交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 脚色の事前作業として、小説に書かれた描写を『短文』で考えます。ここで
は、思考の変化(起点と終点)を明確にするため、単純に文を区切って記しま
す。どの部分で区切るかは、「何がどうだ(主語-述語)」を基本にするといい
でしょう。


【思考の起点】


A.仕事の失敗でどうしようもないダメージに包まれた俺
B.浴びるほど飲んだ酒に操られいた。
C.冬の夜
D.飲み屋街を彷徨っていた。
E.ふと、ネオンの明かりも届かない狭い路地
F.暗闇の中で、幻想的に舞い散る光を見た。
G.そして吸い込まれるように、俺はその路地に入って行った。
H.花火?
I.路地の一番奥でキラキラ輝いていたのは、花火だった。
J.花火をしているのは、いかにもお水といった雰囲気の女だ。
K.俺は、女に近づいた。
L.しゃがみ込んで花火をする女
M.傍で、俺は壁に寄りかかり見下ろしていた。


 小説『冬の花火』の描写はほとんど過去形を用いていますが、現在(今)と
して進展しはじめるポイントがあります。ドラマの核心は『花火を接点とした
男女の出逢い』であり、その場所「飲み屋街の路地奥」と時間帯「夜」を考え
ると、Dの「飲み屋街を男が彷徨っている」様子から始めるのが妥当です。と
なるとAとBは、今に至るまでの状況を物語る過去といえます。
 特にAは、仕事中の出来事なので昼間です。さらに、この出来事は男の今に
至る心境を裏付ける要因になります。小説では冒頭それも先頭で伝えています
が、脚本化でDをファーストシーンにしたとき、これを伝えるには冒頭から回
想を用いるか、男のモノローグで心境説明が必要になってしまいます。しかし
その構成には反対でした。「冒頭で伝えるまでもなく、あとの展開で女とのや
りとり(台詞)で伝えている」「必要ならば、そこで回想を用いればヨシ」と
判断しました。
 Bは、今と同じく夜ですが、1~2時間程度前で、今酔っている状態が伝わ
ればいいので、あえて酒を飲む様子(シーン)は不要としました。

 Cの「冬の夜」は、ドラマ全体の時季を表しています。つまり、シーンの柱
に補足事項で書くとよいでしょう。ト書きに織り込む場合でも、その先頭に書
きます。また場所は、小説では「飲み屋街」と表現していますが、もう少し大
きな観点と煌々とした印象を出すために「ネオン街」としました。さらに特定
する意味で「ネオン街・その路上」としました。
 なお、ト書きは三人称で書くので、一人称である「俺」は「男」とします。
酔っている様子を深めるために「千鳥足で」を入れます。


○ ネオン街・その路上(冬の夜)
  酒に酔った男(32歳)が千鳥足で歩いている。
    < or >
○ ネオン街・その路上
  冬の夜。酒に酔った男(32歳)が千鳥足で歩いている。


 これで、脚本の書き出しポイントがDとなり、その前のA~Cの扱いも決ま
りました。


                             《つづく》

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