交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 セナが「ピピッ」と発進音を出した。同時に反応して、陽介が両目を開けた。
その様子に連動した千明が、セナに視線を移した。
「処理が完了しました」
 セナは、画面のアクセスログを消去して、グラフィック映像に戻していた。
「で、情報はどうだった?」
 目頭を押さえながら陽介が起き上がった。
「ありました」
「よーし」
 両手とも拳を作って立ち上がり、セナに近づいた。
「私も、結構コンピュータと付き合いがあるってことだ」
 一呼吸置いて、千明も立ち上がり、陽介との距離を保った。
「セナ、報告してくれ」
 千明は、ゴクリと唾を飲み込んだ。
「はい。遠藤千明に関する情報収集処理の結果報告をします。一件目。レンタ
ルビデオの返却期限が二日過ぎています」
「ええ! ウソー!」
「プッ、ハハハ……君らしくもない」
 思わず拳を開いて、腹を抱えた。
「ウソウソウソウソ、ウソよ」
 血相欠いて、セナと陽介の間に飛び込んだ。
「コンピュータは正直だって」
「確かに私、返したわよ!……借りたのは病院の近くだけど、返したのはうち
の近くの、ほら、パチンコ屋の隣にある」
「二階が中華料理の店?」
「インド料理。チェーン店だったら、どこで返してもいいはずよね」
「オンライン化されてるからね。でも本当に返したの? ビデオ、よく借りて
るみたいだけど、前に借りたのとテレコになってるとか?」
「ないッ」
 言い切ると、グイと陽介の鼻先に顔を近づけて、自分の記憶を辿った。


----------------------< 短編小説『ミッドナイト・ロジカル』の一節 >----


 この作品では「血相欠いて」という表現を使いました。本来、辞書などでは
「血相変えて」と引用例があり、「顔色を変えた」ときに使われます。しかし
私が表現したかったのは、「血色を失った状態」でした。そこで「血相欠いて」
としたわけです。
 例によって、校正担当者のチェック網に引っかかりましたが、「変えて」で
は意味(様子)が違ってくる、前後の流れからすると「欠いて」のほうが適切
でしょうね。ということで、この言葉を生かしてもらえました。(感謝です)


 私は脚本家という肩書きを掲げてますが、小説も書きます。映像や音声の世
界で表現するドラマも魅力があり、文章からイメージさせる小説の世界にも惹
かれるものがあります。(欲張りです)
 いずれにしても、私自身が創り出す世界で、視聴者や読者が何かを感じても
らえたら……そう願っています。

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