交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 コンクール脚本には800字程度の「あらすじ」が付きものです。みなさん
はこれをどう活用していますか……。


1.あらすじだけを書いている。
2.あらすじと、冒頭あるいは最後の数行にテーマやドラマで投げかけるメッ
  セージを書いている。
3.あらすじは半分程度で、現実界の背景(話題性や問題点)をあげてドラマ
  に至る経緯を示し、テーマやドラマで投げかけるメッセージを書いている。


 私が審査する場合、あらすじは本編を読む前に目を通します。そのほうが内
容を早く吸収できますから。2や3のパターンを目にするときもあります。特
に3はあらすじの分量を半分にしてまで作者の思いを述べたいのでしょうが、
企画書あるいは世相評論と勘違いしている印象を受けます。応募要領には「あ
らすじ」とあるわけですから、まずそれで十分だといえます。


 ──それなのに自分でハードルを上げていませんか。


 数行のテーマやメッセージにしても、たとえば「子育てや教育のあり方に改
革論が叫ばれてもいじめや不登校、青少年の自殺は一向に堪えない。この作品
はそうした社会問題を背景にしながら、ひとりの引き籠もり少年と、制度の矛
盾に敢然と立ち向かう教師との、心温まるふれあいを描いたものである」のよ
うに仰々しく書いたのを見かけます。「どんな超大作か」と半ば期待を込めて
本編を読みますが、「言ってるわりには表面的な出来事でありきたりの展開と
単調な人物像」で往々にして期待外れに終わります。
 本編で超大作を書いてほしいというのではありません。もちろんそれに超し
たことはありませんが……。審査員が最初に800字のあらすじを読んだとき、
自分の作品をアピールしたいばかりに大上段振りかぶって書いたものが、却っ
て作品自体のハードルを上げているといえます。これでは本編を読んだときに
ギャップが生じてしまい、好印象は与えられないでしょう。
 ドラマは哲学書でも教科書でもありません。「娯楽」なのです。ならば身の
丈にあったアピールと忠実なあらすじを書くほうが「素直な作者、作品」の印
象をもたらすのではないでしょうか。

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