自毛植毛の失敗で悩んでいる方 植毛のやり直しは任せてください

植毛はオーダーメイドでありその人に合った治療が必要です。
何より大事なことは、正しい知識と技術を持って治療することです。

最近は植毛を行うクリニックも増えているため“失敗”に出会う機会がとても多くなりました。

植毛の良い結果は自然でそれを受けたことが分かりませんが、悪い結果はすぐに目立ちます。
これは植毛の評判をとても悪くしますし、私たちにとってとても迷惑な話です。しかも修正で良い結果を出すのは初回の施術よりはるかに難しくなります。

このような不都合でデリケートな話題に医師は口をつぐんできましたが、今回植毛の“失敗”とその修正を取り上げるという企画をたてました。毎週出来るだけ多くの不満足例を公開して植毛に興味を持たれている方々とそれらの情報を共有できたらと思います。

植毛を受けた方が“失敗”だと感じているのは二通りあります。

1) 合併症など客観的にも明らかに問題のあるもの。

2) 客観的には失敗とはいえないが、受けた方がその結果に対して不満をもっているもの。

植毛は比較的安全だとされるのは1)が少ないということであって、2)の美容的な不満というのは必ずしもまれではありません。

最近の技術の進歩のために安全性や受けた方の満足度は向上すると思われていましたが、しかし実際にはそうなっていません。植毛のドンと云われるオーストラリアのシール博士は『パンチ式からマイクロミニ植毛さらにFUTに至る技術革新にもかかわらずクレームの比率はほとんど変わっていないのは驚くべきことだ』と述べています。

ずっと以前には多くの方は発毛という事実だけでも納得したかも知れませんが、しだいに結果に対する期待度も高まっていったということで、医師もそれに対応していくべきでしょう。

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FUE は“傷が残らない”とか“坊主頭にしてもばれない”などウソや誇張されたPRもあって普及していったのですが、本当は“傷が残らない”のではなく“点状の傷が残る”が正確です。最近は我が国でFUEを受けてその瘢痕に悩まれている方もいらっしゃいますが、海外で施術を受けた方からいろいろと結果についての相談をうけることも多くなりました。たとえば韓国でFUEを受ける日本人は1年で200例程度にすぎないと聞きましたが、不満足な結果について相談を受けることが本当に多くなっています。


FUEの傷とは?

FUEは1ミリ径ほどのパンチで一個一個の毛包単位(フォリキュラーユニット)を直接くり抜く方法です。傷跡は無数の白い虫食い状の点になります。問題になる状態は以下の3つに分類されます。
①一個一個がケロイドになる
②一個一個の瘢痕自体が目立つ
③ドナー部全体が薄くなってしまう


なりやすい方の要因とは?

①の状態は受ける方の体質によりますが頻度はごくまれで、海外の学会で1,2その写真を見たに過ぎませんし、私にも経験がありません。

海外で行われたFUTとFUEのケース

どちらの施術後も瘢痕がケロイドになっています。

こうなるとFUTよりFUEの方がやっかいです。



なりやすい施術の要因とは?

②と③の状態がこれにあたります。
②については、一般的に1ミリ径以上の大きさのパンチを使うFUE は瘢痕が目立ちやすいとされています。その意味で小さな径のパンチを使うべきですが、その分毛根切断のリスクが大きくなります。日本人のヘアは白人よりも大きい(太く毛根が深い)ので毛根切断のリスクはもっと大きくなってしまいます。また1ミリのパンチをドナー頭皮と直角にくり抜けば1ミリの傷になるはずですが、ドナー部のヘアは斜め下方に生えているので直角にではなく斜めにくり抜くことになり、その断面は1ミリよりも大きくなります。さらに傷のなおる過程で瘢痕はパンチのサイズよりも2倍ほどに大きくなるはずです。

1mmの瘢痕は2mm、1.2mmの瘢痕は2.4mmに近い。
さらにパンチを斜めに使うと瘢痕はより大きくなります。





広告で目にするロボットによるFUEや、オムニグラフトという機械を使うFUEは1.2ミリ径と聞いています。その場合には傷跡は2.4ミリに近くなって、結構目立つはずです。


ロボットを使ったFUEの瘢痕。
一個一個の瘢痕が大きく同じ範囲から集中して株が採られている



③の状態はパンチのくり抜き密度に関係します。
一般的にドナー部に存在するフォリキュラーユニットの4分の1以上をくり抜くとその範囲全体が薄くなったと感じるとされています。いわゆるwhite wall(白い壁)とよばれる状態です。日本人は白い頭皮と黒髪との色の対比がとても強い上に、ヘア密度自体が白人より低い(まばら)のでこの状態になりやすいと思います。





FUEで採取された範囲全体が薄く見える




予防策は?

医師がパンチのサイズを出来るだけ小さくすることと過激なドナー採取をしないことです。ただ、私の経験では 2、3本毛は1ミリか、最低でも0.9ミリ径が必要だと思います。植毛は一度ですむとは限らず、長い視点で考えるべきですが、特に海外で施術を受ける場合には、日本人のヘアの特長を理解している医師を選ぶ、またせっかくだからと言って一度に過度の株数の採取を希望しないなどの受ける方の注意も必要になると思います。


改善策は?

とてもやっかいな状態です。どうしても改善してほしいならスカルプマイクロピグメンテーションといって一個一個の白い瘢痕に色素を入れてその範囲全体を濃く見せる方法が考えられますが、広い面積なら結構大変な作業になります。
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第9回と同じテーマですが今回は別の理由によるものをとりあげます。
ごくまれにですが施術後にドナーの傷がとても広くなっていると問い合わせを受けることがあります。
施術直後はそうでもなかったのにドナー部を触ると抜け毛が目立って、1ヶ月経って手で触ってもヘアがなくパニックになったというものです。
傷の巾が広がっているのではなく傷の周囲のヘアが抜けてしまいその部分付近も傷跡と勘違いするわけです。


写真の状態は10年以上前に植毛を2回受けて最近3回目に約4000本の施術を受けた1ヶ月後の状態です。赤い所だけが傷跡であとの範囲は脱毛部です。


なぜこのようになるのか?

植えつけ部分のショックロスはホームページ上でとても有名な副作用ですが、これはドナー部のショックロスとも呼ぶべき状態です。一番の理由は傷のテンションにより、ほとんどのケースがメガセッションで巾の広い頭皮を採った場合や、何回も施術を行ったケースでした。受ける方の体質も重要な要因です。頭皮の伸び具合もよく採った巾も広くないのにたった1回の施術でなってしまったという事例もありました。男性より女性の方がなりやすいと感じています。


改善策は?

何もしなくても自然に改善します。一時的におこる休止期脱毛ですが改善するまでの期間は大体100日ぐらいです。休止期を短縮する目的でミノキシジル外用薬を塗るのも有効だといわれていますが、私の経験ではそれほど効いたという感触はありませんでした。気長にもとに戻るのを待つしかありません。本人にとっては深刻な悩みですが、長い目で見ればあまり心配する必要のない状態だといえます。

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植毛を受けたらまぶたが腫れてまるで相撲の朝青龍関のような顔になってしまい、仕事に支障をきたしたという話を時々耳にします。
合併症というより“経過中の不都合”だといえます。
いつもは当院にいらっしゃる方の状態を紹介しているのですが、今回は国際毛髪外科学会の会報誌に掲載されていた外国人の写真を載せることにします。



どうして腫れてしまうのか?

ドナー部位や植えつけ部位への麻酔剤の注入とニードルやブレード、パンチなどを使った植えつけ作業自体が原因です。以前のパンチ式植毛やミニグラフトの時代にはかなり高率におこり、眼の周りは内出血による“くま”も出たりしましたが、現在のFU株を使うトレンドでは植えつけるためのスリットも小さくできるようになってずいぶんとその頻度は少なくなっています。
ただ現在でも複合移植(FU株とマルチフォリキュラー株を混ぜる方法)を行ったり植えつけパンチを使っているクリニックでは高率におこり、%は分かりませんが聞き取り調査では大体3名に1人の割合でまぶたの腫れを経験しているようです。
ホームページ上でこの話題が多いクリニックはそれだけ頻度が高いということでしょう。


どんなケースに多いか?

FU株のトレンドでは腫れは減ったのですが、額はやはり30%ぐらいの割合で腫れは出るようです。ただ額の皮膚は厚くあまり目立つことはないのですが、腫れがまぶたまで落ちてくると人相が変わって人からも指摘されるようになります。
その頻度は3%ぐらいとされていて、たいていは術度3日目から出現して7日目くらいで自然に落ち着いてきます。これは株の定着率の低下など結果を左右するわけではありませんが、本人にとって大きなストレスになります。


なりやすい施術の要因

パンチを使って植えつけやスリットを作ったとしてもFU株より大きいマルチフォリキュラー株を使った場合に症例は圧倒的におこる頻度は高くなります。


なりやすい受ける方の要因

1)50歳以上の方の方が若い方より多いようです。

2)高血圧や体質的に術中のにじみが多かった方に起こりやすいようです。

3)ヘアラインなどまぶたに近い場所に植えつけた方に起こりやすいようです。

4)高密度植毛や株数が多かった方に起こりやすいようです。

ただ施術前に正確に予測することは不可能です。


予防策は?

1)ステロイドの内服薬を術後数日間服用すること。

2)麻酔薬や生理食塩水中に少量のステロイドを加えておくこと。

3)ヘッドバンドを術後すぐから数日間使っていただくこと。

4)数日間少し頭を上げて寝ていただくこと。

5)2、3日間長風呂やあまり身体を温めることを控えること。

6)腫れが出そうなら眉間にアイスノンや冷えピタなどを貼って冷やすこと。

などが予防策ですが、それでも腫れの確率をゼロにはできません。
腫れは一時的なもので必ず元に戻ります。くれぐれもご心配なく。


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植毛を受けたい方の一番の心配事は「本当に移植毛は発毛するのか?」でしょう。
その質問に対して植毛医は、
「ほとんどの移植毛は発毛します」
「90%以上の移植毛は発毛します。」
「95%以上の移植毛は発毛します。」
とかいろいろな表現で返答するでしょうがきちんと答えられる植毛医はいません。発毛したヘアの%を正確に測定する手立てがないからです。
写真はいろいろなクリニックで植毛を受けて手術前にイメージした状態にならなかったという訴えをされた方のものです。
確かにクリニックで説明された移植本数と実際の発毛本数とは大きなギャップがあるようです。


移植毛は発毛するのか
移植毛は発毛するのか
移植毛は発毛するのか


発毛率とは?

とても多くの発毛率の実験がありますが、ほとんどが1㎝四方という限られた範囲の中での条件で、95%以上、場合によって100%以上という数字もあります。100%以上は植えつける時に休止期だったヘアがあとで発毛したとしか考えられませんが。
1㎝四方の升目での数字と実際に行われる広い範囲が同じ発毛率かは分かりません。多分正確な返答は「問題がないケースで90%」ぐらいに落ち着くのではないかと思います。


株の定着はいつ?

移植したヘアが定着しているのか発毛する前に判定することは不可能です。術後2、3日でも問題のある移植毛を引き抜いたら出血したという事実から、その時期でも定着すると考えられる株もありますが、ラスマン博士の株の定着についての実験によるとすべての株の定着は術後9~12日後だったようです。


どうして低発毛がおこるのか?

発毛率をおとす原因はたくさんあるというよりも、植毛のすべての過程が完璧でなければその%は下がります。
施術を受ける方についていえば、

・高血圧、糖尿病、高脂血症の薬を服用されている方(もちろんすべての方ではありません)などは末梢循環の障害で%が下がるリスクがあります。

・強い紫外線、たとえばオーストラリアのゴールドコーストで水泳をした方が発毛しなかったとういう事例がありました。

・喫煙についてはデータがありませんが、高密度植毛では問題が起こると報告されています。そのため欧米の多くの植毛医は術前2週間の禁煙をすすめています。

・術後のヘアケアはもちろん大切です。シャンプーやブラッシングの他にも、水泳、サウナやカツラの着用についても要注意です。

一方施術を行うクリニックについては、もっと多くの注意すべきポイントがありますが、ここでは詳細は省略させていただきます。


◆発毛率を左右する要因

全身的要因
局部的要因ドナー部
移植部
株を作る過程の要因株の損傷(毛根切断、挫滅)
株のサイズとその形態
植えつけまでの過程の要因株の乾燥
植えつけまでの時間
温度管理
保存液
植えつける過程の要因植えつけ密度
スリットの方向、深さ、角度
受けた方による術後の管理


概して本当に発毛の芳しくなかったケースは植毛を始めて間もないクリニックによるものです。残念ながら日本では見様見真似で植毛を始めるクリニックがほとんどです。大学病院や公的な病院でさえ初めてのケースでほとんど発毛しなかったという事実をずい分と目にしてきました。料理と同じで医学書で学んでも経験のない手術はうまくいきにくいものです。施術のコツが分からないからです。また植毛は実際に結果がでるまで1年近くかかるので自分の手術の結果を経験しないで独り立ちすることはとても心配だといえます。
一方長い間日常的に植毛を行っているクリニックでは本当の意味での低発毛はあまりないといえるでしょう。そのようなクリニックで“発毛しなかった”というクレームがある場合には多くが以下のケースです。

・もともと植えた密度が低いためにボリュームアップ効果が期待を大きく下回った(『第10回まばらな植えつけにがっかり』を参考にして下さい)

・ドナーのヘアがとても細くてボリュームアップ効果が期待を大きく下回った。

・施術を受けた方に予期しない低発毛の要因があった。(ただこれは不満を訴える方に植毛医からは言い訳がましくてなかなか言いにくいものです)


説明困難な低発毛もある

植毛は新しい分野ですから医学的にすべてが解明できているわけではありません。表であげたような要因以外に説明困難な低発毛のケースもまれにですがあるとされています。これらについての論文を紹介しておきます。

・Xファクター(シール博士 1984年)
植毛を行うチームに全く落ち度がないと思われるケースの0.5~1%に原因不明の低発毛があり、これをシール博士はX(未知のという意味です)ファクターと名付けています。カツラの着用はこの代表的なものだといわれています。

・Hファクター(グレコ 1994年)
Xファクターのケースの多くはやはり植毛を行ったチームによる原因と思われる、それをマイアミのグレコはH(ヒューマンという意味です)ファクターと名付けています。彼は本当のXファクターはごく少ないと主張しています。

・個有の発毛指数(ピチョン 2011年)
何回注意深く施術を行っても平均より低発毛の症例がある。ブラジルのピチョン医師は発毛率を左右する遺伝や体質など受けた方個有の発毛率つまりPersonal Growth Index(個有の発毛指数)があるのではないかといっています。


予防策は?

当然ですが施術をできるだけ完璧に行うことです。受ける方も術後のヘアケアに十分注意するべきですが、どんなに注意しても低発毛を完全に予防することは不可能です。


改善策は?

私も2回の施術で思うようにいかず3回目で成功したケースをかなり以前に経験しています。低発毛は再度の施術で密度アップを図るしかありませんし、多くはそれで解決します。低発毛の要因は植毛医と受ける方の双方に関わるのでデリケートな状況になりますが、要因をいろいろと詮索するよりもまず医師が結果責任で対応すべきだと思います。ただそれには受けた方と植毛医の間の信頼関係が必要でしょう。
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写真は当院で約10年前に植毛を受けた方の移植部分のクローズアップです。株の根本が出っぱって鳥肌状態になっているのが分かると思います。このような状態をテンティング(テント状にみえるという意味です)といいます。
テンティングは第3回で取り上げたピットスカーorピッティングと逆の現象で、株の根本が頭皮表面からもり上がった状態です。私が最初に報告したこの状態は施術の“失敗”と呼ばれるにはあまりに微妙な合併症といえます。




なぜこうなったのか?

当時この状態についての情報がなかったために施術を受けた方の了解のもとに国際毛髪外科学会(ISHRS)の学会誌“Hair Transplant Forum International”の編集者にこの写真を送り、同じような症例があったのか、またその場合の対処法について問い合わせました。その後多くの情報がよせられ、それらをもとに治療方針を検討して2回目の植毛手術を行って改善したというわけです。
なおこの時に初めてアデレード(オーストラリア)のマルゾラ医師が“テンティング:tenting”という名称を用いて、2006年に英文教科書にその用語が登場しました。
回答のあった16名の世界的に有名な植毛医達からの情報を紹介します。

(1)テンティングの経験の有無について
・今まで経験したことがないとする医師 2名
・今までに経験したことがあったとする医師 14名

(2) その原因について
・施術を行った側によるとする医師 4名
・施術を受けた方の体質によるとする医師 10名
・施術を行った側と施術を受けた方の体質の両方によるとする医師 2名

でした。

メルボルン(オーストラリア)のシール博士らはこれは植えつけ部分の肥厚性瘢痕つまり、この状態は治癒過程の受けた方の体質により起こるのであって、これを術前に予見することは不可能であるとしています。反対に受けた方の体質によるものではなく、株の植えつけが浅すぎるために起こるという施術を行った側の技術的原因だとする意見もありました。
ただ浅い植えつけを行っても普通はテンティングは起こりません。
私は『株の浅い植えつけは患者の体質によると思われるテンティングのリスクを大きくさせる』と考えています。
気を付けて過去の症例を検討すると程度の差はあってもこのような状態は相当数存在したはずですが、程度が極端でなければそれに気がつかなかったのではないかと思います。鳥肌というようにもともとヘアはそのように生えているからです。





予防策は?

これを完全に予防することは不可能ですが、以下が注意点になります。

・注射針やブレードはその株に合わせた大きさのものを使用する。また植えつけ終了時にポッピングによる株のもち上がりを確認し、矯正することを面倒がらずに行う。

・ヘアラインを下げたり、こめかみへの植えつけなど、ドナー部と移植部の皮膚の厚さがかなり違うことによるミスマッチを起こしやすいケースには特に注意する。

・睫毛などごく薄い皮膚に植えつける場合には、スリットを刺しこむ角度を小さくして移植毛が十分深く移植部に入るように努める。


改善策は?

・今まで経験した他院のものも含め4例のテンティングと思われるケースのうち2例は術後1年後には正常に近い状態になりました。自然に治ることも多いので1年間は経過を見た方が良いと思います。

・追加の植毛により密度が上がるとテンティングは目立たなくなることが多いのですが、その時には前回よりも深めに株を植えこむように心がけます。

・植毛でも改善しない場合には生え際の前列はテンティングに対して以下の方法で改善を試みます。
  マイクロ電動モーターによって出っぱり部分を削る
  レーザーによって出っぱり部分を削る
  ステロイド外用療法
  ステロイドの局所注射


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ケース1はダイレクト法の術後ですが、大きな株を生え際の前列に植えつけたための違和感の他に、植えつけ密度の低さ、既存のヘアと移植毛のすき間 (植えていない空き地)がとても気になります。
要するにヘアラインの前しか植えつけていないわけです。

自毛植毛 まばらな仕上がり ケース1



ケース2はEクリニックのケースですが、不適切な生え際のデザインの他に、ケース1と同じ“失敗”が認められます。
ケース1、2とも植えつけられた株数をはっきりと説明されなかったようですが、明らかに植えつけ面積に必要な株数より実際の株が少なすぎます。株の定着率の問題というよりも植えつける株数の少なさが生んだ“まばらさ”といっていいでしょう。

自毛植毛 まばらな仕上がり ケース2



ケース3はCクリニックの術後ですが、生え際に帯状に500株を植えつけたとのことです。
ケース3はAGAの進行分類でクラスⅥですし、メガセッション(2500株以上)の適応になります。正面から見た生え際の改善だけを行ういわゆるfrontal forelock 形成でも最低1500株は必要なケースだと思います。

自毛植毛 まばらな仕上がり ケース3




ケース4は1000株を植えつけたとのことですが、植えつけを広げすぎています。男性の手のひらサイズ(100㎠)以上のこのような薄毛の面積に、1000株では10株/㎠以下、2000株でも20株/㎠以下の密度でしか植え付けられません。

自毛植毛 まばらな仕上がり ケース4



なぜこうなったのか?

1、 クリニックによって一度で植えつけられる最大株数は違います。メガセッションができないクリニックはどうしても少ない株数で広い範囲に植えつけようとしますし、施術を受ける方も薄毛全体への植えつけを希望しがちです。

2、 植えつけ密度(株数/㎠)×植えるべき広さ(㎠)=必要な株数ですが、基本知識の不十分な医師は何株必要かの理解が不十分なようです。全ての方が“前より少しましな状態”で満足するわけではありません。

3、 少ない株数の植毛はスタッフも少なくてすみ、施術時間も短くなります。小さなサイズの施術件数を多くこなした方が儲かるという理屈かもしれませんが生え際に少ない株数を植えつけて頭頂部にはHARG、メソテラピーなど植毛以外の方法( それらに有効性のエビデンスはありません )を勧めて治療費アップを目論むクリニックもあります。

4、 植毛の費用設定が受ける方の支払能力を超える場合には、支払限度額の株数で施術を行うクリニックがあります。この場合当然のことですが一回の施術で満足が得られず結局高くついてしまいます。




予防策は?

基本的にはクリニックと医師選びということになりますが、施術を受ける際に知っておくべきことは、

・FUTであろうとFUEであろうと、同じ状態には方法のいかんにかかわらず同じ株数が必要です。FUEだから株数が少なくてもすむということはありません。

・30株/㎠以下の植え付けの場合多くの方はその濃さにがっかりするといわれています。ご自身の植え付け部分の広さと必要な株数についてよく理解することが大切です。

・“予定よりも多くの株が採れたから生え際以外つむじにも植え付けておきました。”などと恩きせがましい言い方をされた事例を耳にしますが、そんなケースに限って生え際もたいした結果ではありません。植えつける範囲はあまり欲張らないことです。

・クリニックの見積もりが用意できる金額以上の場合には、できたら予約せずにその額が準備できるまで待つことです。少ない株数で妥協しても満足は得られにくいものです。結果的に高いものになります。
もちろん提示された見積もり自体が適切なのか確認もしっかりしてください。




改善策は?

結局追加の植毛による密度アップしかありません。
ほとんどの方が満足する濃さは40株/㎠以上の発毛といわれていますが、一度の施術でそれを約束できるクリニックは世界中に多くありません。 最近は一度の施術での“満足”も多くなりましたが、受ける方の結果に対する満足度は各人違います。一般的には植毛では2回目はあり得ると考えたほうがいいと思います。ただ1回目の結果の二倍の濃さになると満足できるか?が一応の目安でしょう。実際には何回施術を受けても結果がまばらなクリニックが多すぎます。
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従来の方法ではドナー部位に線状の瘢痕ができますが、最近の技術ではほとんど目立たなくすることができるようになりました。しかし今でも時々とても悪い傷跡を目にします。

ケース1、2はNクリニックのたった1回の施術で出来たものですが、不適切なデザイン、巾の広さと縫合の糸痕が目立ちますし、縫合の失敗といえます。Nクリニックの院長を良く知っているのですが、明るく朗らかな反面ちょっと大雑把なところが気になります。技術はともかく、植毛の根を詰める長時間の退屈(?)な作業には不向きな性格かもしれません。それは植え付け部分にも現れています。

ケース3はAクリニックがFUEに特化する前に行なったケースの傷跡です。自分たちの作った悪い傷をFUTを中傷する材料にするのは感心出来ません。


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FUEは線状の傷が残らないという点で急激に人気を得ていますが、現在でも従来の方法(帯状にドナー頭皮を切り取って顕微鏡でFU ごとに株分けする方法:Follicular Unit Strip Surgery)が標準手術で、FUEが盛んな欧米でも植毛手術全体の70%の比率を占めています。FUSSの傷について知っていていただきたい事実は

・初回の傷のほとんどは目立たない

・Trichophytic closure などの技術の進歩で傷は以前より目立たない。

・世界的な風潮ですが、FUEのクリニックはFUSSの線状の傷を過大に言い立てて、必要以上に不安をあおる現実がある。



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なぜ悪い傷跡になるのか?

多くの植毛医は傷の緊張を第一の理由だとしていますが、私は技術的には大きさの順番で次のようなものが傷を悪くする要因だと思います。

1.毛根切断

2.傷の緊張

3.切断面の乾燥

4.無神経(乱暴?)な施術操作

受けた方の体質も重要な要因です。ケロイド体質の方も目立つ傷になりますが、本当の意味でのケロイドは植毛には稀で20年間で2、3例しか経験していません。ケロイドに似た肥厚性瘢痕という状態はもう少し多いのですが、これは2年程度で落ち着くようです。もっと一般的な幅の広い状態について、ロサンゼルスのラスマン博士は5%の割合で、むしろ若い頭皮のとても柔らかい方のケースに多く見られると報告しています。頭皮が硬くて緊張の強い方に巾が広がるケースが多いと言うわけでもありません。



悪い傷の改善策は?

もし悪い傷になったら、改善策は傷の切除縫合あるいはその部分への植毛になります。

(1)切除縫合
結果がすぐわかることとドナーが要らないのは大きな長所ですが、しだいにまた傷が伸びてもとの状態に近くなると改善が実感できないことがあります。つまり術前とあまり代わり映えしないこともありうるのが欠点です。単純に傷を切除する方法と、W型に切除してテンションの方向を分散するやり方があってケースごとに使いわけています。いずれにしてもこの際に採れるヘアは無駄にせずに移植します。

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(2)植毛
FUEで傷に植毛します。ドナー部は普通一番ヘア密度の大きい場所ですから、1回の施術密度では不十分で複数回の施術が必要なこともあると思います。


(3)切除縫合と植毛の併用
とくに目立つ箇所を部分的に切除して、そこから採れたヘアを移植毛としてその他の瘢痕に植毛します。
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「もともと直毛なのに移植毛がちぢれている。元に戻りますか?」
という質問を時々いただきます。
移植毛のカールは通常の経過で自然に直っていくものと、いつまでたっても直らないものがあります。


直るカールと直らないカールがある


【直るカール】

休止期を経て発毛した移植毛は細くもともと直毛の方でも少しカールしています。くせ毛の方はさらに縮れがひどくなります。
いずれにしてもそれらが太くなるにつれて、もともとのドナーのヘアと同じになりますが、完全にとなれば1年以上かかります。
私は15年前にヘアラインの植毛を受けましたが、1回目の6ヶ月目と11ヶ月目の写真を比較するとそのことが分かると思います。

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【直らないカール】

時折強いカールが見られることがあり、残念ながらそれはいつまでたっても直りません。

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なぜ直らないカールができるのか?

直らないカールについていえる事実は以下の事柄です。

・傷跡への植毛ではこの比率が大きい。

・こめかみへの植毛ではこの比率が大きい。

・植毛の経験に応じてこの比率が減っていく。

カールの原因について今まで植毛医から語られることはありませんでした。
私も長い間その原因はわからないでいたのですが、今では株を挿入する際の不適切な深さがその原因ではないかと考えています。これはあくまで私の説ですが。


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ヘアは毛根から頭皮まで4~5.5mmの深さで生えていますが、移植毛を押し込み過ぎると根元で折れ曲がってしまいます。
萎縮した傷跡やこめかみはドナー部の頭皮より薄いのでカールのリスクを大きくしていることや、経験の浅い植毛チームではスリットに株を強く押し込む傾向があるためによりおこりやすくなるとにらんでいます。


カールの予防策は?

移植毛の深さを測ってそれに応じて深さのスリットを作ることや株の挿し込みの際に強く押し込まないなどがポイントです。ただ経験を積んでいてもカールを0にすることは難しく1~2%のカールは想定内だと思います。小さい%のカールも“失敗”だとされると正直植毛医にとってはツラいものがあります。

直らないカールの改善策は?

残念ながらそのヘアを抜去するしかありません。
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ケース1と2はSクリニックで数回植毛を受けた方のヘアラインです。
ちょっとわかりにくいのですが、さわると植えつけた範囲全体が土手のように硬くもり上がっています。特に1の方の場合にはもともと頭皮が柔らかいこともあって、横方向にも畝のように波状にもり上がっていて、その頂の部分の移植毛は左右に分かれて薄く見えています。とても違和感が強い状態です。
このようなケースは大きな株を使うクリニックで時折見られリッジング( Ridging )といいます。
私の知る限りこの“失敗”は今まで語られたことはなかったと思います。
つまりここで初めて登場した言葉というわけです。


リッジングとは?

植毛医でさえこの現象はほとんど知られていませんが、リッジングの意味は辞書をひくと隆起、尾根、山脈、波がしらなどとなっています。
生え際の植えつけた範囲が帯状に隆起している状態で、パンチ式植毛の時代ではけっこう見られたのですがFU株の時代にはほとんどなくなりました。失敗の全滅危惧種というわけです。
ただ今でもダブルフォリキュラー株によると思われる軽い程度のケースは時々見受けられます。


なぜリッジングが起こるのか

受ける方の体質は大いに関係しています。植えつける範囲に株のボリュームが加わるためにふくらむというのは一見説得力がありますが、FU株による高密度植毛でもこの現象はないのでそうともいえないようです。
むしろ大きなニードルやブレードあるいはパンチをつかったために頭皮組織に過大なダメージが加わり線維化がおこったためだと考えられます。
パンチ式植毛の時代には多発したといいましたが、国際毛髪外科学会が発行している『植毛フォーラム:Hair Transplant Forum』の1993年度版にこのテーマについての3名の有名な植毛医の論文がありましたので紹介しておきます。


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リッジングの改善策は?

リッジングの予防策はMFU株をつかわないということになりますが、もし起こった場合は改善策としては、

(1)確実な解消策はその部分を切り取ってしまうしかありません。ただしこの方法を受けいれる方はほとんどいないと思います。

(2)ステロイドの局所注射。

(3)FU株をもり上がっている部分に植えてカモフラージュする。

などが考えられます。
リッジングは改善するのがむずかしくやっかいな状態です。なおケース2では(3)を行いました。
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ケース1、2、3ともBクリニックで施術を受けた方の生え際の写真です。
同じクリニックでも担当医によってずいぶんと様相が違う生え際になることがわかります。

1、2は複数回の施術を頑張ったようで、しっかりと濃くなっています。
ただ失敗とまでは言えないにしても私は正直、違和感を覚えます。ノープロブレムとおっしゃるおおらかな方も多いとは思いますが。生え際はふつう少し薄い前列からしだいに濃くなるのですが、ケース1,2とも急に濃くなっています。表現しづらいのですが“人工的で”なんだかカツラやフラップ手術のヘアラインみたいです。
これはFU株より大きなMFU株が生え際2、3列目以降から植えつけられているためだと思います。

ケース3ではMFU株が列で生えていて、あたかも田んぼの畦のようにみえます。大きなスリットを使って密度を上げようと機械的に植えつけると、時にこのようになってしまいます。



MFU株とは?

第4回でふれたパンチ式植毛を今でも行っているクリニックはほとんどないと思いますが、現在でもMFU株をつかうクリニックは結構あります。歴史的にはマイクロミニ植毛までは医師が恣意的に希望する大きさの株に株分けする方法(cut-to-sizeといいます)でしたが、1994年にテキサスの皮膚科医リマーが顕微鏡を使って一個のFUごとに採取する“cut-to-FU”ともいうべきFU株の概念を発表し、現在はFUTとFUEがトレンドです。

2004年にカナダのアンガー博士が新しい株の分類法を提唱して、すべての株を一つのFUを含む株(FU株とそれより小さな株)と複数のFUを含むマルチフォリキュラー株(MFU株)に大別しました。パンチグラフトやミニグラフトも今ではMFU株の中に分類されていて、その最小のものはダブルFU株です。
ニューヨークのバーンスタイン博士は、インターネット上でMFU株という言葉を盛んにつかう植毛医達を批判して、『本質的にMFU株はミニグラフトと同じなので、紛らわしい言い方ではなくミニグラフトに統一した方が良い』といっています。



FU株とMFU株による複合植毛のどちらが良いのか?

極言すればFU株のデメリットの大半は医師側にとってのデメリットで、MFU株を使った複合移植のデメリットのそれはうける側のものです。
MFU株には最低2つのFUの間の頭皮(hair less skin)も含まれ、複合移植ではそこに存在するかもしれない休止期のFUが温存されやすいのではないかという主張に対しては、リマー医師は『休止期の毛髪の大部分は拡大鏡下や肉眼でも確認できる』とそれを否定しています。
またMFU株は、FU株より濃く仕上げられるという主張もあり、それらの優劣についての討論が以前は盛んに行われました。

自毛植毛の失敗で悩んでいる方 植毛のやり直しは任せてください


FUによる新しい株の分類




2008年のモントリオールにおける国際毛髪外科学会総会で複合移植側に立ったストラウプ医師はMFU株を使う場合でも以下の注意が必要であると述べています。

・MFU株よりFU株を多く使うべきである。

・MFU株の周囲にFU株を植えてその不自然さをカムフラージュするべきである。

・黒髪では1回目の施術にMFU株を使うべきではないし、2回目以降の施術でも注意が必要である。

・MFU株は適切なサイズのスリットを使い、決して大きすぎたり小さすぎたりすべきではない。

・白髪や金髪の場合はMFU株を使っても不自然さは少ないので許容できる。

・へアライン付近にはMFU株を絶対に使うべきではない。

日本人は黒髪で径が太く(77μに対し白人は72μ)、毛髪密度が低く(80~90FU/cm2に対し白人は100FU/cm2)、また1つのFUあたりの毛髪数が少ない(1.7~2.0本/FUに対し白人は2.25本/FU)という人種的特徴があります。
そのため日本人ではMFU株の欠点の不自然さはより際立ち、MFU株のサイズが白人より大きくなるので植えつけ密度の点で不利となり、スリットが大きくなるので瘢痕化や既存毛の脱毛の危険性はより高くなります。
また一株あたりのヘア数が少ないために複合移植の利点といわれた濃さも得られにくく、FU株で高密度植毛した方が濃さにおいても有利であるというのが私の結論です。


$自毛植毛の失敗で悩んでいる方 植毛のやり直しは任せてください



不自然さの解消法は?

(1)ヘアラインを下げて濃すぎる範囲をぼかす

(2)MFU株の一部or全部をFUEの要領でくり抜いて、それをなるべく再利用する

(3)FUTやFUEによる密度アップを行う

ケース1では(1)で、ケース2では(2)で、ケース3では(3)を行っています。
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