熊本地震に関して要援護者の福祉避難所の問題が取り上げられている。「実際のところどうだったのか」を調べるために、読売新聞東京本社と熊日新聞宇城支部の記者が蕉夢苑にやって来た。記者が帰った後で気づいたのだが、それは一般的に福祉避難所の実態をレポートするという目的ではなく、熊本地震後に急性心不全で死亡し、熊本県が震災関連死とみられると発表した氷川町の女性(73)についての問題を追っかけていたのだ。

 

この女性は歩行が困難で転びやすい進行性核上性麻痺(まひ)という難病を患いながら車中泊を続けていた。家族は難病や障害のある被災者向けの避難所の存在を知らず、要支援者への周知のあり方が災害時の課題として改めて浮上した、と新聞記事が指摘していた。

 

記事を読んだだけで軽率なことを述べることはできないと思うが、端的に言えば、居住する自治体福祉課に相談すればよかったのではないかと思う。適切なアドバイスが得られたかどうかは定かではないが、少なくとも考えることのできる選択肢の幾つかを提示してもらうことができて、その中からより適切な対応を選ぶことができたのではないだろうか。

 

これから先は福祉避難所に関する一般論である。宇城市と特別養護老人ホーム蕉夢苑を経営する社会福祉法人宇医会は2つの協定書を取り交わしている。

 

1つは「特別養護老人ホームを利用する福祉避難所の開設等に関する協定書」(平成191128日締結)である。これは宇城市が定める「災害対策における自主避難段階からの福祉避難所の確保の方針」に基づき、蕉夢苑の協力を得て、要介護状態にある高齢者の確保のため、施設を利用する福祉避難所を開設するものである。

宇城市が、災害時の要介護状態にある高齢者の安全確保のため、その避難に必要な避難所の開設及び運営を蕉夢苑に委託する。蕉

夢苑は自ら所有管理する施設を避難所に供し、通常の業務に支障がない範囲で避難者を受け入れるものとする。

この協定に基づき避難所として蕉夢苑を利用できる者は、日常において介護を必要とする高齢者とその介護者に限る。

 

宇城市から蕉夢苑に対して避難所の開設及び運営を委託する旨の通知があったかといえば、暗黙のうちに事実上あったと理解している。それは宇城市高齢福祉課担当者からから福祉避難者を受け入れているかどうか、どのような状況にあるかの確認が行われた。それに状況をありのままに答えると「それでお願いします」ということがあったからである。

 

では、蕉夢苑が福祉避難所を開設することによって、通常の業務に支障がない範囲で避難者を受け入れたかどうかであるが、通常事業を継続したまま避難者を受け入れるとすれば、蕉夢苑の能力の限界を超えることになり、通常の業務にも支障を生じることは明らかである。従って、避難者を受け入れるためには、416日から蕉夢苑ではデイサービスの営業を休止し、デイサービスのスペースに避難者を受け入れ、主としてデイサービスのスタッフが避難者対応に当たる体制を敷いた。

 

このように平常から要介護認定されている避難者を受け入れる場合に対して、国からの通達が地震発生後すぐに発出され、FAX送信を受けた。発災後すぐに定員を超えて、可能な限り受け入れることができる。ショートステイを拡大実施し、介護保険法の適用を受けてサービスを給付できる。というものである。

 

日常において介護を必要とする高齢者とその介護者に限ったのかといえば、その通りである。416日それ以外の近隣一般市民が津波警報発令後に蕉夢苑駐車場に避難してきたとき、蕉夢苑玄関を開放してトイレ使用ができるようにしたが、それは利用者として受け入れたわけではない。

今回の地震により受け入れた福祉避難者は、この1つ目の協定に基づくものである。

 

実はこの他に2つめの協定が締結してある。それは「宇城市災害時要援護者等の福祉避難所として民間社会福祉施設等を使用することに関する協定書」(平成25125日締結)である。

この協定は次のような内容である。災

害時に災害時要援護者が避難を余儀なくされた場合に、宇城市の要請により、社会福祉法人宇医会蕉夢苑の社会福祉施設等を要援護者等の福祉避難施設(二次避難所)として使用することについて、必要なことを定める。この協定において、二次避難所に収容できる者は、市内に居住する者でかつ、次に掲げる者のうち市災害対策本部福祉対策部長が必要と認めた者とする。次に掲げる者とは、市の指定避難所(一次避難所)において安定した避難生活を送ることが困難で二次避難所において何らかの支援を必要とする者、及び親族等である。

 

要するにこの協定では、宇城市が蕉夢苑に対して協力を要請してきたとき、蕉夢苑は市からの要請をできる限り受託するよう努める。この場合の要援護者は高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病者等を含むものであるから、高齢者施設が受け入れるのは高齢者であるし、障害者を受け入れるのは障害者施設ということになる。あくまでも宇城市からの要請があった場合に受け入れる。

 

今回のケースではこの協定に基づく宇城市からの要請は1件もなかった。地域の医院から、あるいは宇土地区医師会からの要請に応えて、受け入れた避難者が3人あったが、一旦、一次避難所に避難したものの、一次避難所において安定した避難生活を送ることが困難であることから、二次避難所へ移る必要があると判断され、その時点で「受け入れが可能か」打診を受けたケースである。

 

さらに、難病指定を受けた者については協定を結んでいない。難病指定患者の避難に関して災害時にどのような対応をとるかについては、毎年のように会議、シミュレーション、ロールプレイイングを重ねてきた。これは宇城市ではなく熊本県宇城保健所が管轄するものであり、高齢者福祉施設というよりも居宅介護支援事業所のケアマネジャーなどが受け入れる病院との連携を如何にとるのかというものであり、いわゆる福祉避難所の問題とは異なる。難病患者を福祉避難所で受け入れができれば、それで足りるという性質のものではない。より個別の対応策が綿密に練られている。受け入れ先は病院ということになる。

 

これまで前提となる災害時における福祉避難所の仕組みを説明してきたが、少なくとも宇城市及び宇城管内においてはその対策がすでに講じられていたことになる。それでも不幸な出来事が起こった。新聞記事のタイトルは「福祉避難所の存在知らず」とある。つまり福祉避難所があることを知っていれば、このようなことが防げたのではないかと問いかけている。しかしその視点はピントがずれているのではないか。

 

まず、福祉避難所の存在をほとんどの人が知らないと考えた方がよい。市町村の職員でもこのような仕組みを知らないという人が少なからずいたのではないか。福祉避難所であればこのような出来事が防げたのかについても疑問である。福祉避難所ができたことを極端にいえば、避難者の安全を確保することに尽きる。それに加えて健康を保つことが次になすべきことになるが、難病患者の健康維持に対して福祉避難所にできることがあるかといえば、それは困難である。医療機関が担うべきである。つまり難病患者支援を目的とする災害時避難であれば、福祉避難所での受け入れは適切な対応とはいえない。難病患者を支援し把握しているのは地域の保健所であるから、その窓口である保健所に相談すべきであった。たらい回しだと思われるかもしれないが、その前により身近な住所地の自治体福祉課に相談すればよかったのではないか。市役所から保健所にもその旨の連絡が行って、何らかの対策が講じられたのではないだろうか。

 

後で振り返ればこのような考えに至るが、これから先は蛇足である。熊本地震発生から宇城市職員は市庁舎に泊まり込みを続けながら多種多様な対策、対応に当たった。発災から1週間、あるいは10日間というもの、蕉夢苑のスタッフのほぼ全員が一時避難所生活か車中泊を強いられた。しかも一次避難所にて避難生活を続けた蕉夢苑職員は一次避難所においても要介護高齢者対応を求められたという。福祉避難所において避難者対応に当たった全ての人が、同じ被災者であるにもかかわらず、気力と体力の限界まで全力で対応してきた。ちなみに個人的なことを申し上げて恐縮ではあるが、熊本地震発生から10日間ほどは、新聞においては一面に記載される地震の状況確認、テレビにおいては朝7時と夜9時台のニュース以外にマスコミ報道を見ていない。テレビは車中泊のカーナビで視聴しており、後は職場でのパソコン使用でネット上のニュース確認のみだった。自分自身と家族と職場における利用者と職員の安全確認のほかに何の関心も持つことはなかった。特別な任務を負う職種の人を除き、おそらくほとんどの被災者がそのような状況にあったのではないだろうか。

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運動会

5月16日(月)特別養護老人ホーム蕉夢苑の運動会が行われました。

5月14日余震、5月16日本震、そしてその後も余震が続いて1か月を経過しましたが、今後も警戒を要します。その間、利用者の皆さん方にはなにかと不自由をおかけしていることと思いますが、この日ばかりは日頃のうっぷんを晴らすような楽しいひとときを過ごしたいと思います。

家族会の方々も応援に駆け付けてくれました。ともに頑張っていきたいと思います。

 

さてプログラムです。

1030開会式、施設長挨拶、選手宣誓

1035ラジオ体操

1040パン食い競争

 

 

1100玉入れ

1115綱引き

11:20飴食い競争

1125車いすリレー

1130閉会式

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5月5日(木)昼ごはん

テーマ:

蕉夢苑は高齢者介護施設ですけど、季節感あるメニューを利用者の方々に提供しています。

 

端午の節句=こどもの日の昼食メニュー

ピース御飯

かつおのたたき

茶碗蒸し

赤だし

柏饅頭

 

 

ピース御飯はご飯の白にピースの緑が色鮮やかです。

茶碗蒸しのえびの赤が美しい。

柏饅頭の柏の葉がきれい。

かつおのたたきが季節を感じさせてくれました。

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