自分の特技というかなんというか。

テーマ:
師匠の家に飾ってあるシャガールの絵が目に止まって、その色彩と、絵から滲み出る何層にも重なった香り、のようにものに胸を打たれてしばらく眺めていた。
お稽古前だったのだけど、師匠は、私が眺め終わるまで待っていてくれた。
「なんでシャガールは、こういう風に、描こうって思ったんですかね?」と師匠に聞いてみたら、師匠は
「うん…何でだろうね」
と言った。当たり前の事ながら師匠にも分からない事はあるのである。それを素直に言葉に出す師匠が好きだ。

それからお稽古で、師匠の音を聞いて、音からその音楽の映像が溢れて来て、それにウットリとして、私の出来は散々だった。でも、師匠の素敵な音楽を聴けたので良かったと思う事にした。

シャガールも、私の師匠も、言葉で全てを言い表せないモノを持っていて、それが外に放たれた時に、私はその何かに対して畏怖を感じて、それから恍惚としてしまう。

ある舞踊家の方と仲良くさせて頂いていて、
私はその方の踊りが大好きなのであるが、

清潔感と品位、作品に対する敬意、のある踊りだと感じる。

「私の踊りは物足りないと、周りから言われる」
とその人は恥ずかしそうに言っていたけれど、
私が思うに、物足りない、と言っている周りの人には、見えていないものが沢山あるのだと思う。

私は、見えていて良かったと思う。素人だけれど、何だかそこの部分は自信がある。

周りを見ると、この世には、沢山沢山、素晴らしい人が沢山居て、私は、万人が芸術家なのだな、と最近思う。
ある大企業で若くして社長になって、海外の支社の建て直しをした方は、趣味で長唄を唄うのだけれど、
私は、この人の唄う助六が一番好きだ。
人生が出ている。とっても粋で、とってもカッコ良い。

…と色々思うと、私は普通の人間だな、とつくづく思う。音楽が自分の特技ではない。

でも、何も特技が無いワケではない。
私は、人や物の、素敵な所、素晴らしい所を覗く事が出来る。奥底にあるものでも、汲み取れる自信がある。それが特技だと思う。

なので、その特技が、自分の音楽のプラスになるように、これからも生きていこうと思う。



AD