10,男の気持ち[理想の女]
修二は、好きになった相手が結婚していない限り、自分の気持ちをストレートに伝える男だった。
彼氏がいるのならダメで元々だし、あの時告白しておけば良かったと、後で後悔しない為にもずっとそうしてきたのである。
それに、修二が真剣に好きになる女は、イイ女に決まってる!と、自分で思っているので、彼氏がいない方が希なのだ。
沙織も、家の事情で中々外に出れない環境にある為に、男友達程度の知り合いを彼氏と考えていたに過ぎなかったので、修二からの告白は初めての経験でもあり、素直に嬉しかったのである。
修二にとって、沙織は理想の女にも思えた。
まだ逢ってはいないものの、写真で見た感じは飛び抜けた美人ではないが可愛い。
そして毎日家事をこなしている為、まだ高校生なのに料理が出来る他、今どきのコのようにそんなに遊んでいない。
また、話している時のイントネーションが、ちょっと名古屋なまりなのが可愛くて心地いいのだった。
ただ、修二がどんな仕事をしているのか、まだ沙織に言っていないのが不安でもあった。
「沙織はいい奥さんになれるね。」
「なんで?」
「もう家事全般出来るじゃん。」
「そんなの誰でも出来るよ。」
「結婚願望あるの?」
「うん、早く結婚したい!」
「マジ?なんで?」
「若いお母さんになりたいの。」
「そっか、専業主婦にも向いてるしね。」
「うん、毎晩ご飯作って旦那さんの帰り待ってるよ。」
「どんな旦那さんがいいの?」
「ちゃんと毎日帰ってくる旦那さん!」
「そんなのみんな帰るよ~!」
「ちゃんと、毎晩同じ時間に帰って来て、一緒にご飯食べれる人がいいの。」
「じゃあ、サラリーマンだね。」
「ん~、サラリーマンは嫌だあ。」
「えっ?なんで?」
「なんとなく・・・疲れ切った人のイメージがあるから。」
「俺、サラリーマンだよ。」
「へえ、そうなんだあ。」
「嘘だよ、今は荷物の仕分けするバイトしてるよ。」
「そうなの?」
「ああ、バイトなんだ。」
「へえ、就職しないの?」
「なんか、まだやりたい事が無くて・・・将来自分で会社やるのが夢だし。」
「いいねえ。」
「えっ?いいの?」
「夢があっていいじゃん!サラリーマンの人って、嫌なの我慢して仕事してる感じがするから可哀想。」
凄い!まだ高校生なのにこんな事を思っているなんて・・・・・自分が幼いのか、時々見え隠れする沙織の大人っぽさに、修二は驚かされるのであった。
「じゃあ将来は、沙織と大きい家に住みたいな。」
「私、そんな大きな家じゃなくてもいいよ!」
「なんで?」
「普通でいい。」
「俺はいい車も欲しいから、自分の会社大きくしていっぱい儲けたいな。」
「そんないっぱいお金もいらないよ。」
「なんで?」
「お金たくさんあったら、男の人は浮気するし、家に帰って来なくなりそうだから。」
そんな沙織の言葉に、修二はギュッと抱きしめてあげたくなっていた。
~つづく~



