美術随想。。制作とか、絵で食べていくとかどうとか、そんなこといろいろ。 | 画家の雑記帳

美術随想。。制作とか、絵で食べていくとかどうとか、そんなこといろいろ。


日中の仕事を終え、夜、というか夜中とか・・
そうした時間に絵画制作を年中続けてゆくということは
それなりに体力的にも、精神的にも厳しい時もある。。
でも、ひとつの自分にとって満足のゆく作品ができた時
というのは、そんなことも軽く吹っ飛ぶくらい、
充足感というか、満ち足りたものが心の中に広がってゆく。。
本来、絵を描いていなければ、たいていの夜は、
テレビ見てゴロゴロとか、友人達とわいわい飲みに行ったり
とか、年中そういうことが多かったかもしれない。。
(それがいいとかわるいとかでなくて・・)

自分は、まだ画業15年だけど、ふつう、絵を始めるとか、
画家をめざすとかというと、
「画家なんかで食べていけない・・」といったことを
家族や周りからいわれ反対される、なんてことを時に耳にしたり
する。。
さて、とくに日本の場合、「画家」と名乗り、実際に
絵で食べてける人ってどんくらいいるのだろう。。
いわゆる完全な専業で、朝から晩まで、毎日アトリエにいて
ひたすら好きな絵を描いて・・それだけで食べていけてる人、、
まぁ、ほとんどいないのではと思う。。
千人以上、画家の知り合いいるけれど。。

多くは・・、日中、例えば(商業)イラストレーターしたり、
デザイナーしたりして、夜は自己の世界の好きな絵を描いてる
とか、アート関連の仕事をしたりだとか(僕のように、ギャラリー
の仕事とか、古美術やアンティークの仕事に携わるとか)、
はたまた、絵画教室、美術の予備校、専門学校、中学高校、美大等、
さまざまなところで美術を先生として教えて、それで収入を
得つつ、自分の好きな絵を、やはり夜に描いてるとか。。。
その他もちろん、まったくアートとか関係のない仕事をしつつ、
年間を通じて作品制作をされてる方も、たくさんいる。。

ともあれ、そうした中で、直接、「食える・食えない」よりも、
やはり、冒頭のような部分は大事な要素だと思う。。
自分の「心象世界」や「想像力」などといったものが、
ひとつの結実、カタチとなって、生み出されてくという喜びは
ある意味、世の中のいろんな快楽に負けないほど、
けっこう大きな快楽!?に、自分は思える。。
それと「仕事」と捉えて、「お金」で換算すると、なかなか
せちがらい面も、報われない面もあったりするが(笑)、
たとえば、年に100万円ほど、自分の絵が平均的に売れたとして、
かりに年収100万では、まず絵で食べてゆけないけど、、
それでも10年間続ければ、自分の絵で1000万円とか
身入りがあるということになる。。
あまりお金の話しもなんだけど、年50万平均でも10年で500万
収入を得ていることになる。。
(まぁ、そのくらいの場合、実際は、個展をはじめ、さまざまな
出品参加費用であるとか、画材費であるとか、制作した作品の額代とか、
いろいろかかるので、純粋な利益的な収入はもっと低くなるわけだけど。。。)
でも、やっぱり、自分の絵での年収が100万200万クラスでも、
はたまた、年収10万20万クラスでも、、結局のところは、そんなことに
関係なく、やはり絵を続けていくだろうな。。そこに創造の喜びが
ある限り。。。

それと、自分の場合は、たんに「自分のため」だけという
意識でもなく、なんというか、絵も一つの技芸の産物として、
多くの人の心に響き、また多くの人の家に飾ってもらって
もらえることも、大きな喜びの一つなので、たんに趣味的に
自己満足だけで描いてるという感覚でもなく・・。。
今年で、画業15年。。小品が圧倒的に多いけど、200
もの作品が、いろんな人の元へと渡り、そして家の中で飾って
いただけてる。。
そうしたことも、やはり大きなモチベーションというか、
心の支えともなっている。。
たんに、絵での年収であるとか、実際それだけで食べてゆけてる
とかいけてないとか関係なく、ずうっとやってきてよかったなぁ
とか、これからもどんどん描きまくっていこう、という想いが
ある。。その気持ちは15年経っても、いっさい色褪せることもなく、
ますます情熱が強くなってる気もする。。。

人にどう思われようと、結果がどうであろうと、描くことが好きで、
十年、二十年と続けていけたら、ほんと幸せなことだと思う。。
反対されたりだとか、たいしてこれだけで食べてゆけるほど成功も
してないなとか、人と比較して自分はやはりあまり才能ないかもとか、
いろんな事柄や思惑で、せっかく、たとえば美大や芸大さえ出てても、
この世界を離れてゆく人すら多いけど、、絵はやっぱり、長い年月、
ひたすらに続けていければ、なにかしら、、自分の中で「絵」が
大きな存在となっていくものと思う。。そのなかに、充足感も幸福感も、
じゅうぶん人生に与えてくれるものになると思う。。。
大変な厳しい世界でもあるけど、、乗り越えていけると、、それに
負けないだけの喜びもたくさんある世界である思う。。。