忍之閻魔帳

ゲームと映画が好きなジジィの雑記帳(不定期)


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▼これだけは観ておきたい、2014年度公開映画総まとめ

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年始の恒例としている昨年度の映画まとめを今年も紹介。
私的には昨年は洋画に大アタリが多く、邦画は不作だった。
ドラマの拡大判やコミック原作モノに頼り切った邦画の先行きを案じる反面、
「るろうに剣心」のような決定打も出たりするので止められないのだろう。
CDの年間ランキングが異様な光景になっていることは議論されても
映画の年間ランキングがアニメとマンガ原作で埋め尽くされていることが
あまり疑問を持たれないのは寂しい。

2014年に鑑賞した全タイトルを(一部抜けがあるかも知れないが)
2ヶ月区切りで紹介した過去記事は以下の通り。
冒頭でも書いた通り、今年は例年になく洋画に名作が多かったので
あっという間にアメブロの文字数上限(1記事あたり4万文字)を超えてしまい
泣く泣く削った作品も多数。この記事に載らなかったものでも
お薦めしたい作品はまだまだあるので、お時間のある方は目を通していただければ。

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▼これだけは観ておきたい、2014年度公開映画総まとめ(洋画編)


大統領の執事の涙

「プレシャス」のリー・ダニエルズ監督の新作は
7人の歴代大統領に仕えてきた黒人執事セシル・ゲインズの伝記ドラマ。
アフリカ系アメリカ人の20世紀をひとりの執事の目を通して振り返りながら、
未だ完全解決には程遠い黒人差別問題にひと区切りをつける作品。
誰よりも深く、身を以て黒人差別を経験していたセシルが
昇級なし、給料は白人以下という冷遇に耐えながら
執事に課せられた使命「空気で居ること」を頑に守り続ける姿に胸が熱くなる。




ダラス・バイヤーズクラブ

テキサス州ダラスで酒と女に溺れていたカウボーイ、ロン・ウッドルーフの物語。
HIV宣告を受けたロンが失意のどん底で生への執着をたぎらせ、
どんな手段を使っても生き延びようと行動を開始する姿を描いている。
人前では決して強気な姿勢を崩さないが
ひとりきりになった車内でふと涙が抑え切れなくなるなど
不安定な心の内と、屈強な男としての体裁とで揺れる
主人公を演じたマシュー・マコノヒーはオスカーに相応しいが
ロンと共に「ダラス・バイヤーズ・クラブ」を運営する
レイヨン(ジャレッド・レトー)がまた素晴らしい演技を見せてくれる。




それでも夜は明ける

1841年にワシントンD.C.で誘拐され、12年間に渡る奴隷生活を強いられた
実在の人物ソロモン・ノーサップの手記「Twelve Years a Slave」の映画化。
監督は「SHAME」で世界から注目された新鋭スティーヴ・マックィーン。
奴隷制度と黒人差別の歴史については何度も映画で描かれてきたが
本作が異なるのは主人公のソロモン・ノーサップが
最後まで「間違われた人物」だと自覚している点である。
12年間の奴隷生活は彼にとって「信じられない不運」であり
この出来事がなければ、後に差別撤廃運動をサポートすることも無かったろう。
もしかしたらスティーヴ・マックィーンは
黒人による黒人差別までを視野に入れてこの映画を撮ったのではないだろうか。
黒人主導の白人批判ではなく、黒人主導の無自覚批判こそが主題のように思える。




オール・イズ・ロスト ~最後の手紙~

御歳78才の名優ロバート・レッドフォードがたった独りで演じ切る海洋サスペンス。
船体の修復から貴重品の退避まで、漂流中のコンテナに激突された
クルーザーの持ち主が、刻々と変化する状況に合わせて対応する姿に手に汗握る。
台詞もほとんどなし、効果音は波の音に最小限のBGMと、
無駄を削ぎ落とした構成力・演出力も素晴らしい。




あなたを抱きしめる日まで

生き別れの息子を50年間想い続けて来た母親が
老齢になって一念発起し、息子の消息を追うロードムービー。
生き別れになった原因も悲劇なら中盤で明らかになる事実も悲劇なのだが
主人公フィロミナは道中で何度も何度も笑顔を見せてくれる。
彼女が愛すべきおばあちゃんになるまでにどれほどの苦しみがあったのか。
憎むべき相手に「赦します」と語りかけるデンチの表情の向こうに
劇中で語られないフォロミナの人生が透けて見えるようだった。




ウォルト・ディズニーの約束

ディズニークラシックの名作「メリー・ポピンズ」が完成するまでの過程を
原作者P.L.トラヴァースとウォルト・ディズニーの交流を通して描くドラマ。
資金難に陥っていたトラヴァースが、それでも「メリー・ポピンズ」の
映画化に首を縦に振らなかったのは何故なのか。
最終的に何故受け入れることが出来たのかを追うことで
ディズニーの制作スタイルやウォルトの温かな人間味が垣間見える。
気難し屋であり、人一倍寂しがり屋でもあるトラヴァースを
完璧に演じ切ったエマ・トンプソンが絶品。




アクト・オブ・キリング

1965年から66年にかけてインドネシアで起こった
大量虐殺事件の当事者にカメラを向けたドキュメンタリー。
無自覚に多くの人を殺め、英雄と讃えられていい気になっていた男が
逆の立場を疑似体験しただけで簡単に壊れてゆく様と
恐怖に打ち震える表情のリアルさをカメラに収めたかなりきわどい作品。
セル版Blu-rayは一部劇場で公開された、劇場公開版より40分以上長い
「オリジナル全長版」が収録されている。




8月の家族たち

ピューリッツァー賞とトニー賞をW受賞したトレイシー・レッツの舞台劇を
メリル・ストリープ、ジュリア・ロバーツ、ユアン・マクレガーら
多彩なキャストで映画化した家族ドラマ。
母親を気遣うほど金銭的にも精神的にも余裕のない娘達と
キツく当たることしか出来ない母親との不毛な言い争いを描いているようだが、
序盤はただひたすらヒステリックに悪態をついていたように見えた母親が
終盤では実は誰よりも冷静に家族を見つめていたことが分かってくる。
メリル・ストリープの独壇場かと思いきや
長女のジュリア・ロバーツが好敵手として奮闘し
珍しく弱気な青年役のベネディクト・カンバーバッチも味がある。
映画は何よりもまず芝居だと思う方ならお薦め。




チョコレートドーナツ

一組みのゲイ・カップルがダウン症の子を引き取り
正式な養育権を得る為に法廷で闘う姿を描いた感動作。
同性愛者への憎悪にも近い差別意識が渦巻く1970年代の社会において、
自分達が晒しものになる覚悟でマルコの親権を主張し続ける二人と、
法律を悪用してでもルディ達(ゲイ)を社会から抹殺せんと躍起になる人々。
その嫌悪感の正体を思う時、「それでも夜は明ける」にも通じる恐怖を感じた。
やるせない想いになる作品ではあるが、映画好きならば絶対に見逃してはいけない。




プリズナーズ

6歳の愛娘を自力で奪還せんと奮闘する父親(ヒュー・ジャックマン)と
あくまでも冷静に捜査を進める刑事(ジェイク・ギレンホール)のW主演による
緊張感たっぷりのサスペンス。
血気盛んな父親が愛娘を奪還する定番の題材だと見せかけておいて
その裏に天使と悪魔の代理戦争的な匂いまで漂わせる秀逸な脚本。
私的には、「ゴーン・ガール」「デビルズ・ノット」と並ぶ
今年を代表する3大「誘拐/失踪」モノ。




ブルージャスミン

富豪の夫を持ち何不自由ない優雅な生活を送っていた女性が
ある日丸裸にされてしまい、もう一度もとの生活に戻ろうと奮闘するコメディ。
泡銭を忌み嫌い、額に汗して得た金のみに価値を見出そうとする
凡人の妬み嫉みを、嘘で固めた面の皮で跳ね返さんとする
ジャスミンが何とも愚かで可愛かった。
ウディ・アレンらしいスパイスを盛り込んだ良作。




インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌

ボブ・ディランらと共に1960年代のフォーク・シーンで活躍した
デイヴ・ヴァン・ロンクをモデルにした音楽ドラマ。
才能さえあれば必ず世に出られるわけではないショービズ界の厳しさと
そこで生きた男の姿をユーモア混じりに描いていく。
若手ながら作品選びが渋過ぎるキャリー・マリガンが相変わらず良い。
2014年も音楽ドキュメンタリーは全体的に豊作だった。




グランド・ブダペスト・ホテル

上流階級が利用する高級ホテルで働く伝説のコンシェルジュを軸に、
殺人事件や遺産を巡る争いが繰り広げられるスピード感たっぷりのサスペンス・コメディ。
グランドホテル形式の舞台+ミステリー仕立て+スパイ映画風な演出もありと
あれこれと詰め込んではいるがきちんと整理整頓されているのでそれほど難解ではない。
シリアスなストーリーにも関わらずカートゥーンを見ているような
楽しさに満ちているのがウェス・アンダーソンマジックと言えよう。



台湾 映画 GF*BF
「GF*BF」

台湾映画の素晴らしさを教えてくれた「藍色夏恋」で
ヒロインを演じていたグイ・ルンメイが主演を務める青春映画。
27年間に渡る三人(女ひとり、男ふたり)の友情を描いた作品で
「藍色夏恋」に引けを取らない甘酸っぱさがたっぷり。
ここ数年の台湾映画では出色。




her/世界でひとつの彼女

「デジタルとの恋」についてオタク監督ならではの視点で描いた恋愛ドラマ。
主人公を虜にする最新OSサマンサの声はスカーレット・ヨハンソンが担当。
生身のコミュニケーションを遠ざけ、デジタルに癒しを求めた主人公と
デジタルとして生まれ、生身のコミュニケーションへの憧れに身を焦がすサマンサ。
知識を蓄えたからさぁ世界征服ではなく、デジタルである我が身について
禅問答のように深く考え始めるサマンサの選択がSFとして秀逸。
ミシェル・ゴンドリーのような映像美と、アンドリュー・ニコルのような優れた脚本と
ウディ・アレンのような洒落が三拍子揃った傑作。




オール・ユー・ニード・イズ・キル

何度も死んで少しずつ攻略法を学習していく「覚えゲー」の面白さを、
ハリウッドの潤沢な製作費とトム・クルーズを使って映画化した快作。
あまりに何度も簡単に死ぬトム・クルーズを見ていると妙に可笑しくなってくる。
本作のクルーズは、死ぬ度に力をつけていくシレンジャーそのもの。




GODZILLA ゴジラ(2014年版)

日本の怪獣映画に多大なリスペクトを持っている
ギャレス・エドワーズを抜擢して製作されたハリウッド版「ゴジラ」。
核実験によって蘇った、神の怒りを象徴したあの「ゴジラ」が帰ってきた。
ハリウッドでこれほどちゃんとした怪獣映画が作られてしまっては
もう日本製作による「ゴジラ」新作は望めまい・・・と思ったら
何と東宝が日本版の新作を発表してびっくり。大丈夫なのか。



映画 バルフィ! 人生に唄えば
バルフィ! 人生に唄えば

今年も快進撃の続いたインド映画の中でも決定打と言える作品。
耳が聴こえず、口も利けない青年バルフィの恋の物語。
難病にも関わらず明るく生きるバルフィの姿を
ジャン・ピエール・ジュネ作品かと思うほど洒落た映像と音楽で綴る。
サービス過多のバタ臭さもなく、インド映画もここまで来たかと感慨深くなる。




ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

大人向けに照準を合わせたアメコミ映画が花盛りの状況に風穴を開ける1本。
リブート版の「スター・トレック」を初めて観たときのようなわくわく感と
”会いに行けるヒーロー”的な親近感は、近年のアメコミ映画の中でも上位に位置する出来。
私の世代にはドンピシャの懐かしいヒット曲の数々も嬉しかった。
いずれ「アベンジャーズ」本編とも絡んでくるであろうし、続編にも期待。




猿の惑星:新世紀(ライジング)

「創世記(ジェネシス)」に続く新シリーズ第2弾。
人間に裏切られ、人間と決別して作り上げた猿達のコミュニティで
英雄として君臨するシーザーが「猿もまた人間と同じ過ちを犯してしまう」という
哀しい事実に気づいてしまう傑作SF。
後半のあるシーンで、ビデオカメラの映像を愛しげに見つめるシーザーに泣けた。



映画 アバウト・タイム 愛おしい時間について
アバウト・タイム ~愛おしい時間について~

「ラブアクチュアリー」のリチャード・カーティス監督の3作目にして引退作。
人生にはわずかな判断ミスによって取り返しのつかなくなることがたくさんある。
だから、瞬間瞬間を大事に生きていかなくてはならないと
主人公が気づき、実践するための装置としてタイムリープを使っているのが新しい。
映画のようにやり直しが利かない私達の人生は
成功も失敗も全てを経験として積み上げながら前に進んでいくしかないのだ。
映画を観終えた後の、劇場から出た瞬間からの私達の人生に向けられている大傑作。



映画 悪童日記
悪童日記

亡命作家アゴタ・クリストフのベストセラー小説を映画化したドラマ。
第二次大戦下に鬼のような祖母に預けられた双子の少年が
過酷な生活の中で心身ともに逞しく鍛えられていく姿を描いている。
食い物や金に貪欲な大人達に囲まれ、逞しくならざるを得なかった少年の瞳は
月日と共に濁りを増すが、決して生を諦めない。
鑑に映した我が身を叱咤激励するように、互いを支え合っていた兄弟は
終盤で別々の道を選択するのだが、その後がどうなったのか気になる。
原作はもっと長編らしいので、これは是非ともシリーズ化して欲しい。



映画 FRANK フランク
FRANK -フランク-

マイケル・ファスベンダーが劇中でほとんど素顔を見せることなく
かぶり物なしでは平静を保つことができない天才を演じた話題作。
瞬時に浮かぶ歌詞やメロディが聴く者の心を虜にする天才フランクと、
世に出たい一心でPCとにらめっこしてメロディをひねり出す凡人ジョン。
歴然とした才能の差を真正面から描いているので
こと音楽を志す者にとっては目にも耳にも痛いドラマかも知れない。
観終わって妙にしんみりしてしまったのは、
私がジョン(凡才)の側の人間だからだろう。
己の才能の限界を認め、可能性の翼をそっとたたむ時の辛さは良く分かる。




アンダー・ザ・スキン 種の捕食

「LUCY」は大ヒットしたのにこちらはほぼ無名のスカヨハ主演作。
不気味さと滑稽さを併せ持つ世界観は初期の円谷作品を思わせる。
SFでもホラーでもない、「怪奇作品」という言葉がぴったりの掘り出し物。
スカヨハは謎の生命体役なのだが、
食料調達の効率を考えて女性の形をしているだけで性別は不詳。
耳障りなスコアとわずかな台詞、物語の起伏もラストまでは淡々としたものだが、
いつ何が起きても不思議でない緊張感のせいで全く目が離せない。
かなりマニアックな作品。好きな人はとことんハマるはず。
ただし合わない人は「なんだこりゃ」で片付けられる可能性大。



映画 ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2
ニンフォマニアック Vol.1/Vol.2

過激な題材とは裏腹にラース・フォン・トリアーの優しさがにじみ出た良作。
今回ラースはかなり確信犯的にコメディ寄りに振っているし、
そもそもタイトルの「色情狂」を特別視していない。
買い物依存症がコメディ映画になるなら、男根狂いだってコメディにしていいじゃんと、
兎角セックスを特別視し、見てはいけないものとして処理してしまう
私達の道徳観こそを笑っているように私には思えた。



映画 マダム・マロリーと魔法のスパイス
マダム・マロリーと魔法のスパイス

南フランスで人気を集めるミシュラン1つ星レストランの真向かいに
インドから新天地を求めてやってきた家族が
突然インドレストランをオープンさせることで起こるドラマ。
物語の構成は同じラッセ・ハルストレム監督の「ショコラ」に近く
よそ者を排除しようとする田舎町のアレルギーを美味しい料理が優しく溶かしていく流れ。
高慢な女主人を演じるヘレン・ミレンは最初こそただの嫌な女だが
厳しさと愛らしさを内包し、亡き夫の店を守るため
プロフェッショナルに徹する姿が物語に深みを与える流石の芝居。



映画 6才のボクが、大人になるまで。
6才のボクが、大人になるまで。

オーディションで選ばれた少年エラー・コルトレーンが
6才から18才になるまでの12年間、毎年少しずつ映像を撮り溜めて完成させた
気が遠くなるほど手間ひまをかけた家族ドラマ。
監督によると、シナリオは大まかにしか設定しておらず
息子の趣味(写真)やハマっていること(音楽、映画など)についても
撮影時にヒアリングして取り入れていったという。
映像は全て本人なのだから、突然別人になったりしない。
2時間40分をかけ、6才の少年が本当に18才になっていく様を見ていると
子離れまでを振り返り「あっという間だった」とこぼす母親と
観客の心がぴったりシンクロする。



映画 デビルズ・ノット
デビルズ・ノット

アメリカを震撼させた未解決事件「ウエスト・メンフィス 3」を題材にしたミステリー。
「たとえ10人の真犯人を逃すとも、1人の無辜(むこ)を罰するなかれ」の精神が
守られていないのは万国共通なのだと痛感させられる。
決定的証拠のないまま投獄された少年達は18年の刑期を終えて社会復帰を果たしたが、
既に三十代半ばになっていて、青春時代はもう取り戻せない。
事件の真相を求める会の名簿に被害者の母親までが名を連ねているのは何故なのか。
杜撰な捜査と結論ありきで進行する劇場化した裁判を冷静な視点で捉えている。
コリン・ファース、リース・ウィザースプーン、デイン・デハーンら
華やかさを消すことも出来る達者なキャストも皆素晴らしい。



映画 天才スピヴェット
天才スピヴェット

ライフ・ラーセンの小説「T・S・スピヴェット君 傑作集」をベースにした
ジャン=ピエール・ジュネ監督によるファンタジックなロードムービー。
天才少年のスピヴェットがたったひとりでアメリカ横断を敢行し
スミソニアン学術協会主催の授賞式に参加するまでのお話。
社会や家族などの枠からはみ出してしまった人間を温かく包み込む
ジュネの演出はますます冴え渡り、絵本のようなビジュアルは
「アメリ」「ミックマック」から進化している。
ヘレナ・ボナム=カーターの母親が実に良い味。



映画 インスターステラー
インターステラー

ちょっと長めのアトラクション的な「ゼロ・グラビティ」が入門編なら、
こちらは中・上級者向けのSF大作。
専門用語が飛び交うクリストファー・ノーランらしい脚本ではあるが
今作では物語の主軸を父娘モノに置いており思ったほど難解ではない。
長尺(169分)を感じさせない圧巻の映像と畳み掛けるような展開、
フィルム撮影にこだわる職人気質が全てプラスに働いていて文句のつけようがない。
女性陣のアン・ハサウェイとジェシカ・チャステインは
配役が逆でも良かったような気がしないでもないが、些細な問題だ。
いずれにせよ、ここを超えるSF映画は当分出て来なさそう



映画 ゴーン・ガール
ゴーン・ガール

ギリアン・フリンの同名ベストセラーを「ゾディアック」
「ソーシャル・ネットワーク」のデヴィッド・フィンチャーが映画化。
近所で発生していれば井戸端会議レベルの事件を
これほどの吸引力でスクリーンに惹き付ける手腕は相当なもの。
世の女性はニック(ベン・アフレック)のだらしなさに激怒するだろうが
私はどちらかと言うとニックに同情してしまう。
つま先が震えるほどの背伸びをして、何とか手が届いた高嶺の花(エイミー)。
手に入れた瞬間は嬉しくとも、その後は永遠に身の丈以上の人生を強いられる。
疲れ果てたとき、手身近にあった小さな花が美しく映ったとして誰が責められよう。
二人の行く末は、辿り着くべくして辿り着いた当然の結果と言えよう。
ロザムンド・パイクの怪演だけでも観る価値あり。



▼これだけは観ておきたい、2014年度公開映画総まとめ(邦画編)


小さいおうち

中島京子の同名小説を山田洋次監督が映画化したドラマ。
金持ちの家で女中をしていた主人公の回想録になっていて
激動の時代を生きた人々の姿を山田監督らしい手腕で描き出す。
「長く生き過ぎたの」とさめざめ泣くタキ(倍賞千恵子)の言葉には
今の日本が進もうとしている道への警鐘が込められている。
ヒロイックな演出に終始した「永遠の0」とは対極に位置する作品。




ぼくたちの家族

「舟を編む」の石井裕也監督が「バンクーバーの朝日」前に撮った家族ドラマ。
母親が余命宣告を受けた日をきっかけに、元引き蘢りの長男、
自堕落な生活を送るプー太郎の次男、多額の借金を抱えた自営業の父の三人の男達が
それまで逃げていた家族内のポジションと向き合うようになっていく。
ぐらぐら揺れる家を必死で支える三人の男達を
記憶の退行した母親が無垢な笑顔で見つめているのが何とも切ない。
妻夫木聡、池松壮亮、原田美枝子、長塚京三は4人とも文句なし。




スイートプールサイド

押見修造の同名コミックを実写化した本作の題材は何と『剃毛』。
一歩間違えばただのエロゲーになりかねない題材を
妄想と狂気の渦巻く青春映画に仕立て上げたのは「アフロ田中」の松居大悟。
羽生生純原作×松尾スズキ監督による怪作「恋の門」も真っ青の青春映画に仕上がった。
17歳にして腕毛も臑毛も脇毛もボーボーという女生徒を演じた刈谷友衣子は天晴。
19歳になった須賀健太も「何故ここで本気を出してるんだ」と思うほど
エネルギッシュな変態性を全開にしていて素晴らしい。
全年齢が鑑賞可能だが、性の芽生え前に観ると違う扉が開きかねない危険な一作。




渇き。

「告白」の中島哲也監督によるバリバリのバイオレンス・エンタテインメント。
失踪をした娘行方を、酒浸りの粗暴な父親が追うサスペンス仕立てなのだが
捜索途中で明らかになる娘の素顔たるや『不良娘』などという表現では到底足りない。
三池崇史か園子温かというほどストレートなバイオレンス表現は
「告白」あたりで監督のファンになった新参組には相当キツいはず。
役所広司も妻夫木聡もオダギリジョーも天晴のクズっぷり。
繊細な少年(清水尋也)とは対照的に、生も性もリアルに受け止めて
今を生る少女達(二階堂ふみ、橋本愛、森川葵)も眩しい。




白ゆき姫殺人事件

スマホ1台あれば世界中の誰とでも簡単に繋がることのできる
時代だからこそ生まれた、ソーシャル時代のミステリー。
原作は「告白」「Nのために」の湊かなえ。
自己顕示欲に駆られてうっかり流したツイートが見知らぬ誰かの目に留まり
あっという間に拡散され、歪んだ正義が暴走する恐ろしさ。
膨張した正義(悪意)はいつしか事件の真相すら脇道へと追いやり
疑わしいだけの人物をとことんまで追い詰めて丸裸にする。
その過程があまりにもリアル。
安直なネット批判、引きこもり叩きで終わらせず
「本当の関係はどこででも築ける」と結論づけた点で傑作認定。




大人ドロップ

今年は大忙しだった池松壮亮の出演作の中では地味な方だが、
作品の完成度でいえばこちらがトップクラスではないかと思う青春映画。
「若気の至り」を遥か彼方に置き去りにしてきた私にとって
取るに足らないことで死ぬほど落ち込んだり
たった一言を口に出せないまま貴重な青春を浪費する
本作の登場人物達はとても眩しく、羨ましい。
思わぬ掘り出し物だったのが、同級生の野中春を演じた小林涼子。
本作をきっかけに今後出演作が増えてくる気がする。




太秦ライムライト

京都・太秦撮影所で日陰のまま老いてゆこうとしている大部屋俳優と
スターの座に駆上がろうとしている若手女優との交流を描いたドラマ。
主演は、様式美の世界である時代劇で、斬られて斬られて斬られまくってきた
日本一の斬られ役俳優・福本清三。
半世紀かけて身体に染み込まれている経験と勘が冴える福本も素晴らしいが
世界ジュニア武術選手権大会で優勝経験を持つ山本千尋の瑞々しさも引けを取らない。




思い出のマーニー

心を閉ざした12歳の少女が、謎の少女マーニーに出会い前向きな心を取り戻す物語。
『今がどんなに孤独でも、あなたも誰かに愛されてこの世にいるんだよ』
という大らかな愛のメッセージは、「魔女の宅急便」ぐらいまでの
『重厚でないジブリ』が持っていた温かみがたっぷりでオールドファンは感涙モノ。
丸メガネの少女・彩香を演じた杉咲花が素晴らしかった。



映画 紙の月 宮沢りえ
紙の月

『中年の女性銀行員が若い男に入れあげて巨額の横領事件を起こす話。』
この女性週刊誌ネタにしかならなさそうな題材を使い、
社会からはみ出すことなく生きて来た女性が
丸裸の自分を見つめ直し、本能に従って生きようとする様を描いた
サスペンスに仕立て上げる仕事は吉田大八マジックの真骨頂。
原作には登場しない相川恵子(大島優子)、隅より子(小林聡美)の二人が
良いアクセントとなり、人間関係をほぼ銀行内だけに絞る大胆な改変を実行。
原作やドラマ版とは違う梅澤梨花を作り出し
阪本順治監督の傑作「顔」の藤山直美に匹敵する悪女にしてしまった。
「面白ければ改変も大歓迎」の好例。



2014年度公開映画・忍的ベストテン


01位:「アバウト・タイム 愛おしい時間について」
02位:「チョコレート・ドーナツ」

03位:「6才のボクが、大人になるまで。」
04位:「インターステラー」
05位:「あなたを抱きしめる日まで」
06位:「FRANK フランク」
07位:「天才スピヴェット」
08位:「ウォルト・ディズニーの約束」
09位:「悪童日記」
10位:「デビルズ・ノット」
次点:「GF*BF」

洋邦合わせて考えてみたが、ここに食い込む邦画は無かった。
逆に洋画は上記の10本以外にもお薦めしたい作品がたくさんあった。
1位と2位は観賞後の気持ちが真逆で、今回は多幸感を優先しただけであり
作品のクオリティで言えば完全な五分五分。
3位以降も順位付けにはほとんど意味はなく
観た人それぞれに何らかの土産を持たせてくれる素晴らしい作品ばかり。



▼これだけは観てはいけない、2014年度公開映画

・黒執事
・ゲノムハザード ある天才科学者の5日間
・僕は友達が少ない
・青鬼
・わたしのハワイの歩きかた
・春を背負って




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