今、相続財産管理人選任の申立を行うかどうか、悩んでいる案件があります。

 

みなさん、こんにちは。

司法書士の国本美津子です。

 

相続人がいないが遺産が残っている場合、利害関係人が家庭裁判所へ相続財産管理人選任の申立を行うことで遺産を処分する手続が開始します。

 

申立を行わない限り遺産の処分手続は開始しません。

 

ところが、「相続財産管理人選任の申立」を行うことが難しいことがあります。

 

私が思う1つ目の理由はこちらのブログで

今日お話しするのは、2つ目の理由「予納金」の問題です。

 

●2つ目の理由「予納金」

 

相続財産管理人選任の申立実費は数千円程度です。

 

家庭裁判所のHPをのぞいて見ると、

「申立に必要な費用」

 ・収入印紙 800円分

 ・連絡用の郵便切手

 ・官報公告料3775円 と記載されています。

 

ところが実務では、上記の実費以外に「予納金」を申立後に納付することを求められることがあります。

 

相続財産の管理にかかる費用や相続財産管理人の報酬に充てるお金を予め申立人に予納金として納めてもらおう、という制度です。

 

案件により金額は異なりますが、この予納金「数十万~100万円程度」になることもあります。

 

実際に私が今回、家庭裁判所に問合せたところ、ある家庭裁判所は50万円、別の家庭裁判所では100万円でした。

(もちろん案件の複雑さにもよりますので一概には上記の金額になるとはいえませんのでご注意を)

 

予納金を使わずに相続財産から管理費用や報酬を払うことが出来たのであれば最終的には納めた予納金は申立人へ返還されますが、手続が長引き管理費用や報酬が膨らみ返還される金額がのこらない、ということもあり得ます。

 

私が悩んでいる案件は、故人の遺産が古家の自宅だけ。

神戸から遠方の物件で価値はかなり低そうです。

ですが売却し買手が見つかれば債権の全額は無理でも一部は回収出来そう。

 

 

債権を回収するために数十万~100万円の予納金を納めるべきかどうか。。。

納めても不動産が売れ債権を回収出来るのか微妙。。。

 

「予納金を納めて申立てを行うかどうか」

只今、相談者の方と悩んでいる最中です。

 

せっかく「相続財産管理人」という制度が法律上あっても、予納金の問題などで申立が行われず故人の遺産の自宅が放置され空き家になっていく。

 

「でも、管理費用や報酬は当然だから予納金は仕方ないことだなぁ~」

「何か良い方法はないもんかなぁ~」

 

とひとりブツブツ言いながらこのブログを書いています。

 

悩んでいるこの案件、結果が決まればブログでご報告いたします!

 

 

 

 

相続人がまったくいなかったり、

相続人がいても全員相続放棄をした場合を相続人不存在といいます。

 

この場合、故人(被相続人)の相続財産は家庭裁判所で相続財産管理人が選任されると、最終的には様々な法的手続きを経たのち国庫へ帰属します。

 

相続人がいなくても相続財産が放置されないよう法律で手続がちゃんと用意されているんですね。

*手続については前回のブログをどうぞ。

 

 

ところがこの相続財産管理人申立の制度、

実務で利用しようと思っても利用しにくいことがよくあります。

 

その結果、相続財産が放置されたまま。

不動産であれば「空き家状態」です。

 

せっかく法律があるのに運用されないのはなぜでしょうか?

 

理由は2つある、と私は思います。

 

 

●1つめの理由~だれが申立をするの?

相続財産管理人選任の申立が行われて初めて手続がスタートします。

 

つまり、誰も申立てをしなければ遺産はずーっと放置されたまま。

 

誰かが申立をすればいいんじゃないの? 

 

と思いますが誰でも申立が出来るわけではありません。法律でちゃんと定められています。

 

(相続財産管理人選任申立ての申立人とは)

  利害関係人  または  検察官

 

ここでいう利害関係人とは、たとえば、

被相続人の債権者や特別縁故者、特定遺贈与の受贈者など、相続財産について法律上の利害関係をもつ人のことをいいます。

 

 

以前、次のようなご相談を受けたことがありました。

 

「隣家が相続人がいないため永年空き家状態。今はまだ大丈夫だが、将来、倒壊したり失火する恐れがある。いっそ隣人の自分が空き家を買取りたい。そのために自分が相続財産管理人選任の申立を行いたい。 どうだろうか。」

 

このような場合、「ただ隣人」というだけではは法律上の利害関係人とは認めらず相続財産管理人選任の申立を行うことは出来ません。

 

たとえば、

被相続人の債権者が出てきて利害関係人として選任申立を行ってくれれば、手続の中で相続財産管理人と交渉をし不動産を買取ることも可能なのです。

 

しかし、債権者がいるかどうかさすがに隣人の方ではわからず、結局、空き家はそのままとなりました。

 

最近では、空き家対策特別措置法ができたのでそちらで対応できる空き家もあるかもしれません。

 

しかし、相続財産管理人の制度を利用する場合、申立人の要件が壁になり相続財産がそのままになっているケースが多いように思います。

残念なことですよね。

 

次回は、2つ目の理由!をお話いたします。

 

このブログが皆さんのお役にたてますように。

 

 

 

相続人がまったくいない場合(相続人不存在)、

最終的には故人の遺産は国庫へ帰属します。

 

国庫へ帰属するには家庭裁判所での手続きが必要です。

 

手続きはざっと次のとおりです。

 

まずは、

家庭裁判所へ相続財産管理人の選任の申立を行います。

 

故人(被相続人)の相続財産を管理する相続財産管理人が選任されると具体的な相続財産の清算手続きの開始です。

 

たとえば、相続財産管理人は、

相続人がいれば名乗り出るよう官報公告を行います。

 

さらに別の官報公告では、

被相続人にお金を貸していた債権者がいれば申出るよう促し、

債権者が出てくれば相続財産管理人が相続財産から清算を行います。

 

定められた期間に相続人が現れなければ、晴れて相続人不存在が確定

 

相続人不存在の確定後、

生前に被相続人と特別な縁故がある人(特別縁故者)は相続財産を分与してほしい、と申立ることができます。

 

特別縁故者とは、被相続人と生計を同じくしていた内縁の妻や、被相続人の療養看護に勤めていた方のことですが、

 

家庭裁判所が分与の相当性を審査して判断するので、必ずしも生計を同じであるからといって財産が分与されるとは限りません。

 

特別縁故者がいないくても遺産の共有者がいれば、財産の持分はその共有者に承継されることになります。

 

たとえば、不動産を被相続人と第三者が共有しているような場合です。

 

債権者へ清算後も残余財産がある。

相続人も特別縁故者も不存在。

特別縁故者がいても財産の分与が認められない。

そして共有者もいない。

 

そのような場合にようやく財産は、

相続財産管理人から「国庫」へ引継がれます。

 

ここまでの手続きにかかる期間は最短でも13か月以上

なかなか大変な手続きでしょ。

 

時間と労力はかかりますが、

相続人がいない場合、

最終的に国庫へ帰属する手続きは法律で用意されています。

 

ですが、

現実には遺産が国のものにならず、不動産であれば空き家のままになっていることが多くあります。

 

次回のブログでは、実務の現状や問題点をお話いたします。

 

次回もお楽しみに。