私のカミングアウトレターズ-2 | そして日々は続く

私のカミングアウトレターズ-2

親に言おう、と決めた私だったが、
言わなくても、一緒には住めるだろう状況ではあった。


---まうが実家に帰ることになった。

 シェアしてくれる友人はいるのだが、一階なのと、古いのとで、
 今の家は条件があわないので、引っ越そうと思う---

とでもいえば。


でももう、私はタイムリミットが来ている、と思っていた。


私がレズビアンとして生きることは、もう変わらない。
そうであれば、それを前提として、家族とは付き合っていきたい。

弟が、彼女を家に連れてきて、旅行に行った写真を見せながら一緒に食卓を囲むように。

いずれ結婚するのかな? と、親と三人で見守っているように。


そして、親はもうすぐ定年を迎える。
打ち明けるなら、きっと、親の世界が広いうちがいい。
毎日行くべきところがあり、やるべきことのある生活は、
精神の安定を支えるだろう。


***


ところで、親に言うことを、あおちゃんはどう思うだろう。


あおちゃんは、私よりだいぶクローゼットだ。

友達にすらほとんど言っていないのに、彼女が親に言うという。

彼女の親に、呼びだされるかもしれない。

怖くはないだろうか?

嫌だとは思わないだろうか?

プレッシャーには感じないだろうか?

これは、私の暴走ではないだろうか?


昨年の秋ごろだったか、一度、私が親に言おうと思っていることに関して、
あおちゃんにどう思うか、聞いたことは、あった。


あおちゃんは、とても自然だった。

「言いたいと思うなら言えばいいと思う。
 だめなことじゃなし、あとは誠実に向き合うしかないと思う」


会えなくなるわけじゃないでしょ、と、続けた、その、
強く応援するでも、否定するでもない、地に足の着いた静かな言葉に、
ひどく安心したのを、おぼえている。


***


弟に打ち明け、まうに同居の話を切り出し、
だんだんとカムアウトと、同居の話が現実味を帯びていった春頃。


大丈夫ですか?


と再び、私は聞いた。


私、一人で前のめって、暴走してませんか?

親には、誕生日が過ぎた頃カムアウトして、
年内に、あおちゃんと一緒に住みたい、
そんなつもりで動いてますが、それはあおちゃんの考えとずれてませんか?



「そのつもりでいたよ」と、彼女はいった。


「もろもろ落ち着いたら、いい家を探そうね」




ああ、この人と付き合っているから、話すことが私にとって、
現実になったんだ。

そう実感した。



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