交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


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 22日のFMシアターで『春の旅人』(作・佐和みずえ/平成17年度中四国ラ
ジオドラマ脚本コンクール佳作受賞/松山局制作)が放送されました。
 受賞決定後に、演出を担当するディレクターと作者の間で打ち合せがあり、
改訂により放送されるわけですが、今回の改訂は見方によっては「受賞時の内
容に忠実」といえ、ある意味「保守的であった」と受け取りました。つまり、
審査で問題視された「自殺した父親の影響で家族への不審を抱いた主人公の気
持ちの不明瞭さ」を補う改訂にとどまったといえます。勿論、これはドラマの
基本であり不可欠な要素ですが、現在の心境に起因する過去を伝えるため、回
想やそれに纏わる気持ちの語りに分量(時間)を費やしすぎては、『今を生き
る姿が埋もれてしまう』デメリットに繋がりかねません。


 ドラマとは『今起こっている出来事に人物がどう対応し、何を感じていくか
を描く』ものです。このとき、その対応の理由(根拠)を伝えるために『生い
立ちや心境の告白合戦』になってはいけないのです。確かに、人物の境遇は伝
わり一応の着地点に導けますが、それは『ドラマであってもドラマ性の薄い作
品』になります。要するに秀作とは、気持ちを語る「理屈」ではなく、気持ち
の表れを言動で見せる「感情」を描いたものなのです。


 この作品には、蜂とチェロが織りなす独特の幻想性が秘められています。養
蜂を営む源じいやアキラ、そして蜂たちが教えてくれた「連帯感(家族愛)」
への到達はあったものの、幻想性はかすめたにすぎません。ドラマ性には到達
できなかったといえます。放送化にあたり改定案を考えるディレクターは、受
賞原本の逸脱を犯しても、さらなるドラマ性の追求をしてほしかったですね。
それだけ価値のある作品だと、私は感じていました。


     ※          ※          ※


坂本の作品評【2005年12月17日記事「客観性の勝利」より】

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