只今「不安な夜1」をリク罠にした魔人的お祭り開催中!
始まりはひとつ、終わりは幾通りも!!な
パラレルエンディング★リク罠 「不安な夜」
続編お披露目特設お祭り会場はこちらо(ж>▽<)y ☆




゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆


「不安な夜」


今日は久し振りに最上さんが俺の家に来てくれた。

そして、今、この瞬間、俺の手の届く範囲に彼女がいる。

そう、あと数十センチ。

たったの数十センチ手を伸ばせば届く距離に・・・・。

でもそれはとても遠くでもあった。


最近の彼女はとても遠いところにいるから。

手を伸ばして・・・・・・・もしも届かなかったら?

俺はどうすればいいのだろう。

どうなるのだろう。




芸能人としてスッカリ売れっ子となり、今では、俺同様隙間のないスケジュールを抱えている彼女。

そんな忙しい彼女に、無理を言っては食事作りなんてものを頼む俺は先輩として失格だと思う。

思うが、こうでもしないとプライベートで彼女と会える機会など皆無に等しいのだから、やめることはできない。


でも、今は会えているだけだ。

そこからは何も生まれていない。




彼女が作ってくれる食事は相変わらず美味しい。

その美味しい食事を彼女と一緒に食べられるのは幸せだ。


でも、彼女はどう思ってる?


疲れている後輩に無理を言う困った先輩とでも思ってる?

断れないから嫌々来てくれてる?



以前は食事中も楽しかった。

新しい仕事が入ればそれを報告してくれたし、

プライベートで起こった出来事も教えてくれた。


今は最低限のことしか喋ってくれない。

仕事の報告もこちらから尋ねない限り、ない。

何気ない会話も・・・・・・・彼女から振られることはない。




「・・・・・最上さん、最上さん・・・・・・・・・・・最上さん!」


そして増えたのが沈黙とコレだ。


先輩として頼りにされていた頃程、彼女の心は俺には向いていない。

だからなのか、俺といても俺の存在をすぐに忘れてしまうようになった。


俺の目の前で、俺以外の何かのことを考える彼女。



俺ができることは、ただ呼びかけることだけ。

俺の存在を示すように、何度も彼女の名前を呼び続ける。



そして、会う度に増えるその呼びかけ回数に不安が増す。




・・・・・・・最上さん、最上さん・・・・・・・・・・・最上さん!

「え?・・・・ああ、はい・・・なにか御用ですか?」

「いや、用とかはないんだけど・・・・・最上さん、何か悩みごとでもあるの?」

「え?悩み事ですか?いえ、特にないですけど?」

「じゃあ・・・・・・今何を考えていたの?心ここにあらずって感じだったけど」


毎度おなじみとなった俺の「探り」にも、彼女は大した反応を示さない。


「ああ、明日の仕事は早いから、帰ったら早めに寝ようとか・・・・あっ!」

「え?」

「すみません、時間ですので、私は失礼させていただきますね!」

「待って!車で送るから!」

「お気遣いなく。ちゃんと今日はタクシーを呼んでありますから」

「え?」

いつもはなんとか車で送ることに成功していたから油断していた。
慌てて、車のキーを取りに寝室に向おうとしたが、続く彼女の台詞で今日はそれさえも許されないのだと知った。


「ではこれで失礼します。敦賀さんも早くお休みになってくださいね」
「うん、今日はありがとう。帰り気をつけてね。家についたら電話して?」

焦る心を必死に隠して先輩の仮面を被り、玄関先で彼女との糸を繋ぐ。

「いいえ、もう遅いので電話はしません。心配しなくても大丈夫ですから。では!」

腕時計をチラリと見て、時間を確認した彼女は、俺が必死に繋いだ糸をアッサリ断ち切って、ドアの向こうへと消えた。


もう無理なのか?

俺じゃ駄目なのか?



告白したくても、怖くてできない。

こんな意気地なしの俺など、彼女から必要とされなくても当然かもしれない。


彼女と会えた日の俺の心の中は、会えた嬉しさではなく、寂しさでイッパイとなってしまう。


しばらく彼女が消えたドアの前から動けずにいたが、今できることを思い出した俺は、リビングに戻って時計を確認した。

あれから20分経っている。
そろそろ彼女が家に着く頃だ。


鳴る筈のない携帯電話を握りしめ、しばらく考えた後、メールを入れた。

ーー最上さん、今日は美味しい食事を有り難う。俺はまだ起きてるから、無事についたらメールだけでもしてくれないかな。君が心配だから。ーー

ーーUser unknownーー

送信ボタンを押した俺に返されたのはエラーメッセージのみだった。



続く?→「不安な夜2」


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