交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


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 平成21年度「NHK中四国ラジオドラマ脚本コンクール」の審査結果より、
私の総評を掲載します。


入選 『禁じられた砂遊び』    作・西尾 成 (東京都・フリーター)


佳作 『明治二十二年のスクイズ』 作・瀬津 広 (東京都・雑誌ライター)


そのほか一次通過作品
   『吾輩は三代目』/西成和樹(徳島県・会社員)
   『黄金の蛸』/カンメ理子(神奈川県・会社員)
   『奪還-あなたのために』/谷口のりこ(東京都・フリーライター)
   『万能倉駅で会いましょう』/和田有史(広島県・フリーライター)
   『傷痕』/長野恭治(愛知県・無職)
   『この海に浮かぶ夢』/大森百恵(東京都・派遣社員)
   『わしたちに明日はない』/堀達夫(大阪府・アルバイト)
   『父の贈り物』/真下有楽(埼玉県・会社員)
   『クスノキ女』/木太直子(大阪府・フリーライター&フォトグラファー)
   『のらり君の旅日誌』/畑 裕子(滋賀県・押し花インストラクター)


平成21年度NHK中四国ラジオドラマ脚本コンクール審査結果 【NHK松山】


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【総評】
 ひとまとめにすれば『中四国ラジオドラマ脚本コンクール』ですが、改めて
分析すると「中四国」「ラジオ」「ドラマ」「脚本」「コンクール」の五つの
関門があるのに気づいてください。今年度の総評として、それらが持つ意味を
述べておきます。


◆脚本成立は第一関門
 まず「脚本を書く(創作する)」にあたり、いろいろな『設定』を考えると
思います。テーマ、人物、素材、時代、場所、エピソード、ストーリーなどで
す。このとき、数々の指南本やスクーリングで習う脚本執筆のポイント、ある
いは過去に書かれた多くの脚本を参考にすれば、それなりの設定や法則(関係
づけ、展開の考え方)が整います。脚本論を勉強して理解を深め、巧者な人で
あれば「脚本として成立」させ、一定の評価を得るのも難しくはないでしょう。
 ところが大事なのは『“脚本成立=入選ライン”か』という定義です。もち
ろん審査員によって定義は違いますが、私の見解は「ノー」です。いくら脚本
としてよく書けていても、「語りつくされたテーマ、ありがちの人物像やスト
ーリー展開、そして予定調和な着地点」では、『第一関門を突破した』にすぎ
ません。
 一次審査を通過した中に「脚本の完成度が高い」と評価された作品がありま
した。『わたしたちに明日はない』ですが、私の入選バロメーターは振れませ
んでした。


◆ドラマ性を織り込む
 勝ち抜くためには、脚本成立を果たすだけでなく、内容に『ドラマ性……人
の感情を揺さぶる何か』が必要です。この「何か」を見つけ、作品に織り込ん
で、巧く表現し、ガーンと脳裏に衝撃を与えたり、ジーンと心に浸透させたり、
とにかく「深い印象」を与える作品が『入選領域』で争えます。
 ドラマ業界はいつも新鮮・斬新を求めています。もっと的確な表現をすれば
「飢えている」になります。そこに一石を投じるには「何か」を見つける『発
想力』、それを「どこでどのように使うか」と組み立てる『構成力』、さらに
それを「どのような台詞や効果音で魅了するか」という『表現力』が必要です。
ぜひともこの三種を磨き、脚本成立より上位である『ドラマ性の領域』で争え
るよう、意欲を奮い立たせてください。
 今回、三種のうちの発想と構成で際立った作品が『禁じられた砂遊び』で、
5名の審査員がベスト3位内にあげた(うち2名が1位評価)作品でした。


◆ラジオとして魅了する
 毎年のことですが、視覚的素材の多さにがっかりします。それでも感覚を増
幅した切り込みで台詞や効果音に工夫があれば際立つ作品になりますが、逆に
「そのまま表現……光景をガイド的に、状況をリポート風に、心境を朗読調で
表現(モノローグやナレーション、説明台詞を多用)した作品」が印象に残り、
落胆倍増です。これに該当する作品が『万能倉駅で会いましょう』『のらり君
の旅日誌』『傷痕』、そして『父の贈り物』の後半もその模様でした。『吾輩
は三代目』もこの類ですが、工夫次第で『ラジオ向き』になる要素を含んでい
ました。


◆地域性を織り込む
 難しい関門です。傾向として、中国四国地方で任意の場所を舞台にした作品
が圧倒的に占めます。しかも「単なる設定」にとどまり、表現(織り込み方)
も「紹介程度(ガイド的、説明的)」です。『ラジオとして魅了』と同様に、
もっと『その地域に根づく人やモノや風土』を深く追求して、前面に押し出し
てもらいたいですね。
 この課題を見事に表現した作品があれば、選考で支持率が上がると思います。
今回地域性でユニークだった作品が『明治二十二年のスクイズ』で、3名の審
査員がベスト3位内にあげた(うち2名が1位評価)作品でした。


◆コンクールを意識する
 スクーリングならば「全員合格」という結果もあるでしょう。しかしこれは
『コンクール』です。これまで述べた四つの関門に加えて、他の作品を上回り
『入選』を目指す場なのです。応募者全員が、当然その意識を持っているでし
ょう。それならば「勝ち抜くためにどうするか」の策を講じてほしいものです。
 露骨な話ですが、入選・佳作には「賞金」が贈られます。また全国ネットで
あるFMシアターで「放送」される可能性も含んでいます。当然審査員は『そ
れにふさわしい作品を選ぶ』という使命感を持っています。ゆえに審査会では、
和みや楽しみもある反面、自分が支持・非支持する作品になると、プラス面マ
イナス面を主張、指摘し合います。つまり審査会の場においても、審査員各自
(プロデューサー・ディレクター・演出家・脚本家)の立場で分析結果や持論
を展開する「論争」があるのです。
 秀作には「これでどうだ!」という作者の強いエネルギーを感じます。今年
度は「ドラマ性」に対する評価で『禁じられた砂遊び』が入選を、「地域性」
に対する評価で『明治二十二年のスクイズ』が佳作を勝ち取りました。賞に至
らなかった人たちも「何が足らなかったか」を今一度確認し、今後の創作に活
かしてください。
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