交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


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 脚本コンクールの選考基準は、審査員それぞれが持つ『脚本論、ドラマ論』
によります。しかも同じ審査員においても毎年同じ観点で審査しているかとい
うと、必ずしも「Yes」とはいえないでしょう。その年の作品傾向や作品技
量が影響すると思います。そして、なんといっても審査員自身もいろいろな作
品を書いたり読んだり制作したりして、考え方に変化(成長)があるわけです
から、基準の変動はあっても不思議ではありません。
 モノローグ作品でもその淡々さ(退屈さ)を上回るおもしろさがあれば評価
されます。今回『問わず語り』『真っ赤な夜の出来事』については、そのおも
しろみが見当たらず、逆にモノローグの多用以外に疑問点のほうが目立ったた
め、評価には至りませんでした。詳細は作品評のとおりです。


イチオシが落選… (2013年12月17日掲載/審査結果と総評)
入選『問わず語り』の作品評 (2013年12月18日掲載)
佳作『真っ赤な夜の出来事』の作品評 (2013年12月19日掲載)
『Iターン ~工藤さんちの場合~』の作品評 (2013年12月20日掲載)


 決してモノローグやナレーションの多さだけでプラス点マイナス点をつけて
いるわけではありません。モチーフの観点、ストーリーを組み立てる構成力、
それらを表現する台詞やテーマ、そして作品全体が印象づける“世界観”で判
断しています。これはほかの審査員も同じだと信じています。要するに“バラ
ンスの問題”です。百点満点を獲るのは非常に難しい世界です。
 作品を評価する心得として“なぜそう評価するか”に気をつけています。根
拠なくして好評も酷評もしません。根拠は、もちろん脚本内に書かれたエピソ
ードや台詞から読み取れるものです。そこを指摘します。
 ほかの審査員の評価はここでは紹介できませんが、応募者には結果・総評・
作品評を掲載した冊子が送られています。読み比べてほしいものです。それぞ
れが正論を云っているはずです。受賞作品の公開(掲載)があればいいのでし
ょうが、残念ながら現在はありません。改訂後の作品になりますが放送化され
たものを聴き、ご自身が評価してみるものいいでしょう。「好き嫌い」の感覚
的なものもあるでしょう。そのうえで“自分が審査員だとしたら”と想定して
客観的に評価することが、必ずや創作の糧になります。


 過去にモノローグ多用作品でも評価したものもあります。平成19年度に佳作
を受賞した『モモと見た夢』(作・大山淳子)です。独特の世界観がありまし
た。選考会では、かなりプッシュしました。反面、ほかの審査員の評価はそれ
ほど高くなかったと記憶しています。


オーソドックスと奇抜の争い (平成19年度の総評)
佳作に成り下がった作品 (平成19年度佳作『モモと見た夢』の作品評)


 改めて平成19年度の冊子を読み直しました。ほかの審査員の作品評の短さに
驚きました。ほとんどがモノローグ多用のマイナス面を「朗読劇的、小説的」
と指摘し、プラス面としては様々ですがひと言ふた言の程度でした……。


 ──どうやら私の選考基準は、ほかの審査員とは違うようです。(微苦笑)


 ちなみに……
 大山さんは、その後TBS・講談社の「ドラマ原作大賞」で『猫弁』が大賞
に輝き、現在は小説や脚本で立派にご活躍されています。(喜)


ぶんぶん館 【大山淳子 公式ホームページ】



 最後になりますが……
 この記事を書く切っ掛けとして記事『イチオシが落選…』(2013年12月17日
掲載)に、水本爽涼さんからコメントがありました。
   *---------------------------------*
   (前文略)
   坂本さんのイチオシ作が落選とは…。
   ということは、入選作は他の審査員の押した方々が多かった・・という
   ことですね。坂本さんからすれば、必ずしも優秀作がON AIRされ
   る訳ではない・・ということになりますね。
   モノローグを5%以内に抑えた優秀作を聴きたいものです。
   *---------------------------------*


 ラジオドラマでモノローグやナレーションのない作品あるいは少ない作品は、
今は希少だと思います。審査員たちがモノ・ナレの否定論を唱える一方で、応
募作品はほとんどといっていいほど多用傾向にあります。未確認ですが、ほか
のラジオドラマコンクールでも同じだと思います。またコンクール作品に限ら
ず脚本家が書いた放送化作品にしても、多かれ少なかれモノ・ナレを耳にしま
す。ラジオドラマだけでなくテレビドラマにおいてもです。


 ──そんな時代(ドラマ界)なのでしょう。(怒&哀)


 ならば、それを逆手にとってモノローグだけのラジオドラマ作品というのも
おもしろいかもしれません。おそらく“一人芝居”という展開になるのでしょ
うが、メリハリと惹きつけあるモノローグで綴れたら、それはそれで逸品とい
えるかも……。


 5%以内に抑えた作品……
 手前味噌ですが、当ブログで公開しているラジオドラマ脚本『夢の香り』は
モノローグを使っています。四百字詰めで総数55枚です。モノローグ部分を集
めると2枚と数行(およそ4%)になります。


ラジオドラマ脚本『夢の香り』(前編)
ラジオドラマ脚本『夢の香り』(後編)


 この作品は、1994年度NHK広島ラジオドラマ脚本コンクール(現在の中四
国ラジオドラマ脚本コンクール)の落選作品です。当時の審査員のコメントと
して「モノローグの多用が気になる」とありました。しかしながら、後日担当
ディレクターより電話があり「別枠としてFMシアターで放送したい」とのオ
ファーをいただきました。
 落選作品でもディレクターの裁量で放送化に向かう場合もあります。
 その縁(お陰)もあり、1996年度から中四国ラジオドラマ脚本コンクールの
審査員をさせていただいています。(感謝)


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