北朝鮮NO2の粛正(5)中国に打撃



 話は、飛びますが、張成択がキムジョンナムの元恋人との関係が暴露されて、処刑されたことで、現夫人も張成択と性的関係があったと言い、キムジョンナムの子供も誰の子か解らないなどと言うことを言い出していますが、これには、同意できません。

舞踏団の踊り子というのは、金正日の時、共産党の宣伝のために設立したもので、メンバーは、全国を歩き回って、スカウトしたものです。金正日の前妻の金正男のお母さんも、後妻の高英妃も、舞踊団のメンバーでした。北朝鮮女性の中のエリートなのです。スカウトマンは、将来の指導者の奥さんにもなるかも知れない女性を捜し出すのです。審査は厳しいもので、頭が良いか、美人か、スタイルが良いか、出身成分が良いかなど、あとは、男関係の過去を調べるために、女性審査員が処女であるかまで、調べるのです。喜び組と揶揄したような言い方をしますが、基本的には、踊りのトレーニング、公演などのスケジュールも厳しく、外出や、男女交際も厳しく管理された、思想教育もなされ、修道院に入れられたような処女の花園です。厳しく管理されたエリート集団と言っても、過言ではありません。エリートを排出した親は、鼻高々で、配給も良くなり、生活も一変します。発掘したスカウトマンも同じです。

韓国に、大挙して、美女集団が応援に来て、韓国の男性が、まるで、アイドルを追いかけるように群がりましたが、「喜び組」と悪口を言われるような存在ではなく、思想性も高く、プライドもある女性達で、北朝鮮の上流階級に嫁いで行く女性たちなのです。




 李氏朝鮮も徳川政権も長続きしましたが、一つの特性があります。王様なり、将軍の奥方は、身分が低いのです。銘菓の娘は敬遠されました。身分の高い家の娘には、外戚が出しゃばってくるからです。徳川家康は、若い頃、今川義元の人質になって、今川義元の仮想の娘と結婚しました。信康という武将として、優れた息子がいましたが、家老の娘は、今川家が滅んだ後も、元今川家の武将と繋がりを持っていたため、織田信長の怒りを買い、命を絶たれました。徳川家康は、それ以来、外戚がくっついてくる銘菓の娘には、絶対手を出しませんでした。狩に行って、農家の娘を見初めたら、親に家の一軒ぐらいも買い与えて、側室にしたのです。農民ですから、外戚となって、政治に関与してくることはなかったのです。李氏朝鮮も后選びは、外戚がのさばるような有力者からは、選ばなかったのです。深窓育ちのお嬢さんではなく、百姓の娘とか、下級官吏の娘とか、子供の頃は、貧しくて、走り回り、お金を稼ぐために、働きづめで、足腰がしっかりしていて、丈夫な子供を産める女性を選んだのです。これが、李氏朝鮮が700年、徳川家が250年も続いた理由の一つです。近親同族結婚を避ける朝鮮民族伝統の「本願制度」という優れた制度も背景にあります。



 舞踊団のスカウトには、同族結婚を忌避し、外戚の台頭を嫌い、丈夫な子孫を残す朝鮮民族の優れた知恵が背景にあります。

従って、スカウトされた女性達は、底辺層から、一挙に、上流社会に駆け上がるステップを踏んでいるのです。「喜び組」と西側から、揶揄されるような存在ではありません。金正日の奥さんになった、高英妃も、在日朝鮮人であり、朝鮮では差別の対象になりかねない下層の娘から一挙に北朝鮮のファースト女性に駆け上がったのです。

だから、金正日の二人の奥さんの他、マカオに亡命していると言われる元の彼女も、全て、踊り子出身なのです。キムジョンナムの元恋人も現在の奥さんも踊り子出身なのです。後継者が、有力者の娘と付き合っていて結婚でも使用ものなら、外戚として、権力を振るうのは目に見えていますから、反対するか、後継者から外される危険があるのです。金正男、キムジョンチョルは、その禁忌に触れたようです。金正男が日本で掴まった時の銅控除制は、北朝鮮航空の社長の娘だったと確認されています。キムジョンチョルは、金日成大学の同窓生を見初め、彼氏と会っているに嫉妬して、ピストルを発射して、殺したか、怪我をさせたという噂が流れていますから、これも、高官の娘に手を出したから、忌避された一つの原因と見ています。

その点、キムジョンナムは、踊り子に手を出していますから、後継者としての禁忌には触れていないのです。

踊り子の背景には、深い意味がありますから、原奥さんが、張成択と関係があったなどというのは、同意できません。関係があったのは、元恋人で、恐らく、キムジョンナムが軍隊に入れられた後、男関係がおかしくなり、張成択も絡んできたと思われます。


 


 気位が高い、人気の踊り子のエリート女性とはいえ、男の誘惑は絶えません。

何かのきっかけで、希望を失い転落する女性が、出てくるのです。素行が悪くなって、田舎に送られ、処刑される女性は出てくるのです。

舞踊団の団長は、舞踊団の一部のメンバーを選出し、肌を露出したダンスを他のメンバーには隠れて、教えて、高官のパーティーに送り込んでいたのです。後継者の嫁さん候補からは、脱落したメンバーです。宴会で踊りを疲労し、酒をついだ後、金正日は、出席した高官に、踊り子をあてがい、性の相手をさせられるのです。ヨボヨボですが、男というのは、死ぬまで、若い女性の肌は恋しがるもので、男の機能を発揮できなくても、喜ぶのです。踊り子は、物を貰ったりして帰りますが、恒常的関係が続くと面倒ですから、上流階級に属する若い男性の嫁として、結婚させるのです。踊り子引退の儀式みたいなものでもあり、新しい上流階級の妻としてのスタートとも考えられるのです。秘密パーティーのことは、口止めされると共に、離縁される原因になりかねませんから、絶対、夫の家族には話さないのです。



 金正日が体調がおかしくなってから、張成択が秘密パーティーを主催したと思われ、キムジョンナムとの仲を引き裂かれた傷心の踊り子も、団長から引き連れられて、秘密パーティーに出るようになったと思われます。後でまた楽しもうという魂胆で、ビデオまで撮影し、それが何の拍子かしれませんが、ダビングされて、密かに流布したのです。中国にまで流れたという噂があります。張成択の命取りです。

キムジョンナムはその踊り子との関係を整理し、秘密パーティーとは縁もゆかりもない、厳しい管理の中で育てられた正真正銘の処女であった若かった現夫人と結婚したのです。踊り子としても、まだ、無名の存在でした。

現夫人は、賢い女性のようで、ファーストレディーとして、キムジョンナムも顔を公開し、そのように、立ち居振る舞いをしているようです。金日成が、後妻の金聖愛を扱ったと同じ用にしています。金正日は、妻に対しては、母親の金正叔が金日成から受けたような扱いしかしませんでした。