぐい引き込まれます。

続いてはランドによるメロディとソロ。

こちらもお得意のブルースを伸び伸びと吹いています。

しかし、なんといってもここでの注目はホーズの「黒い」ピアノ・ソロ。

音数はあまり多くないのですが、次第にテンポアップするに従い、

左手からガツンと来るアクセントと合わせ、

どんどん深いブルースの世界に引き込んでくれます。

オーバーな表現がどこにもない、それでいて実力の深さが分かる

素晴らしいソロです。


「嘘のない」ストレートなジャズを聴いてすっきりしました。

我が国のリーダーにも「ごまかし」や「事実を覆い隠す」言動は

控えてもらいたいと思います。

そんな「ことば」が横行して無力感が漂うことによって、

間違いなく国力というものは落ちていくでしょうから。

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