サウンドトラック秘宝館

スコア盤を中心に紹介する、ちょっと(ちょっとじゃないかf^_^;))マニアックなサントラレビューです。


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MILANO ODIA
監督:ウンベルト・レンツィ
音楽:エンニオ・モリコーネ
主演:トーマス・ミリアン、ヘンリー・シルヴァ、グイド・アルベルティ、レイ・ラブロック、アニタ・ストリンドバーグ、ネッロ・パッザフィーニ
1973年 イタリア映画


パチモン・マカロニ監督、ウンベルト・レンツィのもしかしたら代表作になるのではないかと思われる、異色バイオレンス・アクション。
この作品は、強烈なバイオレンス描写や身も蓋もない後味悪いエンディング等、単なるパチモンでは済まされないエネルギーを特った作品です。
まず、キャスティングが大胆です。
トーマス・ミリアンをケダモノ同然のドチンピラをやらせて、その手下に「ガラスの部屋」の美形レイ・ラブロック、
逆にどう見ても犯罪者にしか見えないヘンリー・シルヴァを警部役に据えています。
しかし、このミスマッチなキャスティングがものすごく生きています。
トーマス・ミリアンの、ほんと狂犬のようにどう猛で凶暴な演技は特筆ものです。
女子供だろうが見境い無く簡単に撃ち殺すわ、レイブはするわ、本能にまかせて暴れ回る姿が強烈です。
銀行強盗に失敗した街のチンピラが、大会社の社長令嬢を誘拐します。
誘拐に際して、令嬢の恋人はなぶり殺しにするわ、令嬢が逃げ込んだブルジョワのパーティーでは、
そこの住人を陵辱した挙げ句に子供もろともマシンガンで全員蜂の巣にするわ、
誘拐の手引きをさせた愛人を証拠隠滅のためにいとも簡単に殺したり、めちゃくちゃです。
さらに、このチンピラたちを追う警部がまたメチャクテャで、
犯罪者をブタ箱にぶち込むよりもその場で射殺してしまうような冷血漢です。
令嬢の救出を巡って、この連中が血で血を洗うバイオレンスを繰り広げます。
この監督って、作品によって出来不出来の差があまりに激しいように思います。
そんな中で、本作はレンツィ監督の大味な演出が逆に「吉」と出た、この人にしてはかなり良くできたバイオレンスだと思います。
脚本がいいのかなあ。
この映画の脚本を手掛けたのはエルネスト・ガスタルディという人で、フランコ・ネロの「サハラ・クロス」等を手掛けています。


音楽は、エンニオ・モリコーネ。
メイン・タイトル曲は、パターンとしては「アンタッチャブル」や「殺人捜査」あたりに近い雰囲気を持っています。
4つ打ちのバスドラムにザクザクと切り込むピアノの低音にストリングスがリンクする例のパターンです。
このタフなテーマ・モチーフが劇伴全体にいろんなヴァリエーションで生きてきます。
不安感をかき立てるサスペンス描写のスコアには、後の「エクソシスト2」の悪魔のテーマの原形を垣間見ることが出来て興味深い。
いつものメロウなモリコーネ・サウンドも健在で、オーボエがリードを取る宮廷音楽風の甘美なスコアも入っています。
サントラは、これまで3曲入りのものしか発表されていませんでした。
(‥・とはいうものの、既発表の3曲のうち1曲は15分を越える組曲風の大作なのですが‥)
去年、イタリアのDigitmoviesレーベルからさらに9曲の未発表スコアを追加収録した長尺盤CDが発売されました。
しかし、ジャケは相変わらずだなあ・・・・。
日本では劇場未公開の作品なのに、本国ではちゃっかりCDが発売される等、
パチモンの国にはまだまだ巨匠の「お宝」が眠っているようです。
イタリアのDigitmoviesやGDMといったレーベルは、今後も要チェックです。
「アルデンヌの戦い」のフル・スコア盤とか出ないかなあ。



Milano Odia: .../Ennio Morricone

¥1,765
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ANGEL HEART
監督:アラン・パーカー
音楽:トレヴァー・ジョーンズ
主演:ミッキー・ローク、ロバート・デ・ニーロ、シャーロット・ランプリング、リサ・ポネ、ストッカー・ファウンテリエ、ブラウ
ニー・マッギー、マイケル・ヒギンズ
1987年 アメリカ映画



「ミッドナイト・エクスプレス」のアラン・パーカー監督がスタイリッシュな映像で描くフィルム・ノワールの匂いのするオカルト・ミステリー。
人気歌手の失踪事件の調査を受けた私立探偵が、調査を進めるうちに行く先々で人々が謎の死を遂げるというお話です。
人気歌手の行方を捜して行き着く先は‥‥‥‥当時はラストに衝撃を受けました。
エンゼル・ハートって、てっきり「天使の心」という意味だと思ってたもんなあ。
80年代のホラー映画ってスラッシャーものが多くて、ちょっとうんざりしていた時期だったので、
珍しいオカルトものということで、わざわざ映画館まで観に行ったのを覚えています。
50年代ニューオリンズの怪しさ、ブードウー教のオカルティックな雰囲気、水滴や血液がしたたり落ちるシーン等々、
全編をジメ~っとした映像が覆い尽<していました。
バクバクと嗚る心臓の鼓動音もサスペンスを更に盛り上げていました。
ラストは例のミッキー・ロークのシルエットで終わるのですが、
劇場ではこの静止画面のまま左右のスクリーンが閉じてくるので、
すごく効果的でした。
脇を固める豪華な演技陣も素晴らしく、特にロバート・デ・ニーロが良かった。
有名なデ・ニーロがゆで卵を食べるシーンは、映画史に残る名シーンでしょう。
卵をもて遊ぶようにゴロゴロまわしてヒビを入れて、
それを爪でゆっくり1枚ずつパリパリと剥いで、
中から出てきたゆで卵を口で「パフっ」って感じでほおばるシーン。
奇妙なシーンですが、異様にインパクトがありました。
主演のミッキー・ロ一クは、この頃が一番カッコよかったなあと思います。

音楽は、トレヴァー・ジョーンズ。
UKの黒人サックスープレイヤー、コートニー・パインのサックスをフィーチャーしたテーマは、
ひたすらダークでけだるさ満点ですが、暗く湿っぽい映像に絶大な効果を与えていたように思います。
さすがジョン・コルトレーンばりの超絶テクを持った人だけあって、スコアの中でもアドリブでプロウしまくます。
ドロ~ンとしたバック演奏の前で、縦横無尽に吹きまくる前衛的な演奏が素晴らしい。
トレヴァー・ジョーンズが書くスコアって、マイナーなメロの暗い曲が多いのですが、
本作ではさらにそれが強調されていたように思います。
とても不安感をさらに助長するようなスコアが多く、オカルティックな雰囲気が満点です。
また、スコアに混じってダイアローグが所々に挿入されています。
ブードゥー教の儀式の場面を挿入していたり、本編のイメージをさらにかき立てる演出が施されています。
1曲目の最後の部分で、パーカスの応酬とダイアローグがかぶるとてもスリリングが展開がありますが、
ちょっとしか入っていないのが残念です。
サントラは、Islandレーベル傘下のAntillesレーベルから発売されていましたが、
現在は廃盤のようで、Amazonではとんでもない高値が付いてます。


Angel Heart

¥8,195
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アカデミー作曲賞は「スラムドッグ$ミリオネア」が取りましたね!
このスコア、エスニック好きの僕には結構ツボだったので、
この受賞はうれしいなあ。
でもこの作品は既にレビューしているので、今回は全く関係の無い作品をご紹介。






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THE HAPPENING
監督:M・ナイト・シャマラン
音楽:ジェ一ムズ・ニュートン・ハワード
主演:マーク・ウォールバーグ、ズーイー・デシャネル、ジョン・レグイザモ、アシュリン・サンチェス、スペンサー・プレスリン、ベティ・バックリー、ヴィクトリア・クラーク
2008年 アメリカ映画


「シックス・センス」の衝撃以来、(いろんな意味で)様々な問題作を撮り続けるM・ナイト・シャマラン監督の最新作。
この人、ヒッチコックヘのオマージユを指摘されることが多いのですが、
確かに映像の中にヒッチコック的な部分があったり、自分がこっそり本編に出てたり、
作品の中でその手の「遊び」が見え隠れするお茶目な監督さんです。
毎回、驚愕のミステリーを描いているのですが、今回はある日突然、人々が集団自殺を始めるという恐るべきテーマを扱っています。
突然自らの命を絶っていく人々の姿を見て、みんなパニックになって逃げまどいます。
果たして、人々を死へ追いやっているのは、テロ攻撃による毒ガスか、それとも未知の病原体か‥‥。
「風」とともにやってくる目に見えない恐怖を見事に描いていて、前半はサスペンスフルかつエグイ展開にグイグイと引き込まれます。
集団で首つり自殺している図は、ヘタなスラッシャー・ホラーより、よっぽど背筋が凍りました。
動物園の飼育係が死ぬシーンは、i-phoneに動画を配信して見せたりしてなかなか凝ってました。
しかし、この映画って‥‥オチが無い(T_T)
え~!?これで終わりかよ?という終わり方をします。
謎が一切解けてない。
訳がわからないまま始まって、訳が分からないまま終わるという映画‥‥・。
でも、この監督、わざとこんな「観客をほったらかしてさっさと終わる」みたいな撮り方してるんだろうなあ。
とんでもないやつだ(T_T)
実はこの映画、何も知らずに劇場でこの映画を観てしまったことが「思わぬハプニングだった」と観客に思わせるための映画だったりして
(^^;)
でも、次回作もやっぱり観ちやうんだろうなあ。
この人の映画の根底にあるのは「家族愛」のような気もしますが、果たしてどこまで本気で取り扱ってるんだか‥‥(^^;)。



音楽は、シャマラン監督とは長い付き合いのジェームズ・ニュートン・ハワード。
彼の作品のスコアを手掛けるのは、これで6作目となります。
ジェームズ・ニュートン・ハワードって、サスペンス映画には無味乾燥な空気のようなアンダースコアを書くことが多いのですが、
シャマラン監督作品については、ちょっといつもより力が入っているように思えます。
地味ですが、映像の雰囲気と見事にマッチしています。
やはりこの監督とは相性がいいのか、ミステリアスな感覚を持った透明感のあるスコアが印象的です。
もう6本もスコアを手掛けているので、お互いに気心が知れて、上手い具合に仕事が進むのでしょう。
特に今回は珍しく前半ちょっと派手めな展開があったりして、ストレートでパーカッシヴなトラックに驚かされます。
劇伴では、不安感をかき立てる弦楽器をひっかくような不協和音をあしらったり、ストリングスを中心としたサスペンスフルなスコアを聴<ことができます。
いつものようにメロがぼんやりしているので、正直なところつかみ所の無いスコアではありますが、
ジェームズ・ニュートン・ハワード作品の中では、かなり頑張ってるんじやないかと思います。
全編にMaya Beiserのチェロをフィーチャーして、なんとも危うげな空気を醸し出しています。






The Happening [Original Motion Picture Soundtrack]

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THE MEPHISTO WALTZ
監督:ポール・ウェンドコス
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
主演:アラン・アルダ、ジャクリーン・ピセット、バーバラ・パーキンス、クルト・ユルゲンス、ブラッドフォード・ディルマン、ウィリアム・ウィンダム、キャスリーン・ウィドース
1971年 アメリカ映画



「新荒野の7人/馬上の決闘」のポール・ウェンドコス監督が豪華キャストで描くオカルト・スリラー。
音楽ライター一家に悪魔崇拝者が忍び寄る恐怖を描いた作品です。
音楽ライターの男(アラン・アルダ)が、世界的に著名なピアニスト(クルト・ユルゲンス)にインタビューしたことをきっかけに、
このピアニストの力添えで、一度は諦めかけていたピアニストヘの道を再び歩むことになります。
すっかりその気になるライターを見て、妻(ジャクリーン・ピセット)はピアニストに不吉なものを感じます。
実はそのピアニストとその娘は悪魔崇拝主義者で、ピアニストはライターに遺産を残して死んでしまいますが、
その怨霊はライターに乗り移り、ライターはピアニストとしてメキメキと頭角を表す一方で、ピアニストの娘と不倫関係になり、
さらに悪魔の力でライターの妻子の命をも狙おうとし始める‥‥・というお話です。
ラストはネタバレになるので、詳しくは書きませんが、女の情念というか、
そこまでして夫を取り返そうとするのかなあと思ったり、考えされられる映画でした。
でも、あれで取り返したことになるのかなあと疑問も沸いてしまいます。
怨霊に乗り移られた夫は、外見こそ夫だけど、中身は別人だと思うんだけど‥‥。


音楽は、巨匠ジェリー・ゴールドスミス。
フランツ・リストの「メフィスト・ワルツ」をモチーフにしたスコアが秀逸です。
1曲目を飾る「プレリュード」は、ヴァイオリンの引きつったような音の奏法が強烈な印象を与えるサスペンスフルなスコア。
オーケストラがリハーサル前にヴァイオリンのチューニングを大ざっぱにやってるような感じの音が新鮮です。
後の「オーメン」や「エイリアン」のスコアを彷彿とさせる「キュイ~ン!」というヴァイオリンのショッキングな音も聴くことができます。
ストリングスが変幻自在の大活躍をするホラー・スコアで、弦楽器の大群で恐怖をぐいぐい盛り上げるという感じのスコアです。
ストリングスの使い方が特徴的ですが、この手のスコアの先駆者、バーナード・ハーマンとはまた違ったアプローチで、あくまでゴールドスミス流なところが偉い。
全体的にメロらしいものは弱いものの、むしろ恐怖と感情の高ぶりを見事に音で表現した表情豊かなスコアに仕上がっていますので、
聴いていて退屈することはありません。
サントラは、長らくCDイヒされず、「新一猿の惑星」とカップリングされた海賊盤が出回っていたことがありますが、
その後、とうとう「悪を呼ぶ少年」の組曲を追加収録した全13曲入りのCDが発売されました。
これは現在も入手可能と思われます。


Mephisto Waltz/The Other/Jerry Goldsmith

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BUG
監督: ウィリアム・フリードキン
音楽: ブライアン・タイラー
出演: アシュレイ・ジャッド、マイケル・シャノン、リン・コリンズ、ブライアン・F・オバーン、ハリー・コニック・Jr
2007年 アメリカ映画


もともとはオフ・ブロードウェイの舞台劇だったものを「エクソシスト」のウィリアム・フリードキン監督が惚れ込んで映像化したサイコ・サスペンス。
「ウィリアム・フリードキン監督、遂に完全復活!」とまではいかないまでも、これはかなりの力作でした。
一人の女性が、仮出所した元夫からの暴力から逃れるためモーテル暮らしをしているところに、
女友達が一人の男を連れてやってきます。
繊細な男の姿に元夫とは違うものを感じ、自分と同じ心に傷を持つ者同士と感じて、女性はこの男に身も心も許してしまいます。
ところが、この男は次第に目に見えないほどの虫「アリマキ」に対し、異常なまでの恐怖心を抱いていることが分かります。
そして、その男は「虫」の存在と軍の人体実験にまつわる機密の話を語りはじめ・・・・・という風にお話が進んでいきます。
このお話、ほんとにありそうなところが実にコワイ。
舞台でも同じ役を演じたマイケル・シャノンとアシュレイ・ジャッドの体当たりの演技、
これにグイグイと引き込まれていきます。
映画の前半は、たわいもない男女のやりとりからどのように話が展開していくのか、
全く予想がつきませんでしたが、後半の怒濤のブチ切れた展開に圧倒されます。
本編の大半がこの2人の密室でのやりとりで進んでいくのですが、
舞台劇の作者が脚本も手がけているので、変化の無い密室劇でも恐ろしいほどテンション上がりまくりです。
観客を突き放すような衝撃的で唐突なラストも、見終わった後、しばらく何も出来ません。
なんともいえない余韻を残します。


音楽は、若手の売れっ子、ブライアン・タイラー。
僕はこの人、音数が派手な割にメロが貧相であんまり好きではないのですが、
本作にはいい意味で驚きました。
もともと、若い人だけあってテクノの使い方が上手いなあって思ってましたが、
本作では、ドラムン・ベースを組み込んだり、インダストリアルでエクスペリメンタルなスコアを提供しています。
メロらしいものは全然ありませんが、電子音をツギハギして作ったような性急なビートはBugのイメージにピッタリ。
ピアノとバイオリンをベースにしたモノトーンなスコアも不協和音を活用して不安感を大いに盛り上げてくれます。
現代音楽っぽい斬新なアプローチが、21世紀の「猿の惑星」みたいな印象を受けました。
ちょっと言い過ぎかもしれませんが、この人の作品の中ではかなりの野心作です。
サントラは、歌モノと2曲のスコアで構成されたコンピレーション盤が正規盤として発売されています。
これには、元stone temple pilotsのscott weilandのけだるいオルタナロックを始め、
カントリー・ロック調のものを中心に、ラテンやヘヴィー・ロックまでいろいろと入っています。
この正規盤の他に、Lionsgateフィルムの作品らしくAmzon限定でスコア盤のCD-Rが発売されています。
(同じ内容のものがi-tunesでもダウンロード販売されています。但しアメリカ限定なのです(T_T))
サウンドトラック秘宝館

残念なのは、彼のスコアがほとんど本編で使用されなかったこと。
本編で使われたスコアで印象に残るのって、コンピレーション盤に入っている2曲くらい。
でもCD-R盤の方には、いろんな実験的な音響作品が収録されていますので、
こっちも限定盤でいいからCDにしてほしいなあ。



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