広島県の安芸の宮島の眼前の海で牡蠣を栽培している大野漁協の宮島口エリアの牡蠣屋さんたち。

数年前からここの漁協の青年部から発足した「安芸の一粒会」に関わっています。


「安芸の一粒」は殻付きシングルシードの牡蠣で、その栽培方法も特殊。

地捲きで養殖していたかつての広島の牡蠣養殖のスタイルを参考に、精の強い牡蠣を選抜して人工授精を行い、培養した栄養素で稚貝にまで育てて海に移してカゴで養殖していきます。

一年以上海の中で育てる「安芸の一粒」、一年未満の若牡蠣「厳蠣」(げんき)などはそうして育ちます。


「職彩工房たくみ」の加工室から


干満の差が大きなこの地区の海で、一日数時間、干上がった環境に置く時期も設けて、牡蠣により旨味を濃縮させるようなこともやります。だから、「安芸の一粒」「厳蠣」の2つは数は多く獲れないが旨味はすごい。


同じ牡蠣の養殖でも、九州あたりではこの時期に焼き牡蠣や殻付き牡蠣の販売がスタートしますが、その多くは春先に種を付けたホタテの貝殻を仕入れて、海で筏に吊して秋までそのままにしておき、11~3月に育った頃に売り切ってしまう、1年商売であるのが主流です。


広島の場合、「安芸の一粒」などの殻付き牡蠣以外の通常の筏養殖のものは、筏に吊す前に抑制棚に入れてじっくり育てる時期などをとるため、育成には正味2年以上を要するものが普通です。

それだけに手間もかかりますし、資源量も多く、牡蠣自体に精の強さも求められるため、そんな中で親牡蠣を選抜して育てた「安芸の一粒」「厳蠣」などはかなり稀少なものです。


今年1月には、東京の酢飯屋さんの岡田大介さんにお願いして、「安芸の一粒を食べる会」なども開催しました。


さて、今年の牡蠣の出来ですが、先週の漁協での打ち合わせでは、「育ちが例年よりも遅い」とのことでした。

「安芸の一粒会」の代表 島田俊介さん(島田水産)は「水温が例年になく高かったので、身入りが遅れたのではないか」といいます。

「職彩工房たくみ」の加工室から

広島産の牡蠣の最大の特徴は「剥き身」ですが、島田水産の牡蠣打ち現場もまだ今シーズンがスタートしたばかりでこれから徐々に生産量が増えていく見込みです。

「職彩工房たくみ」の加工室から

おそらく前回の打ち合わせから、2週間経過してまた牡蠣が育っていることを期待して、お知らせいたします。


今度の週末11月14日(日)に「安芸の一粒会」が主催し、牡蠣の交流会を開催します。


春の交流会(6月実施)も大雨の中、多くのお客さんがやってきて下さいました。

この時は、まだ牡蠣の現物がなく、本当に授精直後の牡蠣の赤ちゃんだけしか見せてあげられなかったのですが、それでも熱心に牡蠣のことを好きで勉強に来てくださった方、ありがとうございます。


今回は、前回の「聞いて、見る」だけではなく、「聞いて、見て、触って、食べる」の体験ができます!


開始時間は10時からです。


詳細は「安芸の一粒会」のHPより

http://www.oyster.ne.jp/


個人的には牡蠣船に乗って、クレーンを使って筏養殖の牡蠣のワイヤーをたぐっていく場面の見学が楽しみです。