森陶岳 陶工の目 | 豊池美術店のブログ

森陶岳 陶工の目



「海揚り古備前(うみあがりこびぜん)」 備前焼が大窯で盛んに制作されて全国に送り出された時代に、複雑に潮の絡み合う瀬戸内海で難破した船から引き揚げられた備前焼をこのように海揚り古備前と呼びます。
このたび海揚り古備前の皿を入手しましたので、陶岳先生のご意見をお聞きしたくて訪問しました。
開口一番「素晴らしい土です。」と言ってくださいました。
その後、皿の一点に注目して「ウーム……」と腕組みをなさいました。言葉が無いご様子です。
やおら口を開かれて、「この重ね焼きの跡目は凄い!大窯を焚く時には窯に作品を詰める際に細心の構えで臨みます。その時に大切なのが窯道具です。この重ね焼きの跡目を見ると美しい二等辺三角形の楔形にしてあります。ここまでに至るには様々な試行錯誤の結果生み出されたとしか考えられません。破損の可能性を低く、取り外しが安全な重ね焼きの窯道具はここに至ったと想像します。先人の高度な技術力に感動しました。」と語られました。
ご教示を賜りました後で、人間の知恵は凄いものなのだなぁと身震いしました。

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