今日の最高気温、35.6度ということで、これは今日の集金は無理かもしれない・・・
とりあえず、16時半に帰宅してからRejet楽曲でエネルギーチャージ。
この暑さと〆日のことを考えて…18時半から1時間だけ回ってきました。
日中よりは涼しくなってるとはいえ……暑い。


さて、こんな暑苦しい中、今日はこちらの感想です。



大正偶像浪漫「帝國スタア」 四番星 不二

ボイスは木村良平さん

では、いつものように、ネタばれは困るのって人や
こういうのって興味ないんだよねって人は
このまま回れ右してお帰りくださいね。

























さて、この作品長いです。
軽く2時間を超えてきます。
時間と心の余裕のある時に聞きましょう。
それというのも・・・・・・・

私、昨夜号泣しましたから!

もう、声あげて泣きましたから!

本気で泣き過ぎて、キチャナイ話、涙だけでなくて鼻も出て(苦笑)、ティッシュで涙拭いてるんだか、鼻かんでるんだか状態。
鼻は詰まって息が苦しいし、自分の鼻をかむ音でせっかくのキス音が聞こえません、なんてことに(爆)
きっと、たぶん、二度目はここまで号泣しないだろうから、キス音はその時に楽しむことにして(ムフ)



今までの帝國スタアたちとの出会いは、あまり良い出会いではなかった。
わたしが平民だから、女学生のクセにオーナーだから、何かと疎まれ蔑まれ・・・

ところが、不二は違う。
不二だって華族の出で軍人一家のお金持ち。
使用人を何人も抱えている大邸宅に住む裕福な人。
淡々とした口調ではあるけれど、わたしのことをオーナーと認め、他の帝國スタアたちの所業を代わって詫びたりする。
わたしの不二に対する印象はすこぶる良い。

そして、不二の演技も素晴らしい。
普段の淡々とした口調とはまるで違い、役者になるためにスタアになるために生まれてきたという感じがする。
セリフは完璧に覚え、演出家からの演技指導にも的確に応える。(やりすぎってこともあるけれど)
自主練などの努力も惜しまない。

そんなある日。
彼宛ての花束を彼の楽屋に届けてあげた。
『自分には必要の無いものなので、後ほど自分が処分します』

そんな彼の言葉に、一抹の不安を感じた。
(もしかしたら、わたしが見ていた不二は、ほんの一面なのかもしれない)

すぐさま、その不安は現実のものとなる。

『これから任務で女性をかどわかしに行かなければならないので先に失礼します』

え?
何を言ってるの?
そんなことをしてはいけない、と止めるわたしを椅子に縛り付ける。
荒縄で両手も両足も固定される。
声も出せないように、さるぐつわをされる。

彼の、不二の声はとてもとても冷たい。
普段から淡々とした話し方だとは思っていたけれど、彼の心がまるで見えない。
感情が無いかのような声と荒縄の痛みに恐怖を覚える。

しばらくして戻った不二は『任務には失敗した』と告げた。
『報告しに行かねばならない』と言う。
誰の命令だったのかと尋ねると、『母』だと答える。
戦死した父と兄の次に不二に命令を下していたのは、彼の母親。


不二から電話が入る。
『母が首を吊って死んでいる。自分はどうすればいいのか』、と。
使用人に葬儀やもろもろの手配をするように指示をするように告げた。
ところがその日から連絡が一切ない。
さすがに心配になって彼の屋敷へ行ってみると、雨の中庭に佇んでいる不二を見つけた。
あれから4日間、眠らず食べず、ずっとここに立っていたのだと。
母を慕って?
いや、違う。

命令を下す人物がいなくなってしまったから。

母が『帝國スタア』として舞台に立つようにと命令をした。

彼が生きる意味は、命令を下す上官である母の死と共に無くなってしまった。


これじゃ、ダメだよ。
ちゃんと食べて、ちゃんと眠って、そして、舞台に立ってほしい。

『それはあなたの命令ですか?』

このままだと、衰弱死してしまう。
彼を救うには・・・

『そう、これは命令。ちゃんと食べてちゃんと寝て、体力を戻して帝國スタアの四番星として舞台に立つこと』

あれだけ虚脱していた姿が嘘のように、みるみる活力が戻ってくる。
『何をしてほしいですか?命令してください』
わたしは小さな『お願い』をすることにした。
わたしのちょっとした手伝いだったり、帝國スタアの四番星として舞台に立つことも。

ある夜。
彼が自主練習しているところに遭遇した。
どうしても役の気持ちが掴めずに、このままだと役を降ろされてしまうのだと。
立っているだけでいいから相手役になってもらえないかとお願いされた。
もちろん、快く引き受けたのだけれど・・・・・・

ヒロインの婚約者である不二が演じる人物は、ヒロインが自分を裏切ったことを知り、彼女を鎖に繋ぎ責め立てる。
そんなシーン。

わたしの両手両足を鎖で拘束していく。
蘇るあの日の記憶。。。

このシーン、本当に本当に怖いです。
あちこち触れられ、キスされ、舐められ・・・
一見すると甘いシーンになりそうなのに、『感情の無い』不二に触れられてもキスされても、そこには恐怖しかない。
(とはいっても、ゾクッとして思わず声が出ちゃったりしますけど)
そして、心底後悔した。

『彼に命令なんてするんじゃなかった』

この日から不二に命令(お願い)することは止めました。
どうすることが一番良い道なのか、分からない。

彼が衰弱死してしまうという事態は回避できたけれど・・・
わたしは、パンドラの箱を開けてしまったのかもしれない。


彼を避け続けるわたしを屋敷の座敷牢に監禁する。
命令を下すはずのわたしが、命令することを拒否する。
自分の存在意義、生きる意味を見失い、なぜわたしがこういう行動をとったのかの理解ができず、混乱していく。
壊れていく。

折しも、次の演目は『美女と野獣』。
野獣の恐ろしい見た目を気にせず接してくれていたヒロインを傷つけ、
『もう二度と私に手を差し伸べてくれることはない』

美女と野獣が、自分とオーナーに重なる。

野獣の気持ちが、分かる、分からない。
自分の気持ちが、分かる、分からない、分からない。

幼いころから押さえつけられてきた『感情』というもの。
自分には感情は無いと思い込んできた。
命令されること、それだけが真である、と。

けれど、何かが違うのではないか、そんな思いが湧き上がってきた。

その時、9月1日。
関東大震災。
その強大な揺れは、不二の屋敷も壊していく。

わたしは瓦礫の隙間に入り込んだ状態になってしまった。
幸い怪我はしていない。
不二も、無事。
揺れは一度ではない。
小さく瓦礫が崩れるくらいの揺れが続く。

『命令です。わたしを置いて、ここから逃げなさい』

いつも命令には忠実であった不二の初めての命令違反。
私の周りにある瓦礫をかろうじて持ち上げ、わたしは這い出る。
そこへ、再び強い揺れ。
瓦礫が、降り注ぐ。


ここから、私は泣きっ放し。
頭の中では『不二、不二』と叫び続ける。
『死なないで』と叫び続ける。

数日間、意識不明だったものの、彼は生きていてくれた。
ただ、『もう役者はできない』という言葉から、痕が残るひどい怪我をしているのだろう。
大帝國劇場の再建のめどが立ったころ、大陸へ旅立つことを告げられた。

自分のこれからの生き方を探すため。
生きていく目標を探すため。
新たな道を見つけるため。

彼の前向きな姿はとてもたのもしく、応援してあげなければいけないと思った。
頭ではね。
でも、心は違う。
自分の命に代えてでもわたしのことを守ろうとしてくれた彼の思い。
彼が死んでしまったと思った時のわたしの心の苦しみ、痛み。
わたしは不二のことを愛してる。
もう二度と離れたくはない。
大陸なんかに行って欲しくない。

でも・・・・・・


きっとわたしはいくつかの道を想定していた。
潔く諦めるという選択肢は、わたしの中にも、私の中にも無い。

1つは、出港は取り止めて、わたしと共に大帝國劇場の再建をする。
1つは、無理やりわたしも船に乗り込みついていく。
1つは、不二の意思でわたしを連れていく。

たぶん、聖四郎に自分が戻らなかった時にはオーナーになって劇場の再建をしてほしいとか頼んでいたに違いない。


幸いなことに、一番望む道が選ばれた。

不二の『意思』でわたしを離したくないと、このまま一緒に連れていく、と。


わたしを追い上げていく彼の手と唇は、やっぱりちょっとイジワルで。

だけど、感情がこもった『愛してる』の言葉で全て許してしまえる。

嬉しくて、幸せで、再び涙が止まらなくなりました。




感情に蓋をする。
それは私にも経験のあることで。
その蓋を取りはらう。
あるいは心の殻を壊す、というのも経験ある。
というよりも、現在進行形なのだけど。

不二に手を貸すってできるんだろうか。
私は彼を受け止めることができるんだろうか。
私には荷が重いのではないだろうか。

そんなことを感じて、ちゃんと着地できるのだろうかと思ったりしましたが、そこはきちんと見事に着地を決めてくれました。


『帝國スタア』
私の存在が、相手を成長させる、成長CD。
今回は、わたしも一緒に成長した。
そんな気がしました。






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