交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


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 平成25年度『NHK中四国ラジオドラマ脚本コンクール』の審査結果が発表
になりました。私の総評を掲載します。


入選 『問わず語り』     浅川徳義【神奈川県】
佳作 『真っ赤な夜の出来事』 田中 摂【東京都】


そのほか最終選考作品(受付順)
   『初恋パティシエ』        西原雨里 【千葉県】
   『虹のメメント・モリ』      梶川洋一郎【広島県】
   『Iターン ~工藤さんちの場合~』 安藤恵美子【神奈川県】
   『おことと甚六』         大津寄 衞 【千葉県】
   『ANNIVERSARY ~夢幻の砂丘へ~』 水村節香 【大阪府】
   『菜の香の徒然草』        竹内カノン【東京都】
   『花咲美川村の愛子』       飯倉 泉  【愛知県】
   『残らないなんてことはないのだ』 倉持亨丞 【埼玉県】
   『左脚の記憶』          栗栖恵子 【広島県】
   『とんぼのめがね』        神橋伊乃 【北海道】


中四国ラジオドラマ脚本コンクールの審査結果 【NHK松山】



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【総評】
 応募総数96作品と、例年(60作品前後)の5割増しになったのは喜ばしいこ
とです。応募者の年齢層も十代から七十代と幅広いものでした。その分、入選
佳作を争う作品も多様化するかと期待しましたが、最終選考に残った12作品の
うち賞撮りを争えたのは『Iターン~工藤さんちの場合~』『真っ赤な夜の出
来事』『問わず語り』の3作品でした。ほかは類型的なテーマ・ストーリー展
開・人物像であり、私がよくいうところの「脚本は成立してもドラマ性が足り
ない」といったところです。
 賞獲りを演じた3作品の持ち味ですが、『Iターン…』は豊かな人物像と明
確なテーマを主張した作品、『真っ赤な…』は素材の選択とミステリー調の融
和で描いた作品、『問わず語り』は二人芝居で独特の雰囲気を醸し出した作品
です。とはいうものの私が評価し入選に推薦できたのは『Iターン…』のみで
した。
 『Iターン…』は主人公自身に降りかかった問題に取り組んでおり、借金、
貧乏、無職といったマイナス背景にもかかわらず、エネルギッシュで希望に満
ちたオモシロイ作品です。主人公そして家族が直面した問題を正面から捉えて
います。一見唐突な話にも思えますが、展開に論理がうかがえます。とにかく
人間性が豊かで「家族で暮らすのが一番」というテーマもしっかり描かれてい
ます。主人公の心境や世の中に対する見方に変化がうかがえ、混沌とした今の
世の中に和みと活力を与えてくれるドラマです。


 ドラマにとって“変化”は重要な課題です。
 ストーリーの変化(展開)は当然です。人物が登場し出逢ったり別れたり何
らかの問題に直面し、それに対処すべく行動や会話を繰り広げていきます。こ
れらなくして物語は進展しません。
 ではストーリーが展開しただけでドラマといえるでしょうか……。
 どんなに巧妙な設定や情感溢れる背景を伝えたとしても、その中に存在する
人物の心境(葛藤)が“設定や背景以上”に描かれないと、さらには物語が進
むにつれて“人物像の変化”が理解そして共感できないと、真の意味でドラマ
とはいえません。


 ほかの2作品は“人物像の変化が希薄”と判断しました。『真っ赤な…』は
人物像の着地点に疑問が残り納得できません。『問わず語り』は淡々としすぎ
て変化に及ぶ感情面が伝わってきません(2作品の詳細は作品評にて)。
 しかしながら結果は入選『問わず語り』、佳作『真っ赤な夜の出来事』でし
た。3作品において議論を交わしたのち決選投票を行いましたが、『Iターン
…』は受賞に届きませんでした。当初12作品での投票では、私を含めて3名の
審査員から1位(入選)の支持を得たにもかかわらず、総合点でほか2作品に
抜かれたのが、その後の議論や決選投票に影響したのでしょう。
 とても残念です……。


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入選『問わず語り』の作品評 (2013年12月18日掲載)
佳作『真っ赤な夜の出来事』の作品評 (2013年12月19日掲載)
『Iターン ~工藤さんちの場合~』の作品評 (2013年12月20日掲載)


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