交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


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 平成28年度「NHK中四国ラジオドラマ脚本コンクール」で佳作に輝いた『誰が言うた、
あまが言うた』(作・朱花かの子)の作品評を掲載します。


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『誰が言うた、あまが言うた』(佳作)  作・朱花かの子


 明治時代の末期、高知県。珊瑚獲りを背景に、村を出て広い世界(都会)に行きたいと
願う澪(17歳)に、恋心を抱く地元漁師の豊吉(20歳)と、神戸出身で流れ者漁師・航平
(22歳)の物語です。


 審査員8人中4名が1位評価をしましたが、私はまったく(1~3位)評価できません
でした(もう一人評価をしなかった審査員がいました)。主人公である澪の心境の変化に
疑問があるのと、クライマックスからラストにおける展開にも疑問があったからです。
 当初澪は、神戸から来た航平に憧れて「航平さんのためならいくらでも珊瑚を獲ってあ
げる」と入れあげます。途中も航平を信じ、一緒に神戸へ行くことを願っています。それ
がラストで、豊吉が獲った珊瑚を航平が持ってきたと知ると、態度が急変します。「盗ん
だが?」と訊き、「そんな人やった?」と問い詰めます。あたかも航平が変わったように
展開していますが、変わったのは澪だと受け取りました。あれほど頑なに航平を信じ、神
戸で珊瑚を騙し取られた話も(本当かウソかは不明だが)信じたのに……なぜここでは疑
い、それだけで急変して航平を嫌ったのか? 強引に着地させた感じで、納得できません
でした。
 別の観点として、澪も、豊吉から聞いた珊瑚がある場所へ抜け駆けして獲りにいってい
ます。「(情報を)盗んでしもうた」と自責の念を抱いています。なのに航平に対する一
転(泥棒呼ばわり)は「何とも都合のいい小娘だな」という印象です。この辺をもっと広
げて“17歳の揺れ動く心境”が表現できていたら、ラストの急変も理解できたかもしれま
せん。


 澪の心境の変化を描いた展開にも疑問が残りました。
 航平が「明日4時に港で待っとく」と澪に言います。それは午前4時のことか? 午後
4時か? おそらく前者だと思います。しかしその後の展開で澪は(モノローグで)「夕
方、人目を避けるようにして祖父の船に荷物(水とちょっと着替え)を運んだ」とありま
す。この“夕方”とは、航平が「明日4時」と言った“その日(明日)の夕方か?”と勘
違いしそうです。つまり4時とは“午後4時”のことだったのか、と思えます。さらに進
展して澪が(モノローグで)「まだ外は暗い。うちは港へと急いだ」とあります。今度は
“午前4時か”と思えます……非常に紛らわしい言動(描写)です。そもそも人目を避け
たいなら荷物を事前(前日の夕方)に運ぶ必要があるでしょうか。午前4時のときに一緒
に持っていくのが自然の流れだと考えます。
 航平の行動にも疑問が残ります。その日泊まった船小屋で見つけた珊瑚を事前に船に運
んでいます。これも不自然でなりません。


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