交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 始業時間まで三十分近くある。目の前の電話に視線を落としながらコーヒー
を注文する。髭を蓄えた店主らしき男がおもむろにやってくるとカウンターの
下からサイフォンを取り出した。コーヒーはよく飲むほうだが、そういえば未
だかつてサイフォンで淹れたコーヒーは飲んだことがない。フラスコといえば
いいのか、アルコールランプで熱したお湯が気泡を出し始めると、店主がフラ
スコの上にコーヒーの粉をいれた容器……尋ねると“ロート”と呼ばれるもの
だった。やがて沸騰したお湯はロートのほうへ上昇していくと、コーヒーと混
じり豊かな香りを放った。
 コーヒーひとつでこんなにくつろいだ気分は初めてだ。古式で長閑な淹れ方
で見る楽しみを味わっていると、いつしか慌ただしい出勤の様子を忘れて、優
雅にウトウトする自分に不思議な隔たりを感じていた。


 ──これまで俺が見てきたものは、フィルムにすると何フィートだろう。


                             《つづく》


【これまでの展開】
月曜日の一歩(1)
月曜日の一歩(2)

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