交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 ドラマ脚本のト書きで人物の動作をどう書き表しますか……。


  (1)A子、歩いている。
  (2)A子が歩いている。
  (3)歩いているA子。


 いずれもよく見かける書き方です。間違いではありません。脚本を書きはじ
めたころ私もこの三種の書き方を、それこそ使い分けるでもなく、何も意識せ
ず書いていました。ところが他の人の脚本を読んだり、このブログで脚本や文
章について説明記事を書いたり、あるいは小説の描写を書くうちに、細かいこ
とですが、いろいろと考えさせられました。


 さて(1)の書き方については、次の記事うち『脚本界の悪い習慣』で詳し
く説明しています。考え方は変わってないのでそちらを参照してください。


脚本コンクールで上をめざす戦略 (2007年3月27日)
脚本界の悪い習慣        (2007年4月1日)←★ト書きの主語関連
イントネーション表現は逆効果  (2007年4月28日)
台詞を追求すべし(脚本推敲例) (2007年6月16日)←★ト書きの主語などを推敲


 文体(3)ですが、例のように短文ならば「誰」について云っているのか、
視野内に主語を捉えることができるので分かるでしょう。しかし「スマートフ
ォンに夢中で行き交う人とぶつかりそうになりながら歩いているA子」のよう
に長くなると考えものです。「A子がスマートフォンに見入り歩いている。行
き交う人とぶつかりそうになる」と、主語を前に出して、二文に分けるのが適
当といえます。


 数年前から(2)の書き方を主流にしています。ふたつの理由があります。
 ひとつは『わかりやすい文章を書くため』です。「てにをは」を明確にする
ことで文章らしくなるだけでなく、読み手に吸収しやすくなります。もちろん
長い文章になると複雑さは増しますが、だからこそ「てにをは」が必要になり
ます。ただト書きの鉄則は「簡潔に書く」ですから、長くなるようなら二文、
三文に分けて書きます。
 ふたつ目は『小説の描写を書くときに悪い癖を持ち込まないため』です。脚
本では当たり前のように使われる文体ですが、小説の描写となると(1)(3)
は、ほとんどといっていいほど見かけません。何かの意図をもって作者が書け
ば別でしょうが、やはり小説では(2)の書き方が一般的です。


 癖は往々にして現れます……。


 脚本の世界でも、コンクールに応募する人は「あらすじ」を書くでしょうし、
企画提案で「プロット」を書くにしても、そのときには『文章形式』つまり小
説的表現も必要になります。文章として早いうちに主語「誰が(は)」「何が
(は)」を表記するほうが、読み手に吸収(理解)しやすいものです。だから
私は、ト書きにおいても日ごろから(2)の文体を心がけています。

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