交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 次に、シーン割りを考えながら必要不必要な描写を検討しましょう。描写も
そのまま書き写すのではなく、簡潔かつ適切な表現を探ります。脚本は「映像
や音声で何を物語るか」の世界です。小説ではサラリと書かれていることでも、
脚本の場合は印象を高めるために、ひとつのシーンに抜き出して書いたり、そ
れに纏わる表現やエピソードを新たに設けるときもあります。


【思考の終点】  ※ 起点は『脚色の考え方(3)』をご覧ください。


C.冬の夜 → ★これはシーン状況として踏まえる。
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A.昼間、男は仕事の失敗でダメージを受けていた。 → ★過去。後へ。
B.夜になり、男は浴びるほど酒を飲んだ。 → ★過去。不要。
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  ★ここから、今としてドラマを展開させる。
D.ネオン街、酒に酔った男が千鳥足で歩いている。
E.狭い路地の入口で立ち止まる。
追加★男の様子がほしい → 悔しさを言葉で吐き出す。
F.路地の奥。闇の中の光が気になる。見る。
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追加★光を強調する → 光は幻想的に輝いている。正体は伏せる。
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G.男は、吸い込まれるように路地に入って行く。
H.花火と判明する。映像と呟きで伝える。
追加★冬と花火の不調和を表現する → 寒さにコートの前を閉める。
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I.路地の一番奥でキラキラ輝いていたのは、やはり花火だ。 → ★不要。
変更★男の行動を先にする → 男がそこ(花火の場所)に近づく。
J.花火をしているのはホステス風の女である。
変更★女の様子をさらに伝える → しゃがみ込んで見入っている。
K.男が女に近づく。 → ★タイミング変更。
L.女はしゃがみ込んで花火をしている。 → ★タイミング変更。
M.近づいた男は壁に寄りかかり、花火と女を見ている。
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追加★花火の幻想と女の色香を伝える → 花火と女

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 EとFの間に追加した「男の様子」は、立ち止まるだけではもの足りません。
「ダメージを受けてどういう心境か → 悔しい、腹立たしい」を言葉で吐き出
させ、男が失意であることを伝えます。
 Fのあとの追加は、男が気になったものを強調して、ひとつのシーンで見せ
たいという意図です。しかしながら、ここではまだ花火だと明かさず、幻想的
な光にとどめて男の意識を惹き付けます。
 失意を抱えながらも、誘われるように男が路地に入っていきます。近づいて
花火だと判ると、モノローグでなく呟きで伝えます。その前で酔っぱらいの遠
吠えのように「クソォ~ッ」と発してますから、呟いても決して不自然ではあ
りません。また、ここで冬と花火のミスマッチを表現するために、寒さを感じ
て「冬(コートの前を閉める)」を伝えます。
 花火をしている路地の奥にシーンを置きます。男が近づいて女との接触、や
りとりがはじまります。描写のタイミングを変更していますが、前のシーンで
「コートの前を閉めた」男の流れを受け継いで、そのまま男を伝えるのが意図
です。


                             《つづく》

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