望月六郎的日記『中年勃起』 -4ページ目

ブログ再開!今月24日初日です。

4月15日

 

24かの初日を控え短期間集中でブログ再開いたします。

大変長らくご無沙汰しました。

 

劇団ドガドガプラスの新作は『セクシー女優事変・人妻死闘篇』です。

『セクシー女優事変』は深作欣二監督の大傑作『仁義なき戦い』シリーズを目標?に

全五作のシリーズを目指し、今回は第三弾目とあいなります。

『人妻死闘篇』はもちろん『仁義なき戦い』シリーズ第二弾『広島死闘篇』のもじりです。

セクシー女優カテゴリーの中でも燦然と輝く存在、バリューを誇る人妻セクシー女優が今回のヒロインなのです。

 

『このモチーフで行こう』…と決心するのは簡単でした。

しかし、いざ話を組んでいく過程にはそれなりの考察が必要でした。

 

最初の問題は、どこを舞台にするかってことでした。

前回の『セクシー女優事変・代償戦争=リスカ&リフレ』篇の舞台は新宿歌舞伎町。

17歳のヒロイン三人が苦闘を繰り返す歓楽街は、

現在ホストクラブ・トー横キッズでマスコミを賑わす歌舞伎町で即決できました。

 

そこから一転、今回は人妻の街をどこにするかって話になったわけです。

東京下町やら、千葉・埼玉なんかもいい感じ。しかし、ハイソな感じもある東京西部のベッドタウンも悪くない。

人妻からの連想を誰もが抱くローカリティー溢れる街はどこだろうか…って念想から浮かんだ街が東京都府中市でした。

 

府中市は欅並木も有名で、美しい街並みがある、重要なベッドタウンです。

それから府中刑務所、その上なんたって東京競馬場がある。

コロナ禍以前の春・秋競馬ハイシーズンには毎週末には9万人がやって来ていた、つまりギンギラ、欲望の街でもあるのだ。

 

『セクシー女優事変』シリーズはもちろんアダルトビデオがテーマのお芝居です。

発想はいわゆる『アダルトビデオ新法』の施行に端を発します。

「衆参両院、異例の全会一致で可決された法案は、この先の日本にあって一体どんな意味合いを持つのだろうか?」

…なんて疑念が浮かんだことから始まった妄想が原点なのです。

 

行き過ぎた自由…自由の限界…なんて概念が記された新書タイトルもちらほら見かけます。

行き過ぎた性環境・性表現に対するいわゆる反動的な政治判断なのだろうか、って考えたわけです。

 

少子化とか、LGBTQとか、新しい戦前とか、物騒にして大変喧しい現代に僕らは生きています。

こんな状況にあって、お芝居やってる以上、幾らかでも時代に突き刺さる現代物やりたい、やらねばならない…

30年以上前にですがアダルトビデオ監督やってた自身の過去を振り返ってみて、

「僕にも多少は責任のようなものもあるのかな…」なんて考えがなくもなかった。

 

そこで「ここは一つ、どうしても向き合ってみたい」

そんな意気込みで取り組もうと発心し、劇団員や常連出演者に相談した結果、一致団結、現在僕らは堂々と突き進んでいる次第です。

 

コロナ禍明け、令和5年4月公演『セクシー女優事変』第一作目『結婚するって本当ですか?』篇、前年の一大事…

盛夏の中…安倍元首相銃撃事件もありました。

事件の下地になった統一教会問題は宗教問題というより欲望に関する問題のように感じます。

渋谷に本部を持つ統一教会は東京多摩地区に多くの施設を持っています。

彼らのターゲットがこれらの地域の有産階級の有閑マダムとその御子息令嬢でした。

 

劇団座長=丸山正吾に託したシリーズ通しての重要登場人物=情縞仲人は

元・一等協会(ファーストチャーチ)の牧師という設定です。

なんらかの宗教的信念、宗教的哲学、宗教的野心を持った危ない男が令和日本の欲望と向かい合う…

そんな構造を構築できないものかと思案しつつ、ようやく第三弾に辿り着いた…って感じが現状なのです。

 

前作で情縞牧師が彷徨った街=歌舞伎町が選んだ次なるエリア=ターゲット府中市に奴はやってくる。

その狙いは何か?ってことを考えました。

もちろん人妻が今作最大のターゲットです。

しかし宗教家、情縞にはもう少し深淵な思い込みが必要じゃなあるまいか、と考えた次第です。

 

府中の名の由来は律令時代武蔵国の国府がったあったからです。

その中心は大国魂神社です。古代日本の権力・武力の集積地なのです。

現代においてこの街を象徴する競馬というお祭りは大昔に由来するかもな…そんな妄想が浮かんできたのは

図書館でふと手にしたのが蒲池明弘著・文春新書『「馬」が動かした日本史』を読んで知った事象からでした。

 

馬・牛・虎・豹は本来日本に居なかった、と魏志倭人伝にあります。

馬牛は古墳時代大陸から列島にやって来ました。

その原産はもちろん遙かなる草原が広がるモンゴルです。

馬はその後、馬に関する技術者と共に、たちまち列島各地へと広がっていきます。

九州全土、そして本州生駒・木曽・甲斐・越後・群馬・奥州へと拡大定着します。

 

とうじまだ大和政権の力が及ばなかった関東・蝦夷の地は狩猟民・縄文人の色濃いエリアです。

彼らが狩猟に用いた長弓は現在も続く和弓の元祖で、速射が効く大陸の短弓とは全く別物です。

扱いは難しいがロングレンジが自慢の強力な武器です。

大陸からやって来た馬と長弓の融合が新しい権力者=関東武士を産んだ。

馬を育んだ人々と在来の人々がハイブリットしたんですね。

 

そしてその彼らが中世日本の最大の危機、元寇に立ち向かった。

モンゴルの古文書では鎌倉武士の無双ぶりが記載が近年発見されたようです。

これ、当時の神社仏閣やらが喧伝した彼らの祈祷で呼び起こした台風=神風のお話なんかより、遥かにすごいロマンを感じますよね。

 

因みに馬は大陸からやって来たけど朝鮮半島やら現在の中国ではあまり繁殖できなかったそうです。

朝鮮では済州島のみに存在します。

一方日本列島では大いに繁栄し、古墳時代には大陸への有力な輸出品となり、群馬の古墳からは黄金の馬具も出土しています。

馬が列島に根付いた主因は日本の土壌にあったそうです。

火山列島の各地には、本来やせた土地である草原が広がっていて、これが馬の棲み家に最適でした。

馬は本来北方の生き物ですが馬は豊富な食料と人々の欲望に結びついで日本人の貴重な道具になったわけです。

 

明治時代、近代日本で生まれた日本の競馬は立派な軍馬育成が目的でした。

なんてったって国や地方が胴元の博打=ギャンブルです。

現代のJRA。地方競馬につながっているわけですね。

 

競馬という娯楽・産業に文句を言う気はさらさらありませんが

毎週末、金持って集まって、損しても文句言わない人々。

自己責任・そして血統という名の浪漫チックをありがたがる、宗教的な要素が豊富な世界観ではあります。

 

競馬はコロナ禍にあって、かつてのバブル期に迫る大盛況を迎えています。

無観客であっても、三密じゃない、オンラインで持って年中花盛りって寸法で、

その売り上げは世界の競馬の半数に迫る勢いだそうです。

 

かつて名血の墓場と称された日本競馬界からは世界ランキング一位のサラブレッドが次々に産出されています。

世界的名騎手も集まり万々歳なのですが、その陰で重要な問題がなくもありません。

 

アダルトビデオに関してですがこれまた日本は世界の最先端を走っているそうです。

その辺はSNSで「日本 アダルトビデオ 世界一」と打ち込むと情報が驚くほど列記されます。

もちろん影の問題も大いにあるんじゃないでしょうか。

 

どちらにしろ生き物=馬=人間を資材にする産業ですから、負の影響も少なかないわけです。

 

まあその辺は私たちの『セクシー女優事変・人妻死闘篇』をご覧になって大いに楽しんでいただけたら嬉しいです。

難しいこと散々書きましたが劇団ドガドガプラスは笑いとお色気と生きる情熱を何より大切にして

元気の出る芝居!とお褒めの言葉いただいてます。

 

で、『人妻死闘篇』本作では現在大人気のアイコン『ウマ娘』にあやかる形で『馬お嬢』なるアイドルユニットが登場します。

前作『代償戦争・リスカ&リフレ』篇の17歳のヒロイン三人娘(椿千優・佐藤亜柚・小鞠)が

それぞれディープインパク子・キタサンブラッ子・アーモンドアイ子に扮し踊り歌い弾けてます。

 

人妻とその関係者たちがメインの物語にあって

大変初々しくもあり一服の清涼剤ではありますが、危ない毒も含んでいます。

僕も昨日の稽古で初めて『ダンス・歌』見たんだけれど、なんとも嬉し恥ずかし、初老の身であっても胸が躍った。

 

皆さんも大いに応援してあげて欲しい。

場合によって『馬お嬢』は今後二期生迎えてもいいんじゃないだろうか、なんて妄想すら浮かんでいます。

 

競馬を愛した偉人・寺山修司はかつて「逃げ馬は、幻の獣=『馬食い』から逃げている」的な発言・文章を残しています。

草原にあって馬の脚力に勝る肉食獣が存在しないのにも関わらず、馬は何故、速さを競って進化したのか?

そんな疑問を寺山は投げかけているのでしょう。

 

野生であることを選ばなかった生き物、人間に変われる身となった馬にとって『馬食い』は人間です。

人間の欲望で間違いないです。

 

十七世紀初頭にイギリスに中東・アジアから持ち込まれた3頭の馬がその始祖だそうです。

300年以上に渡る、延々たる改良の結果が現在のサラブ種となったわけですが、

今回のコロナ禍じゃないけど、この先いかなる悲劇が彼らを待ち受けているやもしれません。

競馬もアダルトビデオも妖しい存在なのかもしれません。

 

日本は桜が散って一気に初夏を迎えた模様、本日もこれから稽古に行ってまいります。

それじゃあ。

 

 

 

 

 

 

 

千秋楽です。

11月30日

 

晴天。泣いても笑っても後一回。お芝居は安定してるけど、昨日は何だか違った。

もう一歩ギアが上がった、っていうか、お客様のノリもあって張り切りの度合いが上がった。

そんな感じでした。

 

観劇を終えたお客様の笑顔が嬉しい。

ずっと見守って下さっている、演劇通のお客様から「今一番面白い劇団」とお褒めの言葉も頂いた。

良〜し、もう一踏ん張り、芝居やってやろう、ってそんな感じになりました。

 

今回の物語は大変シンプルなストーリーです。

 

3人の十七歳。

その特徴は、友達いない。

それぞれの目的をもって歌舞伎町にやってくる。

でも歌舞伎町はそんな少女たちの未来を飲み込む化け物だ。

彼女たちは歌舞伎町から脱出する。

そして3人は大切な秘密を共有して初めて友人をゲットする。

 

こんな感じです。

書き始める前、僕は劇団員にロールプレイングゲーム的な話だと心づもりを語った。

でも正直僕はゲームやったことがないので、ゲームのどんな点が面白いのか教えてもらった。

 

仲間を作って、マテリアルをゲットする。

僕はマテリアルより言葉をゲットしたほうがいいかな、と考えた。

いくつかの言葉を拾いながら進む…そんな感じですね。

そこで言葉をいくつか考えたところから本作りは始まった。

けど、結局拾う言葉は一つになった。まあ挫折した訳です

でも一つだけ残った言葉が『秘密』です。

 

承認欲求が原因か、自分を曝け出してしまう。でもそれで傷ついてる若者多いような気がする。

見る人は、人の秘密を覗きたい、あばきたい、そして自分の正体は隠したまま、なんでもかんでも言い募る。

 

SNSで綴られる文章はひどいケースも少なくない。

表現の自由かどうかは知らないが、無茶苦茶な悪口も多いですよね。

 

傷ついても再生できるんだ。そんな作品ができればと考えました。

 

ドガドガの特徴の一つはモブシーンです。

大勢が群衆となって主人公を支える。

主人公がいくらいい芝居をしても、数人で出来ることには限りがある、かも知れない。

しかし大勢で支え合えば驚くような表現、時空が生み出せる、かも知れない。

 

モブシーンの稽古は、だいたいこんな感じ、と大きな動きを僕が指示します。

すると座長や劇団員を中心に、出演者が練り上げていきます。

完成間際で見せて貰う。その時、こうしたらもっと良いんじゃないか、的提案をする。

そして磨き上げる。そんな感じですかね。

 

出演者の表情が素晴らしいです。肉体的にはしんどいだろうけど、だからお客様に伝わるんだろうな。

さあ千秋楽です。劇場でお待ちしています。それじゃあ。

 

 

 

 

 

 

後二回。ラストスパートです。

11月29日

 

後二日。ラストスパートです。

お芝居は大変安定しているので安心です。是非いらしてください。

 

僕のお芝居でてる人は基本バイトしている。

それは僕もだけど。

大変な思いをしていながら、なぜお芝居するのか?

やっぱり承認欲求とかが原因だと分析されるのかな?

 

みんなもSNSは使っている。宣伝広報活動になるしね。

贔屓目かもしれないけど、そこに写っている写真、笑顔の彼らは生き生きしている。

自信がみなぎっている。一生懸命稽古して、その上で成果を勝ち得、舞台上で発散し、お客様と大切な時間を共有し、褒めて貰える。

 

SNSで見る映像を作る人は再生回数増やすのが目的だ。

多くの人に見てもらいたい、評価してもらいたい。これはある意味健全な自己顕示欲だろう。

しかし、かなりのパーセントで不健全な、病的な、不快な感情を呼び起こす映像が氾濫している。

 

SNSに依存する人も多く、精神的な、社会的な問題にもなってる。

 

お芝居をする。学校や病院や施設でお芝居する治療、教育、生き甲斐の養生がある。

頭脳を使い、感情を爆発させ、身体をフル稼働する。人間にとって良いことしかないように思う。

 

昨日、初めてドガドガ観てくださった48歳のお客様と話をした。

会社勤めの生活の中で、近年大きな変化があるそうだ。

コンプライアンス、ハラスメントが問題となって人との関係性が変わったそうです。

組織から奇妙な圧力が消えることは歓迎すべきことでしょう。

しかし、そのために感情を抑えて人と接触する。大変気を払わなければならないそうです。

 

まあ、僕のバイトだってそうだしね。クレイマーにも穏やかに対応しなきゃならない。

 

そのお客様が本当に目を輝かせて語ってくれた。

「お芝居が始まって、みんな生き生き感情を発露するのに、驚き、励まされました。4月、絶対また来ます」

嬉しいなあ。

 

僕がお芝居しなくなっても、今のメンバーはどこかでお芝居するでしょう。

その点、僕がいなくなってもみんなの将来になんの問題も無い。

でも、このチームでやりたい、って気持ちはきっとあるはずだ、と思いたい。

 

歌舞伎町の女の子、お芝居しないかなあ。それでだいぶ立ち直れる気がする。

でも地下アイドルとか、やっぱり病んでるし、この問題は本当に奥深いんじゃ無いでしょうか?

 

それじゃあ。劇場でお待ちしています。