公正証書遺言書を遺された方がなくなり

相続人の方から遺言書による土地の相続登記のご依頼を受けています。

 

ところが、この公正証書遺言書には大きな問題がありました。

 

こんにちは、司法書士の国本美津子です。

 

公正証書遺言書をお預かりして内容を確認してみると、

2つ大きな間違いを発見しました。

(以下は実際の内容ではなく具体例です)

 

 

1つめは、

『土地を遺言者の二男である田中に相続させる』と書くべきところ、

二男の名前が「田中」となっていました。

 

 

さらに2つめの大きな問題は、

二男に相続させるはずの土地が特定できませんでした。

 

遺言書で相続させたい土地を特定して記載する場合、

土地の「所在」と「地番」を正しく記載する必要があります。

 

ところが、今回の遺言書では所在、地積、地目は記載されていましたが、

肝心の「地番」が記載されていません。

 

たとえば次のような記載でした。

  ↓↓↓

「土地 神戸市東灘区田中町1丁目 宅地 50㎡12」

 

 

地番が記載されていないと、田中町1丁目のどの土地を二男に相続させたいのか特定できません!

(田中町1丁目といってもたくさんの土地がありますからね)

 

このままだと、相続登記を申請しても却下される可能性があります。

 

ましてや、二男の名前も間違っていれば、誰がどの土地を相続するのか法務局としても判断特定ができません。

 

 

では、どうしたらいいのでしょうか?

せっかくの遺言書が無駄になるのでしょうか?

 

 

このような場合は、

公正証書遺言を作成した公証役場で「誤記証明書」を発行してもらいます。

 

今回のケースでは、

遺言書に「二男」と記載されていたため、戸籍で確認すれば

明らかな名前の記載まちがいとわかります。

 

土地については、遺言書に記載されていた所在、地目、地積が登記の内容と合致しており、公証役場に保管されている遺言書作成時の資料からも明らかな地番の記載もれ、と判断できましたので、誤記であることの証明書を発行してもらいました。

 

誤記証明書には、

 

「二男である田中正に相続させる」とあるのは、

  「二男である田中正」の間違いであること

 

「土地 神戸市東灘区田中町1丁目 宅地 50㎡12」とあるのは、

 「土地 神戸市東灘区田中町1丁目100番」の土地であること

を証明してもらいました。

 

 

管轄法務局へも念のため事前に相談したところ、

 

不動産登記法上明文はありませんが、

「公正証書遺言書と誤記証明書を提出することで相続登記が可能」

との回答ももらうことができ、無事に五月の連休明けくらいには相続登記の申請する予定です!

 

これで、ほっと一安心です。

 

 

もちろん、全ての誤記について誤記証明書が発行できるとは限りません。

 

明らかな誤記などの場合だけですし、随分以前に作成した公正証書遺言であれば資料が公証役場に保管されておらず誤記と判断できず誤記証明書を発行できない場合もあります。

 

遺言書を作成する際には、

記載に間違いがないか、記載漏れはない作成した時点でしっかりと確認することが大切ですね。

 

このブログがみなさんの相続手続のお役にたてますように。

こんにちは!

司法書士の国本美津子です。

 

昨日のブログ相続が始まる前に「相続を放棄します」という念書は有効?無効?の続きです。

長年付き合いのない長男に「将来、父の相続の際には相続を放棄する」という念書をもらっていた父。

 

しかし、相続前に相続放棄の書面を書いても法的には無効です。

 

そのことを知った父はどうしたでしょうか??

 

 

父は遺言書を書くことにしました。

 

内容は「私が亡くなれば、全財産を妻と長女へ2分の1づつ相続させる」というとてもシンプルなものです。

 

父は、「長男は相続放棄する書面の通り、相続権を主張はしないはず。」

そう信じていらっしゃいました。

 

でも、もしその長男が父より先に亡くなると

長男の子供たち、つまり孫が相続人として登場してきます。

 

*父が亡くなる前に子が先に亡くなると、孫がその子に代わって相続人になります。これを「代襲相続」といいます。

 

 

孫たちにとっては付き合いのない祖父の相続。

たとえ長男が生前に相続放棄をする書面を書いていても

 

「法的に無効な書面を書いただけ」

 

「孫として相続人となったのなら、相続を放棄をするか遺産をもらうか自由に決めさせてもらうよ」

 

というかもしれません。

 

もしそうなると、残された妻と長女が会ったことのない孫たちと

相続人として遺産の分配について話合いをすることになります。

 

一緒に育った子供どうしでも「争続」になってしまう「相続」。

ましてや相続で初めて会うことになる相続人たちなら、一層争いの可能性が出てきます。

 

 

自分の死がきっかけで残された家族が争いに巻き込まれるのではないか、

孫たちにとっても決して幸せなことではないはず。

 

そのことを懸念されて遺言書を書くことにされたのです。

 

今、その遺言書作成のお手伝いをさせていただいています。

父の家族への思いが伝わりますように。