交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 ドラマの台詞は『ストーリーを展開させる(次の台詞や行動を誘発させる)
だけでなく、人物の個性やその場の心境を浮き彫りにしていく組み立て』でな
くてはなりません。そのためには「どのことばを使うか」「いかに自然の流れ
として人物に吐き出させるか」を、十分吟味するべきなのです。


 海外ドラマ『サード・ウォッチ』の第2シーズンの26話「復活の道」のワン
シーンを題材に説明しましょう。


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【26話「復活の道」の概略と台詞】
 銃で撃たれて負傷した消防士のジミーは、リハビリもそこそこに現場復帰し
たうえ、仲間の心配をよそにことごとく無理をする。ついには、火災現場の消
火活動中に落ちてきた天井の下敷きになった同僚をひとりで助け出そうとする。
その結果、同僚の命を危険にさらすことになる。
 復帰時期が早かったと痛感したジミーは、消防士へのプライドと他の誰にも
負けない自信にさいなまれながらも、再びリハビリに戻るしかないと思う。そ
こへ、話を聞いたジミーの元妻で救急救命士のキムが来て、ジミーの気持ちを
和らげようとする。(以下はそのやりとりの最後で出た題材となる台詞です)

キム 「人には助けてもらうものよ」
ジミー「必要ない。助けを求められるほうだ」
 そしてジミーは去っていく。
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 キムが言いたい意味を掘り下げれば、正確には「仲間には助けてもらうもの
よ」となるのが適切でしよう。しかしそれでは、次のジミーの台詞が違うもの
になります。つまり「必要ない」では、仲間の存在を否定することになり、仲
間も同様に救助(人助け)する立場ですから、「(俺は)助けを求められるほ
うだ」は的外れの返答といえます。ましてや、「(俺たちは)助けを求められ
るほうだ」の意味は、ここでは自分について言っているので、主語が仲間を含
めた形「俺たち」になることはありません。
 そこで、キムが言いたい意味の範囲を拡げたもの、つまり一般的な意味合い
となる「人には」に替えることで、ジミーの台詞が活きてきます。強がりの性
格と消防士であるプライドを如実に表せます。このやりとりの意図はそこにあ
るのです。
 それではキムの台詞「人には」は間違いだの指摘がありそうですが、キムは
ジミーの気持ちを和らげようと必死の状態です。ことばをえらびながらも、こ
とばが見つからない……そんなとき人は、必ずしも最適のことばで伝えられる
ものでもありません。それが「人というもの」ではないでしょうか。だから、
ことばの意味が拡がった形で出たにすぎないと解釈できます。
 実に自然で論理と意図に基づいた『台詞として最適のことばを選択した』と
いえるのではないでしょうか。


スーパーチャンネル『サード・ウォッチ』
サード・ウォッチ公式サイト

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