THUNDER
監督: ラリー・ラドマン
音楽: フランチェスコ・デ・マージ
出演: マーク・グレゴリー、ボー・スヴェンソン、ライムンド・ハームストロフ、ヴァレリア・ロス、アントニオ・サバト、パオロ・マルコ、ブルーノ・コラッツァリ
1983年 イタリア映画


ハリウッド映画からアイデアをいただいて、亜流の作品を量産することにかけては天下一品のイタリア映画界が、
「ランボー」のヒットに目を付けてまたまたやっちゃったパチモン・アクション。
スタローン・タイプの肉体派のマーク・グレゴリーを主役にもってきていますが、
本家と違うのは設定がベトナム帰還兵じゃなくて、インディアンの青年というとこぐらい。
先祖のお墓が取り壊されると聞いて、青年サンダーが取り壊しの撤回を求めて町に交渉に行きますが、
町ではこの青年を相手にしないばかりか、邪魔者として始末しようとします。
そこで怒り爆発のサンダーが得意の弓矢を使って、横暴な町の奴らをやっつけるというお話。
モニュメントバレーをバックに追跡劇が展開するところなんか、現代版マカロニ・ウェスタンみたいな雰囲気。
ダラダラと話が進む作品ですが、予告編にしてみたら結構観れるなあ(^^;)
TVで放映されたときは、なぜか格闘家が吹き替えやってって、数少ないセリフはほとんど棒読みで
あとはゼーゼーいってるだけ・・・・
パチモンとしてのクオリティをさらに上げていました(^^;)
監督は、ラリー・ラドマンな~んて言ってるけど、実は「ブロンクス・ウォリアーズ/1990年の戦士」や「人間解剖島ドクター・ブッチャー」を製作したファブリッツィオ・デ・アンジェリス。
この映画、日本劇場未公開のビデオスルー作品なのに本国ではなんと2本も続編が製作されました。
2作目が「怒りのサンダー/逆襲のバーニング・ファイア」、3作目が「怒りのサンダー/最後の決戦」、
全部ビデオスルーですが、よそからネタを失敬したパチモンをシリーズ化するなんて、さすがイタリア!
この国、大好きです。



音楽は、数々のマカロニ・ウェスタンを手がけたフランチェスコ・デ・マージ。
雰囲気的には、男らしいブラスが響く、ベイジル・ポールドゥリスとジョン・バリーを足して割ったようなスコアです。
これに、マカロニ・ウェスタン風なスパイスがちょっと効いた感じかな。
しかし、アリゾナをイメージした曲は、カントリー調の軽すぎる曲でちょっと違和感があります。
とはいうもの、結構「燃え」系のスコアが多いフランチェスコ・デ・マージのこと、
本作もそれなりにスリリングなスコアになっています。
決して悪くない内容で、ノーマルな人は本編を気にしなければスコアだけ聴いてもいい作品かも知れません(^^;)
本編に比べたら絶対スコアの方が勝っている。
ちょっとクサいテーマ・モチーフですが、しっかりメロがあって自己主張しているし、
最近の若手が量産するカラオケのようなスコアに比べたらずっといいかも。
サントラは、昨年奇跡のCD化が実現し、なんと3作目「怒りのサンダー/最後の決戦」とのカップリング仕様で36曲も入ったお得盤。
しかし、ジャケがなあ。
これじゃあ、パチモンだって誰が見てもバレバレじゃん。

なお、この映画のタイトルもですが、当時は、「サンダー」ってつけると強そうに聞こえたのでしょうか。
そういえば、昔のヘビメタ・バンドなんかも、なんでもかんでも曲のタイトルに「サンダー」を付けたがる傾向がありました。
Saxonの「Heavy Metal Thunder」とか、Thin Lizzyの「Thunder And Lightning」とか、AC/DCの「Thunderstruck」とか、日本のLoudnessの「Thunder In The East」とか・・・・・。
やっぱり「サンダー」って、当時の強さの象徴だったんですかね。
「サンダ~ッ!!」・・・・・・・・絶対カッチョ悪いと思うけどなあ(T_T)