交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇


テーマ:

 写真に近づいた弥生は、修がフォーク村にいたころ、ファンだった一恵の娘
であることを告げる。同じ写真を一恵も大事そうに持っているのだ。修と雅彦
を囲んだ大勢のファンの中、うしろの方に若いころの一恵がいる。
 今、一恵(46歳)は癌で入院し、近々手術を控えている。悪性良性がまだ不
明なことも重なって、最近、若いころや修のことを頻りに口にしている。家族
として見るに忍びない弥生は、修に一恵を励まして欲しいと訴える。一恵のこ
とは思い出せない修だが、今でもファンでいてくれる姿に心を打たれる。


 弥生に連れられて修が一恵(病室)を見舞うと、すっかり痩せ細った一恵が
いる。ベッドの脇にあるテーブルの上には、あの写真がフォトスタンドに飾ら
れており、その中には修のサインがある一枚のギターのピックも一緒に入れら
れていた。それを見るなり修は、「あ!」と全てを思いだしたように一恵に近
寄る。ピックは、修が大事にしていたものを、どうしてもとねだった一恵にプ
レゼントしたものだ。一気にピックに纏わる思い出に華が咲き、一恵も久々の
笑顔を見せる。
 仕事を終えてやって来た一恵の夫・光司(50歳)も、和んだ雰囲気に安堵の
気持ちを隠せない。光司は、音楽といったらカラオケぐらいだが、音楽に夢中
だった一恵の青春時代に理解を示している。
 笑い声のある家族と闘病生活のギャップに、ふと一恵が涙する。そこには、
家族への愛情と死への恐怖が伺える。そして、もう一度修のライブが聴けたら
と口にする……。


                             《つづく》


*----------* ポイント解説 *----------*


1.問題提起のうちのひとつ、弥生が訪ねた理由を明らかにして、ストーリー
  の展開に入ります。
2.写真やピックを使うことで、それを材料にした思い出(エピソード)に転
  ずることができます。執筆時には、思い出を語るだけでなく、それを蘇ら
  せる今の気持ち(久々の笑顔)が生きるように書くことが大事です。
3.プロットでは、「笑い声のある家族と闘病生活のギャップ」と一言で済ま
  せていますが、執筆でどう書くかを検討する必要があります。例えば、笑
  顔や笑い声があっても、一恵の腕には点滴が、ベッドには主治医の名前が、
  写真の側には体温計が……など、病院ならではの「物」を見せることで、
  そのギャップを浮かび上がらせます。
4.第1節で見せた「音楽への情熱」に替えて、このドラマのもうひとつのテ
  ーマ素材である「家族のあり方」を投げ掛けます。
5.この節の着地点として、「ライブが聴けたら」と修への課題を残します。

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