交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 小説を脚本化(脚色)するとき、当然ですが、その物語をとおして「何を伝
えたいか」つまりテーマを把握する必要があります。勿論この他にも人物像や
ストーリー構成なども熟知します。そのうえで、脚本としてどう展開(書く)
すべきか、何を削り落とすかを検討します。また、必要に応じて新たなエピソ
ードを考えることもあります。小説『冬の花火』を使って説明しましょう。


 4月30日の『小説と脚本の違い』で述べたように、小説の描写は詳細に綴ら
れています。これを全てそのままト書きに展開していたのでは、ト書きの鉄則
『要点を捉えて簡潔に書く』から外れてしまい、脚本枚数が膨大になります。


【脚本化のNG例】
 仕事の失敗でどうしようもないダメージに包まれた俺は、浴びるほど飲んだ
酒に操られて、冬の夜、飲み屋街を彷徨っていた。ふと、ネオンの明かりも届
かない狭い路地の暗闇の中で、幻想的に舞い散る光を見た。そして吸い込まれ
るように、俺はその路地に入って行った。
 ──花火?
 路地の一番奥でキラキラ輝いていたのは、花火だった。花火をしているのは、
いかにもお水といった雰囲気の女だ。俺は女に近づいた。しゃがみ込んで花火
をする女の傍で、俺は壁に寄りかかり見下ろしていた。


  ↓ 《脚本化》  注:(M)はモノローグ


○ 飲み屋街
  仕事の失敗でどうしようもないダメージに包まれた俺は、浴びるほど飲ん
  だ酒に操られて、冬の夜、飲み屋街を彷徨っていた。
  ふと、ネオンの明かりも届かない狭い路地の暗闇の中で、幻想的に舞い散
  る光を見た。そして吸い込まれるように、俺はその路地に入って行った。
男(M)「花火?」
  路地の一番奥でキラキラ輝いていたのは、花火だった。
  花火をしているのは、いかにもお水といった雰囲気の女だ。
  俺は女に近づいた。しゃがみ込んで花火をする女の傍で、俺は壁に寄りか
  かり見下ろしていた。
*--------------------------------------*


 これでは脚色でなく「転記」にすぎません。しかも、不要なト書きだらけで
読みづらく、シーン割りもないので『脚本形式としてはNG』です。
 では、どの部分をどうシーン割りしてト書き化するかですが、次のポイント
を基準に考えてください。


1.小説の描写を短文化、つまり箇条書きに直して『事実関係』を把握する。
2.『必要不必要』な描写を検討する。
3.描写の意図を理解して『要点を捉えて簡潔なト書き』に変換する。
4.シーン割り(カメラ割り)は『どんな光景(状況)の中でその場面を展開
  させたいか』を観点に考え、必要に応じて詳細に記す。
5.ト書きは『三人称を用いて現在形または現在進行形』で書く。


                             《つづく》

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