交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 それではドラマの始まり(ファーストシーン)を朝9時(B)にしてみましょ
う。先へ進んで12時(D)のときに「過去となる朝8時(A)に何があったかを振
り返って見せる」ための手法として『回想シーン』を用いて表現します。ただ
このとき、「視聴者の意識は未来に向かって展開している」とドラマを観てい
ますから、人物が12時の時点で8時の出来事を思い出したかのように台詞など
で表現します。


○ オフィス(昼)              ←★Dの前半
  時計は12時を指し、休憩を知らせるチャイムが鳴る。
  職員が一同に昼食に立つ。
  太郎はデスクで首を回しては首筋をさすっている。
花子「どうしたの? 辛そうね」
太郎「ああ、今朝ちょっとね」


○ 道路(朝・回想)             ←★Aに該当するシーン
  太郎が車を運転している。
  飛び出した子どもに気づき急ブレーキを踏む。
  後続車が太郎の車に軽く追突する。
  太郎が「!」となる。


○ オフィス                 ←★Dの後半
太郎「まいったよ。大したことないと思ったんだが」
花子「病院に行ったら」
太郎「そうだな」


───────────────────────────────────
   朝       昼           夜
時刻:8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
場面:A B C   D   E       F   G     H
----------------------------------------------------------------------
展開:B→C→D→A→D→E→F→G→H  ※Aは回想
───────────────────────────────────


 警察的流れは別として、道路で追突されるシーンが回想になります。これで
太郎が首を気にする理由を見せていますが、大事なのは「回想シーンを設定し
てまで表現するか」にあります。構成段階で検討して、時間軸の流れどおりに
見せるのか、回想で見せるのかを考えたうえで(脚本を)書きます。
 柱では(朝・回想)と書く人もいるでしょう。そうすると脚本を読む人には、
そのシーンが回想だと分かりますが、実際に映像(ドラマ)化した場合、連続
するシーンの中で突然替わるわけですから、視聴者はそれが過去に遡ったこと
は分かりづらいものです。そこで、過去を思い出すような台詞などで匂わせた
りします。「朝ちょっとね」がそれです。
 回想は太郎の記憶ですから、その前後は太郎の姿を捉え、回想シーンを挟む
ほうが分かりやすい構成といえます。


○ オフィス(昼)
  時計は12時を指し、休憩を知らせるチャイムが鳴る。
  職員が一同に昼食に立つ。
  太郎はデスクで首を回しては首筋をさすっている。
花子「どうしたの? 辛そうね」
                       ←★太郎の台詞を削除
○ 道路(朝・回想)
  太郎が車を運転している。
  飛び出した子どもに気づき急ブレーキを踏む。
  後続車が太郎の車に軽く追突する。
  太郎が「!」となる。


○ オフィス                 ←★太郎の台詞を削除
花子「病院に行ったら」
太郎「そうだな」


 回想前を花子で終えて、回想(A・太郎の場面)、回想のあとのシーンが花
子になると「勝手に回想に入り戻った」の印象があります。「ドラマを分かり
やすく伝える」という観点では、何かしっくりきません。ドラマの基本を知る
者からみれば、構成として不十分です。必ずしも太郎の姿(台詞)で回想を挟
む必要はありませんが、回想前後の工夫は何かしら必要といえます。


                              《つづく》


【関連記事】
ドラマの中の時間軸(2007年2月4日)

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