- アントキノイノチ/さだ まさし

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もはや単なる歌手が書いているとは言わせないような内容。
歌手さだまさしをご存知の方は、彼の世界観を理解されていると
思うのですが、この小説もさだワールド全開とも思えるような作品で、
一見すると重いテーマを見事に柔らかなテンポと表現で
綴られていて、かなりの出来栄えと感じました。
今までの作品も読みましたが、これは秀逸と感じます。
さて、ここで少し雰囲気を変えます。
重い内容となりますので、敬遠されたい方は閉じちゃってください。
(若干のネタバレも含みますのでご注意ください)
人を殺したいと思うほど憎み、また、死んでしまいたいと思うほど
人によって苦しめられるような経験って、そこそこ生きていれば
あるのではないでしょうか?正直言いますと、
僕は実際にはそこまで発展することはなかったのですが、
ある意味似たような思いを感じたことはあります。
そしてそれによって抱える人の闇は、余計に心を疲弊させ、
嘆いたこともあります。率直に言うと、そういう部分が
すべて克服できている段階でもないと自分なりに感じています。
その中で「人の命」というものは決して軽いものではないというのは
当たり前のことですよね。にもかかわらず、
人は人によって悩んだり、心を痛められたりしてしまいます。
深く物事を考えなくても生きていける人も多いでしょう。
でも深く考えないと生きていけない人も多いはずなんですよね。
これはどちらが良いとか悪いの話では決してなく、
僕のように不器用にしか生きていけない人もいるという意味です。
正直、僕の拙い語彙ではどこまで伝えることが
できているのかわかりません。
でも、ほんの少しでも理解できる部分があれば、もしくは、
重度ではなくっても、「心の壁」や「心の傷」を
感じている人にはぜひ今作は読んでもらいたいと感じます。
若干、綺麗な作品にはなっていますが、
人の命の営みについて、尊厳について、光と影を反映させつつ、
多くのことを感じることができるものと確信して止まないです。
なお、今映画で公開されている「アントキノイノチ」については、
正直言うと僕の好みではなかったかのように思います。
原作で著者が伝えたいと思うところを、
あまりにもないがしろにしてるようにしか・・・
やっぱりこういう系統の映画っていうのは
原作超えは難しいのかもしれないですね。
さだまさしワールドの代表曲です。
ぜひ一度だけで良いので聞いてもらえたらと思います。
人は優しくって、それゆえに傷ついて、また傷つけてしまう。
償うということ、許すということは難しく、
だからこそ大きなテーマだと思います。
