交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 そんな老人たちの持ち上げに俊之は否定と照れまくり、ついアクセルを踏み
込む。スピード違反……。路地で待機していた白バイに停められ、違反キップ
を切られる。
「事故でもしたら、取り返しがつかんぞ」
 白バイ警官の小言が俊之を締めつけていく。


 夜、雨の路上。乗用車が老婆を跳ねる──。


 中村シゲ子の墓前に、俊之が神妙なおもむきで座り込んだでいる。茜が来る。
茜は、俊之が何かあるたびにここへ来るのを知っている。俊之の傍に座り、墓
を見て「親戚か」と聞く。
 夜、雨の路上。乗用車が老婆を跳ねる。急停車した車野中、運転手はハンド
ルに顔を伏せて震えている。被害者を放置し、乗用車が走り去る。
 墓前の俊之が首を横に振る。茜が「知り合いか」と聞く。
 夜、雨の路上。乗用車が老婆を跳ねる。急停車した車野中、運転手はハンド
ルに顔を伏せて震えている。顔を上げて後方を見る。俊之だ。被害者を放置し、
乗用車が走り去る。
 墓前の俊之が首を横に振る。俊之は「茜には関係のないことだ」と口を閉ざ
す。そうして一生口を閉ざしていくつもりなのか。いらだちを隠せない茜がい
る。俊之という人物は、いい人なのか悪い人なのか。分からなくなっていく。
白タクの件にしても、年寄りの弱みにつけ込み、食いものにしているだけなの
か、行政の不備を補う善意なのか。いや、偽善かも……。
 茜は、以前からこの町を出ていきたいと思っていた。しかし俊之の老人たち
や町の人たちに対する接し方を見ていて、最近は自分の生まれ育ったこの町で、
何か役に立ちたいとも思い始めている。それなのに、どうにもできない自分に
ジレンマを感じているのだ。茜の真剣な眼差しに俊之は、「それなら路線バス
の本数を増やしてみろ、乗り降りの楽なバスを持ってこい、病院は、タクシー
は、介護は、年寄りの孤独は……」と、現実を突き返して行ってしまう。


                             《つづく》


プロット『迷走ドライバー』(前回までの話)

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