【問題】
吸収合併消滅会社の代表取締役を取締役会設置会社である吸収合併存続会社の代表取締役とする吸収合併をする場合において、代表取締役の就任による変更登記の申請をするときは、代表取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市区町村長の作成した証明書を申請書に添付しなければならない。
【解説】
吸収合併において、代表取締役の就任による変更登記の申請書には、「代表取締役が就任を承諾したことを証する書面」の印鑑につき「市区町村長の作成した証明書」を添付する必要はありません(商業登記規則61条2項前段)。
(添付書面)
商業登記規則 第六十一条
1 定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
2 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市区町村長の作成した証明書(=個人印鑑証明書)を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑についても、同様とする。
3 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「設立時取締役」とあるのは「設立時代表取締役又は設立時代表執行役」と、同項後段中「取締役」とあるのは「代表取締役又は代表執行役」とする。
4 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑
5 設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法 及び会社計算規則 (平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。
6 登記すべき事項につき会社に一定の分配可能額(会社法第四百六十一条第二項 に規定する分配可能額をいう。)又は欠損の額が存在することを要するときは、申請書にその事実を証する書面を添付しなければならない。
7 資本準備金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記(会社法第四百四十八条第三項 に規定する場合に限る。)の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。
商業登記規則61条2項前段において「設立(合併及び組織変更による設立を除く。)」という形で、合併は除かれています。
実質的理由としては、以下のように言われています。
1.合併においては、「従来の会社の代表取締役が合併後就任する可能性が高い」ので、すでに虚無人名義でないことは審査されている。
2.虚無人名義の代表取締役登記を作出するために、わざわざ複雑な合併登記を利用するとは思われない。
3.登記手続きの煩雑化を防止すべきである。
以上より、問題文の「吸収合併消滅会社の代表取締役」を「取締役会設置会社である吸収合併存続会社の代表取締役」とする「吸収合併をする場合」において、「代表取締役の就任による変更登記」の申請をするときは、「代表取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑」につき「市区町村長の作成した証明書」を「申請書に添付しなければならない」という命題は、誤りです。
【解答】誤り
【私見】
問題文では、吸収合併消滅会社の代表取締役が、合併後就任する場合に限定していますが、特に条文では、そのような限定はありません。
誰が就任しても、合併による設立登記、変更登記の際には、「代表取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑」について「市区町村長の作成した証明書(=個人印鑑証明書)」を添付する必要はないという結論になります。
○疑問点
「従来の会社の代表取締役が合併後就任する可能性が高い」とかいう何の根拠もない蓋然性(がいぜんせい)から、印鑑証明書の添付を不要にするというのは、全く不可解です。
で、このようなヘンテコで不合理な文章を読むと、「従来の会社の代表取締役が就任したときに限定されてたっけ?」と、変な勘違いを生み出すのです。
「吸収合併存続会社の代表取締役」なら、「商業登記規則61条2項後段で除外されている再任」っぽくて個人印鑑証明書の添付は不要そうです。
しかし「吸収合併消滅会社の代表取締役」だと「再任」じゃなさそうなので、「添付必要なのでは?」と受験生は錯覚してしまいます。
もともと趣旨が不合理なので、非常に覚えにくいのです。
○文理上も当然ではない
「設立(合併及び組織変更による設立を除く。)」となっていますので、吸収合併による「変更」登記も除外されるかは、本当は解釈が必要です。
どの書籍もあっさりスルーしていますが、「虚無人名義の代表取締役登記を作出するために、わざわざ複雑な合併登記を利用するとは思われない」という理解の仕方からすれば、「吸収合併による変更登記」も含めるということになるのでしょう。
組織変更の除外もそうですが、本当に無意味な例外はやめて欲しいですね。
分かりづらくなるだけですから。
吸収合併消滅会社の代表取締役を取締役会設置会社である吸収合併存続会社の代表取締役とする吸収合併をする場合において、代表取締役の就任による変更登記の申請をするときは、代表取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市区町村長の作成した証明書を申請書に添付しなければならない。
【解説】
吸収合併において、代表取締役の就任による変更登記の申請書には、「代表取締役が就任を承諾したことを証する書面」の印鑑につき「市区町村長の作成した証明書」を添付する必要はありません(商業登記規則61条2項前段)。
(添付書面)
商業登記規則 第六十一条
1 定款の定め又は裁判所の許可がなければ登記すべき事項につき無効又は取消しの原因が存することとなる申請については、申請書に、定款又は裁判所の許可書を添付しなければならない。
2 設立(合併及び組織変更による設立を除く。)の登記の申請書には、設立時取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑につき市区町村長の作成した証明書(=個人印鑑証明書)を添付しなければならない。取締役の就任(再任を除く。)による変更の登記の申請書に添付すべき取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑についても、同様とする。
3 取締役会設置会社における前項の規定の適用については、同項中「設立時取締役」とあるのは「設立時代表取締役又は設立時代表執行役」と、同項後段中「取締役」とあるのは「代表取締役又は代表執行役」とする。
4 代表取締役又は代表執行役の就任による変更の登記の申請書には、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める印鑑につき市区町村長の作成した証明書を添付しなければならない。ただし、当該印鑑と変更前の代表取締役又は代表執行役(取締役を兼ねる者に限る。)が登記所に提出している印鑑とが同一であるときは、この限りでない。
一 株主総会又は種類株主総会の決議によつて代表取締役を定めた場合 議長及び出席した取締役が株主総会又は種類株主総会の議事録に押印した印鑑
二 取締役の互選によつて代表取締役を定めた場合 取締役がその互選を証する書面に押印した印鑑
三 取締役会の決議によつて代表取締役又は代表執行役を選定した場合 出席した取締役及び監査役が取締役会の議事録に押印した印鑑
5 設立の登記又は資本金の額の増加若しくは減少による変更の登記の申請書には、資本金の額が会社法 及び会社計算規則 (平成十八年法務省令第十三号)の規定に従つて計上されたことを証する書面を添付しなければならない。
6 登記すべき事項につき会社に一定の分配可能額(会社法第四百六十一条第二項 に規定する分配可能額をいう。)又は欠損の額が存在することを要するときは、申請書にその事実を証する書面を添付しなければならない。
7 資本準備金の額の減少によつてする資本金の額の増加による変更の登記(会社法第四百四十八条第三項 に規定する場合に限る。)の申請書には、当該場合に該当することを証する書面を添付しなければならない。
商業登記規則61条2項前段において「設立(合併及び組織変更による設立を除く。)」という形で、合併は除かれています。
実質的理由としては、以下のように言われています。
1.合併においては、「従来の会社の代表取締役が合併後就任する可能性が高い」ので、すでに虚無人名義でないことは審査されている。
2.虚無人名義の代表取締役登記を作出するために、わざわざ複雑な合併登記を利用するとは思われない。
3.登記手続きの煩雑化を防止すべきである。
以上より、問題文の「吸収合併消滅会社の代表取締役」を「取締役会設置会社である吸収合併存続会社の代表取締役」とする「吸収合併をする場合」において、「代表取締役の就任による変更登記」の申請をするときは、「代表取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑」につき「市区町村長の作成した証明書」を「申請書に添付しなければならない」という命題は、誤りです。
【解答】誤り
【私見】
問題文では、吸収合併消滅会社の代表取締役が、合併後就任する場合に限定していますが、特に条文では、そのような限定はありません。
誰が就任しても、合併による設立登記、変更登記の際には、「代表取締役が就任を承諾したことを証する書面の印鑑」について「市区町村長の作成した証明書(=個人印鑑証明書)」を添付する必要はないという結論になります。
○疑問点
「従来の会社の代表取締役が合併後就任する可能性が高い」とかいう何の根拠もない蓋然性(がいぜんせい)から、印鑑証明書の添付を不要にするというのは、全く不可解です。
で、このようなヘンテコで不合理な文章を読むと、「従来の会社の代表取締役が就任したときに限定されてたっけ?」と、変な勘違いを生み出すのです。
「吸収合併存続会社の代表取締役」なら、「商業登記規則61条2項後段で除外されている再任」っぽくて個人印鑑証明書の添付は不要そうです。
しかし「吸収合併消滅会社の代表取締役」だと「再任」じゃなさそうなので、「添付必要なのでは?」と受験生は錯覚してしまいます。
もともと趣旨が不合理なので、非常に覚えにくいのです。
○文理上も当然ではない
「設立(合併及び組織変更による設立を除く。)」となっていますので、吸収合併による「変更」登記も除外されるかは、本当は解釈が必要です。
どの書籍もあっさりスルーしていますが、「虚無人名義の代表取締役登記を作出するために、わざわざ複雑な合併登記を利用するとは思われない」という理解の仕方からすれば、「吸収合併による変更登記」も含めるということになるのでしょう。
組織変更の除外もそうですが、本当に無意味な例外はやめて欲しいですね。
分かりづらくなるだけですから。





