交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 今年のフジテレビの脚本募集『ヤングシナリオ大賞』で26歳の小山正太さん
が、大賞『人生ごっこ』と佳作『オナラまで、愛してほしくて、三千里』のダ
ブル受賞に輝いたことは、脚本コンクールの応募者であればすでに話題沸騰で
しょう。


受賞者発表!史上初の大賞&佳作のダブル受賞… 【フジテレビ HPより】


 どんな人かと、名前でネットサーチしたところ『公募ガイド編集部ブログ』
に以下のような掲載記事(作品)を発見しました。同一人物か同姓同名の別人
かは未確認ですが、いずれにしても実力者であることをうかがわせる作品です。


創作トレーニング実習 第23回発表 【公募ガイド 編集部ブログ】

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創作トレーニング実習 第23回発表

第23回の課題は、「浦島太郎は最後に玉手箱を開けておじいさんになってしま
いますが、この伏線となる説明または場面を書いてください」でした。
なるほど、未来の分まで先に使ってしまったのですね。


■第23回採用作  小山正太


 太郎は竜宮城でフィーバーしていた。毎晩、人魚たちと踊ったり、騒いだり。
それだけのことで、時間が経つのも忘れるくらい楽しいのが不思議だった。も
っと不思議なのはこれだけ動きまわっているに、疲れが溜まらないことだ。
 その日も太郎は一緒に踊った人魚をナンパしていた。
「僕もそうだけど、君も疲れ知らずだね」
「当たり前じゃないですか。竜宮城は未来のバイタリティとエネルギーを今使
うことができるんですよ」
「面白いこと言うなぁ。じゃあここを離れたら疲れがどっと押し寄せてくるわ
けだ」
「疲れなんて封じ込めておけばいいんですよ、例の……」
 人魚は太郎が二本足であることに気づき、押し黙った。
「地上からのゲストの方につまらない話をしてスミマセン。疲れ知らずならも
っと踊りましょ」
「若いね」
「まだ200歳ですから」
「えっ?」
 自分の聞き違いだろうと、太郎は気にせず踊りはじめた。


                               (了)


            【公募ガイド 編集部ブログ 2012.06.15記事より】
             *-------------------------------------------*


 『浦島太郎』は誰もが知るおとぎ話です。
 子どもたちにいじめられていた亀を助けたことで竜宮城に案内された浦島太
郎は、そこで楽しい数日を過ごします。村に戻るとき乙姫様から玉手箱をもら
いますが、「決して開けてはなりません」と告げられます。村に戻った浦島太
郎は、すっかり変わってしまった様子が不安になります。「もしかしたら玉手
箱の中に秘密があり、元の世界に戻れるかもしれない」と思い、ふたを開けて
しまいます。そして中から出てきた白い煙によって、あっという間におじいさ
んになってしまうというお話です。


 ──さて課題のクリアですが。


【1】伏線をどんなエピソードで見せるか……。
 実際の話では「鯛やヒラメの舞や踊り」となっていますが、そのまま鯛やヒ
ラメがしゃべるより“人魚”を登場させたことで会話のリアリティが出てきま
す。しかも“ナンパやフィーバー”など現代要素を織り交ぜたエピソードにし
ているところは、元の話に拘らず自由でユニークな発想力と遊び心を感じさせ
ます。説明的でなく実感できるやりとりで展開しており、食いつきやすい(惹
かれる)内容の選択です。


【2】伏線の核心である“玉手箱”の表現は……。
 人魚とのやりとりにある「封じ込めて」という表現で“入れ物”を、そして
「例の」と続けることで、浦島太郎の落としどころである“玉手箱”を匂わせ
ています。さらに凄いのは、言いかけて止めた言葉、つまり“……”部分が核
心である“玉手箱”を指しています。“語らずして伝えるうま味”とでも言い
ましょうか。


【3】玉手箱の中身をどんな形で匂わせるか……。
 冒頭で、踊り続けても“疲れない”という設定をしています。そして玉手箱
の中身(白い煙)に関する核心は「疲れなんて」という身近な要素と「200歳」
という突飛ながらも想像できる範囲の具体性ある言葉を用いています。玉手箱
を開けておじいさんになったことで、白い煙の正体が“封じ込められた疲労や
老化”であったことを示唆しています。



課題をクリアするには、これら三点を考える必要があったと考えます。短く
ても創作の技量が濃縮された、大変勉強になる作品だといえます。


 ──ダブル受賞する人だから、この作品も同一人物であってほしいな!



(注)当該論評と公募ガイド編集部ブログは何ら関係ありません。

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