「確かに、奥さんのおっしゃる通り、ユニットの壁とお宅の壁の隙間には、正直、湿気はある程度はこもります。それは事実ですね。」
「そじゃけど、タイルでやっても湿気は、どっかには、溜まるもんじゃよ。」
「そうじゃねぇ。」
メーカーと大工さんが頑張ってくれている。
「この手摺はですねぇ、オプションですから、どこにでも付くんですよ。」
「短くなかろうか?」
「規格があるんですけど、ある程度、長さは、お好みの長さが選べますよ。カタログのこのページに……」
「きかく?」
「出来た後に、追加で言うても付くじゃろうが。」
「追加?」
おばあちゃんの顔色が曇ってきたように感じた。
質問に対してプロが淀みなく答えるが専門用語も入ってきて少し話しについていけなくなってきたのか?
「大工さんのおっしゃる通り、追加オプションの設定もありますから…、あった、このページに手摺の長さが…」
「はぁ。…長いのもあるんじゃねぇ。」
と言いながらおばあちゃんは、まだ無くなりきっていない自分の湯飲みにお茶を注いだ。
やってみるか。ショールーム営業を!
「奥さん、1度、ショールームに行きませんか?」
「しょーるーむ?」
「はい。言葉と写真(カタログ)でいくら説明しても、イメージが伝わりにくいんですよね。1度、現物を見てもらった方がイメージが湧きやすいと思います。」
「どこにあるん?」
「ここから車で、1時間ちょっとか、2時間弱か。ってとこです。」
「遠いねぇ。」
遠くないよ、おばあちゃん。