交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 月曜の朝には新たな気持ちで出社しようとしたが、結果次の週も、その次の
週も、その次も休んだ。有給休暇も底をつき、欠勤扱いになった。生活を考え
て妻が知人のブティックで働き、俺が家のことをする。妻と娘を送り出したあ
と、掃除、洗濯、買い物、夕食の支度、幼稚園から戻った娘の面倒、そして妻
の帰りを待つという退屈で同じ日が続いた。
 夜遅く妻が酔って帰宅した。仕事で嫌なことがあったと、ろれつの回らない
口調でぶちまけている。何か言える立場でないのは重々分かっているが、妻の
勢いを借りて俺も反発してみせた。
「このまま年をとっていくのは堪らない、やり切れない! 若いころ俺の望ん
だ、俺の思ってた仕事はこんなんじゃないんだ!」
 微かに残っている意欲を、アルコール漬けになった妻に浴びせた。妻がうつ
ろな目をして乾いた口をパクパクさせながらソファに倒れ込んだ。
「そんな贅沢いわないでよ」
「自分の好きな仕事、納得のいく仕事をするのが贅沢なのか……なーッ……お
い、聞いてんのか」
 俺は妻の身体を揺すって訴え続けた。
「んん……明日聞くから……アシタ……もう寝る……」
 妻はろくに着替えもせず、ソファに身を委ねて眠りについた。ただ、時折鼻
をすすりながら、閉じた目から涙がこぼれないなうに、歯を食いしばっていた。
 俺はずっと妻の寝顔を見ていた。


 ──ひとつの決心がよぎった。


                             《つづく》


【これまでの展開】
月曜日の一歩(1)~(8)

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