THE BIG RED ONE
監督: サミュエル・フラー 
音楽: ダナ・カプロフ 
出演: リー・マーヴィン、マーク・ハミル、ロバート・キャラダイン、ステファーヌ・オードラン、ボビー・ディ・シッコ、ケリー・ウォード、ジークフリート・ラウヒ
1980年 アメリカ映画

 

 

 

第2次世界大戦のヨーロッパ戦線で戦う古参軍曹率いる分隊の姿を描く戦争映画。
生涯B級監督と言われ続けたサミュエル・フラー監督一世一代の大傑作です。
監督自身の戦争体験を元に作られた、あまりに淡々と描かれた日常的な戦闘。
若い兵士たちが日常的な戦闘の中で、生き生きとしている姿はかえってショッキングかも知れません。
臆病なのは唯一マーク・ハミルだけ。
北アフリカ戦線に始まって、終戦を迎えるまでを描いており、低予算ながらお馴染みのノルマンディ上陸作戦もバルジの闘いも出てきます。
中でも秀逸なのが、ノルマンディ上陸作戦の時間的経過を波打ち際で死んだ兵士の腕時計を何度も写すことで表現していること。
また激化する戦闘を打ち寄せる波が段々赤く染まっていくことで表現していること。
ある意味、軽く「プライベート・ライアン」の上をいっています。
この映画は公開時117分だったのですが、昨年になって長尺版の163分版が発表されました。
実はもともと4時間版が存在したらしく、そのうちのごく一部がようやく陽の目を見たということになります。
「ザ・レコンストラクション」と題された長尺版は、カットするにはあまりにもったいない貴重なエピソードが満載で、改めて本作の素晴らしさが伝わります。
公開版を見ると、戦闘シーンもかなりカットされてしまっていたことが分かります。
バルジの闘いでの偽アメリカ兵を見破るシーンも公開版には無かったような気がします。
4時間完全版が見たい!
なお、原題の「ビッグ・レッド・ワン」は、兵士のワッペンにもなっている「1」のマーク、第一歩兵師団のこと。

 

 

 

音楽は、ダナ・カプロフ。
TVムービーの仕事が多い人で、単独でサントラが出たことはないのではないかと思われます。
サントラも、ジョン・バリーと共作した「ゴールデン・シール」というオットセイと少年の交流を描いた佳作があるくらいです。

 

 

本作も残念ながら、サントラは発売されませんでした。
しかし、印象的なメロディを書く人で、TVでは、「ハワイ5-0」や「バイオニック・ジェミー」に音楽を提供しています。
本作で聴かれるテーマも、マーチ調のスネアドラムをバックに力強いホーンと引きつった音のストリングスが戦闘の緊張感をうまく表現しています。
テーマ・メロディを基本に、これが劇中いろいろなバリエーションで出てきます。
テーマ以外に目立ったメロディは出てきませんが、こういう音の組み立て方が映画音楽の基本なのではないかと感心させられたりします。
一つのメロディを、これだけいろんな表情を持った音に変えることが出来る作曲家って、最近めっきり減りましたね。
サントラは発売されませんでしたが、ミリタリー・スコアの傑作であることは間違いありません。
僕はDVDからテーマ曲だけリッピングして楽しんでます(^_^;)