た行が、か行になってしまう①:小児の機能性構音障害の訓練(1) | 向き不向きより前向き♪言語聴覚士かあこから感謝をこめて

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ST(言語聴覚士)として病院・施設・学校などでリハビリや訓練に長年携わっています。出会わせていただいてきた方々への感謝の心をこめて、日々思う事・考える事などを綴っていきます。
どなたかの「今」にお役に立てることがひとつでもあれば幸いです。


今回は、
「た行」の音を言おうとすると、
「か」行の音になってしまう。

そのようなお子さんとの構音訓練(発音の練習)をご紹介します。

タイトルは「小児」としていますが、
成人で、機能性構音障害をお持ちの方にも、
応用出来る内容を、書くつもりです。

機能性構音障害って?

・・・という方は、
よろしければ、こちらの記事をお読みください。
>>>「構音障害は大きくは3つに分類できます」



以前に、
「し」が言えなかったお子さんが、
言えるようになったことを、
書いたことがあります。


思い当るな・・・という方がもしもいらっしゃいましたら、
こちらもご参考になさって下さい。

>>>ち」と「し」子どもバージョン:「し」が言えた!お子さんとの言語訓練で感動しちゃいました





さて。

今回のお子さんは、
幼稚園児で、もうすぐ年長さんになります。


全体的な発達の遅れなどはなく、
口や舌の形や動きにも問題はありません。



でも、

「た」が「か」に
「と」が「こ」に置換(置き換わる)してしまいます。


例えば、

「たいこ」と言おうとすると、
「かいこ」になってしまいます。

「とけい」と言おうとすると
「こけい」になってしまいます。


お子さんの場合、発達の影響もあります。


でも、

「た」や「こ」よりも、
発達的には後から可能になってくる音が出せていましたので、
練習すれば、出せるようになる。

と、判断しました。


練習の流れは、

誤った発音の仕方を学習しているので、
正しい発音の仕方を覚えて、
普段も使えるようにしていく。



と、なります。
聞き分けが出来ていないような場合には、まず、そこからになります




月に1回の訓練です。
(もっと、頻回にした方がいい場合も多いですが、事情により、これ以上の訓練は困難な方です)


1回目は、構音検査をしました。


このお子さんは、机に向かって、
「真似をして言ってね」
という指示に応じることが出来ました。

会える機会が、月に1回しかないので、
「大丈夫」と判断して、いきなり構音検査をしましたが、
このあたりは、ケースバイケースです。

慣れていただくことに、時間と回数をかける場合もあります。
(この位の年代ですと、むしろ、その方が多いかも・・・)

いくつか、誤った発音がみられました。

誤りかたには、法則性がありました。


次に、
誤ってしまう音を、
聞いて区別することが出来ているかを調べました。

発音を間違える音も、
聞き分けは出来ていました。
(これの調べ方は、又の機会に・・・)

このお子さんは、ひらがなの読みが出来ていました。

「かな一文字」の弁別や音読が出来る。
(発音を間違える文字は、違う発音になりますが)

これは、強みになります。
(読めなくても、読めないなりに、練習の方法はあります)



2回目は、上手に発音出来る音を使って、練習をしました。

具体的には、「た行」の中でも、
「ち」は言えたので、それを使いました。


私(言語聴覚士)の、口や舌の位置を見る。

口や舌の位置や、動かし方を説明を聞いて、実際に動かす。

鏡を使って、自分の口や舌の位置や動きをみる。

私(言語聴覚士)の動きと比べながら、修正する。



こういうことが可能か、確認するのと同時に、
こういうことをする、練習です。


上手に出せる音を使って行ったので、
上手に動かして、出すことが出来ました。

最初のターゲットにすることにした音も、
ちょっとだけ試しました。

こちらは、すぐには出来ません。

その音を出そうとすると、
どういうことが、そのお子さんの口や舌の動きに起きるか、
観察です。


そうして、
上手に出せる方の音で、
もう一回練習。

上手に出せて、


花丸~~~♪
すごいね~~~♪

という感じで、このセッションはおしまい。




3回目は、ターゲットの音の練習をしました。

会うのが、3回目ですので、少し慣れてくれています。

ターゲットは、
「た」と「こ」です。


結論を先に言うと、
この1回のセッションで、

単音の「た」「と」

語頭に「た」がつく時の「た」
語頭に「と」がつく時の「と」は、

言えました。
でも、ちょっと不安定。


でも、
横でみていらしたお母様のお顔が、
パァァァァァ!
と、明るい笑顔になりました。

「言えた!」と、独り言も聞こえました。


私も、
よっしゃ~~~!!
と、心の中で、ガッツポーズ!
(かなり、嬉しかったです)





単音の「た」「と」の練習。

を、宿題として、家で練習して下さるよう、
お母様とご本人にお伝えしました。

すごく安定して出来たら、
語頭に、「た」「と」がつく単語の練習もしてみて下さいね。

と、しました。

語中、語尾、の単語までは欲張らないで下さいとお願いしました。



長くなってしまうので、



「た」「と」
の、構音(発音)を誘導した方法については、
次回に書きます。



また、今回の記事の中に、

お子さんとの構音訓練(発音の練習)で、
大事にするポイント

・・・が、いくつか出てきました。


どのあたりが、ポイントかな?
と、探してみていただけると、嬉しいです。






それでは、本日はこのあたりで。

長文お読み下さりありがとうございました。







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