将棋!日々検証ブログ

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本州の西の端で将棋やってます。
大会参加レポートやちょっとした研究を備忘録として書き残しています。

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こんにちは。
またしても久方ぶりの更新となりました…


世界中でコロナウイルスの感染拡大が収まらず停滞モード。当然将棋大会を開催している場合ではなく、寂しい日々を過ごしています。


今日は、将棋倶楽部24に期間限定で登場していた将棋ソフト「水匠U」に二枚落ちで挑戦してみましたので、その模様を振り返っていきたいと思います。

そもそも「水匠U」とは、昨年の世界コンピューター将棋選手権で7位入賞を果たした「水匠」というソフトを基に開発された、二枚落ちに特化した評価関数を持つソフト。なんでも条件次第ではあのelmoに二枚落ち上手で勝つことがあるとか。とにもかくにも恐ろしい相手です。

ここ最近の私の将棋倶楽部24でのレートは2200〜2300点代なので、正直なところ二枚落ち下手で勝つのは厳しいところではあるのですが、ある程度の準備と明確なビジョンが有ればチャンスがあるのでは?と考えました。

その① 如何にして勝ちやすい展開に持っていくか

まずは二枚落ちというハンデをどう活かしきって戦うのかというところ。
私は駒落ちそのものは好きで、棋力向上に駒落ちは役に立つと考えているのですが、最近では指す機会がほとんどありません。
ただし、高校時代は級位者の部員に対して二枚落ち上手を持って指していたので、ある程度経験はあります。だいぶ昔の話ではありますが。

二枚落ち下手のポイントはやはり4五の位を取ること。上手を持った経験からするとこの位を取らないと相当紛れると思ったので、今回は4五の位を取ることを第一に、そして4五の位を支えて形が美しく、しかも勝ちやすい銀多伝定跡でいくことにしました。

実は4五の位取りに対しては5五歩止めという裏定跡があるのですが、下手からは避けようがなく、また高校時代に上手を持って散々指してきたので、その記憶を頼りになんとかしようと考えてました。

さて、実戦でどうなったのかをみていきます。

その② まさかの上手片銀冠?



(第1図)を見ればお分かりの通り、後手陣は片銀冠となっています。定跡では上手玉は6二や6三の辺りにいることが多く斬新な形ですが、通常遊びがちな左辺の金銀が玉の囲いとして働いているので、一理ある構想ではあります。

反面下手の角筋が直射していることや、6五の金・5三の銀がやや働きの弱い駒になっています。

この△9二香は苦心の手待ちで、代えて△7六金では▲5五歩が気になるというところでしょうか。

ここで私は矛先を上手玉頭に向けるべく▲2九飛と転回しましたが、△6四銀と上がられてしまい損得は微妙だったかもしれません。▲2五歩△同歩の突き捨てを利かして▲4四歩と薄いところを突いていきましたが、上手の常套手段である△5五歩の突き捨てが入りました。

その③ 小技成功?

 

数手進んで(第2図)。力強く△4四金と上がってこられたところ。

ここでは①▲4五歩が自然ですが、△5五金上と構わず突進されるのを嫌いました。冷静にみると怖がるほどではなかった気もしますが、上手が4筋に歩が立つようになっているので、イヤな展開だと対局中は読んでいました。

本譜は以下②▲5四歩△同金▲4三歩△5三銀▲5二歩(第3図)と進行。

 

どうせ5五の位は守れないのだからと歩を突き出していきました。(第3図)まで進んでみるとと金作りが受からない恰好。上手の金銀はバラバラで、これはポイントを挙げたと思ったのですが…

その④ 応手誤る

 

上手もキズである2四の地点に銀を埋める等必死に抵抗しますが、こちらも4六に金を打ち厚みでは負けない方針を取ります。

そんな中勝負手△1五歩(第4図)が飛んで来ました。苦し紛れの一手に見えましたし、①▲1五同歩には以下△1八歩▲同香△4五銀▲同銀△2六桂として上部を開拓される順があるのを気にしたのですが、上手の駒が邪魔をしていて簡単には入玉を目指せないんですよね。後ほど本譜の順を見ていただければわかりますが、これが雲泥の差でした。

本譜は②▲4二歩成とと金を作り△1六歩▲4三と△4五銀▲同銀△1七歩成と進行。前述の順と比較すると一目瞭然で、上手の上部が開けてきました。目標だった4四の銀に逃げられてみると4三のと金も働きとして微妙なんですよね。

 

以下(第5図)まで進んでみると駒得ではあるものの、ヘタな追い方をすると逃げ切られてしまう恐れが出て来ました。冷静にみるとまだこちらが良いのですが、非常に焦る展開です。

その⑤ なんとか寄せ切る

 

進んで(第6図)。1〜2筋での攻防がやや落ち着いたところですが、まだまだ油断は出来ません。

ここで私が指した▲5六飛が実に味のいい一手でした。7六の金取りになっているのはもちろんですが、放っておけば上手陣の要ともいえる2五の香車を外す狙いもあります。5六の飛車の横利きがあると上手玉は案外狭いのです。

これが見えたのはたまたまで、運が良かったとしかいいようがありません。

 

(第7図)まで進むと上手も万策尽きた感じがあります。

▲2六飛とと金を払ったのが決め手となりました。①△2六同玉は▲3七金から詰みなので本譜は②△2六同銀でしたが、▲3六銀から上手玉を追い返していき一手一手の寄り形に。



手数こそかかりましたが、なんとか勝ち切ることが出来ました。

その⑥ 対局を終えて感じたこと

指していて感じたのですが、やはり強いです。
序盤に関してはこちらのビジョンが明確で、中盤ではしっかりとリードを奪えたというところがあったので全体でみると快勝譜に見えなくもないのですが、(第5図)〜(第6図)のあたりでは非常に粘り強く指され、一手間違えると逃げ切られてしまう、そんな緊張感がありました。
やはり駒がぶつかってくると強いんでしょうね。

あとは銀多伝の優秀さでしょうか。4五の位こそなくなりましたが、序盤で作った厚みが最後まで活きたように思います。いわゆるところの勝ちやすいつくりの将棋に出来たのではないかと。

以前先崎先生が著書の中で「神様相手に二枚落ちの下手を持つなら4五の位は絶対に取る」という趣旨のことを記されていたように記憶していますが、同感です。

たまには駒落ち将棋を指すのも悪くはないものですね。

それでは、今日はこの辺りで。




こんにちは。

今回から赤旗名人戦山口県大会の模様を振り返っていきます。


改めて山口県大会の形式を確認すると、山口県内の6地区の予選を勝ち抜いた地区代表6人と前年の山口県大会の上位2名の計8人による総当たりのリーグ戦。

地区予選を勝ち抜く必要があるということで県大会は当然のようにハイレベルで、今年もこのリーグ戦に入れたのは嬉しかったです。


4年前に山口県大会に出場した際には2勝5敗で同率5位、昨年は3勝4敗で同率4位だったので、今回は勝ち越し以上が目標でした。


さて、朝に出場者8名が集合し、抽選を行って対戦順を決めました。




1回戦 対▲Y村戦


初戦の相手は今年の全国高校竜王であるY村くんと。

すっかり全国レベルの強豪となったY村くんと大会で対戦出来る機会は意外と少ないだけに(私が中々上位に勝ち残れないので)、今回対戦出来たのは嬉しかったです。


後手番となりゴキゲン中飛車を採用。Y村くんは超速で対抗してきたので、この日のために温めていたというほどではないものの、用意の作戦をぶつけてみました。




▲6八金型に構えているのが居飛車側の工夫ですが、(第1図)まで進んでみると振り飛車側のほうが△7六銀や△5六歩のように次の狙いが分かりやすい格好です。


ここでY村くんは▲9七角と勝負手を放って来ましたが、流石にリスキー過ぎたようで、自然に△9七同角成▲同香△5六歩▲同歩△5七歩▲同金右△5六銀と進めて駒が捌けました。


捌けた上に9七に釣り上げられた香車のおかげで生じた9八・9九の空間、そして3五の銀が中途半端な駒になっているのが見た目以上に大きいです。




進んで(第2図)。飛車をぶった切るやや雑な攻めを敢行したものの、玉形差が大差で優勢です。


ここで本譜は①△7七桂(後述しますが▲7七同桂ならバラして王手飛車を狙う)▲6六歩△8九桂成▲同玉と進めたのですが、駒損がさらに拡大した上にこの8九玉型が意外と手ごわいのが誤算で、よりが戻ってしまいました。


代えて露骨に②△7七金と打ち、以下▲7七同桂△同銀成▲同玉△5九角と王手飛車を掛けてしまうのが有力でした。

手順に金銀2枚渡すのと2六の馬がイマイチな気がして断念したのですが、バラバラにしているだけあって寄せの手がかりが掴みやすいのと、2六の馬が自陣の受けに利いてくる点、そして飛車を入手出来るのが大きかったようです。以下は形勢が二転三転する大激戦に。




進んで(第3図)。ここでは後手勝勢で、①△2五馬と寄っておけば先手玉の受けが難しいところでした。馬の睨みが厳しい上に受けに適した駒がないのが先手にとっては痛いところ。しかし実戦では全く見えず…。


本譜は②△6八香成▲同金△6七香と詰めろを掛けましたが、当然▲5八玉と交わされてしまい寄せにくくなってしまい、形勢は先手に傾きました。




進んで(第4図)。この▲2六銀はY村くん曰く大ポカで、普通に①△2六同馬と取っていれば△3七歩成以下の詰めろとなっていて後手勝勢でした。2六の馬が7一と6二に利いているのが大きいです。


本譜は②△3五桂と打ちましたが▲1五銀と馬を外されて5一の歩が浮いて自玉に詰めろが掛かってしまい(そこで△4七金▲3九玉を利かしてから△9三玉と逃げ出しておけばアヤがあったかもしれない)、以下は負け。


Y村くん相手に二転三転の大激戦だったのは実力差を思えばよく指せたなというところではありますが、勝つチャンスも多かっただけに勿体無い敗戦となりました。





2回戦 対▲H中戦


次の相手は高校時代の恩師であるH中先生と。

ここ最近は大会で対戦する機会も増えましたが、

今回のような大舞台で対戦することはこれまでなかっただけに斬新ではありました。


後手番となり得意の三間飛車を採用。対するH中先生はいつもながらの変則的な布陣に。




ここから▲9五歩△同歩▲同銀と端攻めを敢行。H中先生ならやって来るだろうなとは思っていました。7二玉型に構えているのを活かして軽くいなしつつ、△4五歩からの反発を狙いました。




進んで(第2図)。ここでH中先生は▲4五歩△同桂▲5八銀と進めてきましたが、以下△5七桂成▲同銀△3五角の厳しい両取りがありました。以下はややもたついたところはあったものの、寄せ切って勝ち。H中先生側からすると終始誤算が多かったようです。





3回戦 対△O海戦


次の相手はO海さん。一時期よく当たっていましたが今年はこれが2局目。力戦派で今回県大会に臨むにあたり事前に準備する中で1番戦型予想が難しかったです。


この日初めて先手番となり三間飛車を採用しました。O海さんは端玉銀冠で対抗。




直前に▲4六銀と上がって位を確保したのはよいものの、本譜のように△6五歩と突きやすくなっているので損得は微妙。


ここで①▲6八飛と回っておくのが自然で、無論こう指すべきでした。以下は△6六歩▲同角△同角▲同飛△6五歩の進行が想定され、必ずしも自信があるわけではないですが…


本譜は▲5五歩△同銀▲同銀△同角▲5八飛と進めて捌きにいったのですが、存外大したことがなかったのが誤算でした。



進んで(第2図)。O海さんの応対がやや疑問だったようで、ここではうまく指せばリード出来そうだと思っていました。


本譜は勿体無いと思いながらも①▲6七銀と打って銀挟みを狙ったのですが、構わず△7三桂と跳ねられ以下▲5六歩△6六歩▲7八銀△6五桂▲5五歩△7七桂成▲同桂と進んでみると、2枚替えの駒得ではあるもの、7八に引かされた銀の働きが酷い上に次に△6二飛と回られると▲6八歩を打たされて歩切れになってしまうのが痛く、形勢を損ねてしまいました。


代えて②▲6八飛と回っておけば次こそ▲5六歩がありますし、△7五歩と突こうものなら手厚く▲8七銀と投入する選択肢もあり、無事に銀を確保出来たような気がします。




進んで(第3図)。ここでは既に敗勢に近いのですが、①▲6三成桂と飛車筋を通す勝負手を選ぶべきでした。

厳密には以下△6三同金▲7二飛成△6二金と進むと悪いことには変わりないのですが、本譜は②▲2二銀△3四馬と進んで後手陣に脅威がなくなって指し手を分かりやすくしてしまったことを思うと、選ぶ価値はありました。以下は順当に負け。


(第2図)周辺での選択を間違えてからはこちらにチャンスらしいチャンスは一度も無く、この日唯一の完敗譜でした。




4回戦 対T中(佳)戦


お昼休憩を挟んで次の相手はT中(佳)さんと。元奨励会二段で、このところ大会出場数はやや少ないですが、中国名人戦3連覇を誇る強豪です。


私の先手三間飛車に対し中飛車で対抗されました。


 


後手陣はいわゆるコバケン流(小林健二プロ九段)の布陣で、流石にコバケン門下だけありますね笑


ここで①▲2六飛△3二銀と揺さぶりを掛けてから▲7七桂と跳ねてみたのですが、△6四金とこちらに上がられるのをウッカリ。6五の位取った以上は当然5四ではなく6四ですよね…


代えて②▲5六歩から仕掛ける順が有力で、以下△5六同歩▲2二角成△同銀▲5六飛と進むとこちらが軽い格好です。




T中(佳)さん得意の抑え込みが決まるか、こちらが低い陣形から捌きの糸口を見つけることが出来るかという、棋風的な相性からすると明らかに分の悪い戦いとなってしまい(第2図)。


ここでは①△5四金左から4五の桂を外される順を選ばれていたら完封負け濃厚で、そう指されたらどう形を作ろうかと対局中は必死に考えていました。

ただし守備駒の金がそっぽに行ってしまう一面もあるので、実戦的には指しづらいのかもしれません。


本譜は②△3五歩と更に手厚く封じようとしてこられたのですが、これはこちらとしても狙っていたところで、▲3五同角!と取る手がありました。T中(佳)さんにちょっとした誤算があったようです。


仮に△3五同銀▲2三飛成と進むと角損してはいるものの、3二や4三に龍を滑り込む順があって容易ではありません。こういう展開になると4五の桂と5三の垂れ歩が攻めの拠点として利いてきます。


本譜は▲3五同角に対し△4四桂と耐える順を選ばれたのですが、この桂馬が終盤にドラマを生むことに…。




やや進んで(第3図)。ここで本譜は▲6三と△同金と金を補充してから①▲1二龍△同香と飛車角交換に応じて▲5三金と食い付いたのですが、やや細い攻めで自信のない展開に。


代えて②▲2二龍△4五角▲7二金と王手飛車取りを掛ける順がありました。対局中にも読んでいて、以下△6四玉に対して飛車を取るようでは甘い…と読んで断念したのですが、△6四玉に対しては一回▲4六歩が利きます(2四の角が浮いてしまうので△4六同銀とは取れない)。対して△3四角と逃げれば大きな利かしで、▲2四龍△同銀▲4二角からボロボロ駒を拾えそうです。




進んで(第4図)。両対局者ともに気付いてなかったのですが、この局面ではこちらの食い付きが成功していて先手勝勢。


ここで本譜は②▲4二角と桂馬に紐をつけながら角を打ったのですがこれが盤上この一手の大悪手で、以下△3三飛▲同角成△3六桂打でトン死を喰らって一発で負けに。完全にウッカリしていました…。勝ち将棋鬼の如しとはよく言ったもので、4四の桂馬が最後の最後に働いてくるとは…


代えて②▲7三歩が一歩千金の決め手級の一着でした。以下△3三飛と詰めろを描ける順には▲7二角△8二玉▲7四金と進めておけば、3六の地点に角が利いて手順に詰めろを防いでおり、正にピッタリでした。


手順に桂馬を渡してしまった本譜が一番最悪なだけで、▲4二成桂くらいでも勝ちだったことを思うと残念過ぎる結末ではありましたが、読めてなかった以上は仕方ありませんね、これが実力です。




ここまで4局終えて1勝3敗。内容的には3勝1敗くらいでもおかしくなかっただけに、目標である勝ち越しに向けては厳しい状況となってしまいました…。


続きはまたの機会にでも。

こんにちは。
またしても久々の登場となってしまいました…

さて、今年も赤旗名人戦山口県大会に出場することが出来たので、数回にわたってその模様を振り返っていきたいと思います。



2019年は将棋に関しては去年に比べると調子が良く、特に支部対抗戦西地区大会に出場出来たのが大きな収穫でした。
もっとも個人成績の点から見ると、本戦では1勝出来たものの予選で2敗してしまっているので、未だに悔しさも残ってはいるのですが…




その後は相変わらず停滞した日々が続いていた中で、赤旗名人戦の東部地区大会でベテラン強豪のM本さんに勝って地区代表を獲得出来たことは、やや失いかけていた自信を取り戻せて嬉しかったです(温めていた作戦がたまたま上手くいきました)。



ただ赤旗名人戦の山口県大会出場が決まってからの調子はすこぶる悪く、9月に2度足を運んだ高須クラブ(広島市内にある将棋道場)ではボロボロになり、10月6日に所属している山口県光支部主催の光王将戦ではベスト16で敗退…

おまけに仕事が忙しくなり、県大会前の直前の週は21時台まで仕事をする日々が続き、正直なところ将棋の調整などままならない状態でした。



ただし地区代表として、結果はどうであれ精一杯戦うという最低限の責務は果たしたかったので、県大会までに以下の2点を意識しておこうと思いました。

①最低限の瞬発力を持っておく
普段より詰将棋や必死問題に目を通して、予想外の一手が飛んできても持ち時間を使い過ぎずに咄嗟に反応出来るようにしておきました。

結果的には功を奏したような、そうではないような…

②迷ったときは積極的に
普段の対局では迷った時に石橋を叩き割るくらい手堅い手を選んでかえって墓穴を掘ってしまうことが多々あり、今回に関しては積極的な手を選んでいこうと考えていました。

踏み込まずに後悔するより、踏み込んでみて後悔するほうがいいかなという判断です。

これも功を奏したような…



山口県大会が終わった今、清々しさ半分、悔しさ半分といったところですが、将棋の内容は次回以降振り返っていきます。



こんにちは。

実に約3ヶ月ぶりの更新となったわけですが…

今回の記事を読んでいただくとわかると思いますが、惜敗でない限りブログを書こうという気になれないんですよね(笑)書き溜めてる記事はどうしようか…



さてさて、7月28日に宇部市で行なわれた第30回山口県将棋王将戦(宇部日報杯王将戦)に参加してきたので、その様子を振り返っていこうと思います。


参加者は87人。予選(1勝通過1敗失格のため実質的には本戦1回戦のようなもの)を行ったあと予選通過者で本戦トーナメントを行い、予選・本戦で敗退された方はA、B、C級別に分かれて親睦戦という名の敗者戦を戦うという、山口県ではおなじみの試合形式です。持ち時間はいつも通りの各25分切れ負け。



山口4強からは昨年の全国アマ銀河であるF井(佳)さんと若手強豪のK谷さんが参加し、他にも実力者が多数揃いハイレベルな争いが予想されました。





予選はHさん。初手合いです。

後手四間飛車に対し最近流行りのトーチカ囲いで対抗しました。



3五の銀は△5四銀〜△4三銀〜△4四銀の順を経て進出しているのでこちらが手得してはいるのですが、▲3六歩の保留が仇となっていてなんとなくイヤな形。


ここでは△8二玉くらいで自信はなかったのですが(ただしこちらが堅すぎるので実戦的には難しそう)、本譜△4六歩▲同歩△同銀と飛車先突破を目指してこられたので、待ってましたとばかりに▲6六角と角をぶつけました。角さえ居なくなれば▲2四飛と飛車が捌けますし、4六の銀がやや中途半端な印象があります。飛車先を突破してからは一方的に攻め倒して勝ち。




決勝トーナメント進出ということで再抽選したところ本戦1回戦は不戦勝。


2回戦はI本さんと。私が所属している山口県光支部の支部長で日頃から月例会でよく指しています。わざわざ宇部で当たらなくても…という感じもしました。



やや珍しい相中飛車になりこの局面。

本譜はここから▲2五歩△3五角▲3六歩△4四角▲3七桂△5四銀▲4六歩と進んで先手がだいぶ手得したのですが、そこから△2四歩▲同歩△2二飛とすかさず逆用する順があっては疑問の手順だったようです。以下は玉頭から攻め倒して勝ち。




3回戦の相手はK谷さん。山口4強の1人であり各種代表経験も豊富。昨年の支部名人戦西地区大会ではN保さん、I葉さんを破ってベスト8入りを果たしています。


対戦成績は1-2で公式戦では4年ぶりの対戦ですが、この対戦成績以上の実力差があるので、勝ち負けはともかくなんとか善戦出来ればと思っていました。


私が後手番となりゴキゲン中飛車を採用。対してK谷さんは超速で対抗してこられました。




お互いに駆け引きがありましたが、後手としては玉を囲い切ることが出来てひと安心ではあります。


次に▲6六銀と上がられてしまうと捌きにくくなってしまうので、思い切って△4五銀と出て行きました。7七に銀が上がったことで一瞬5筋が弱くなっているのが狙い目です。


以下▲3四歩△4二角の交換を入れて▲4六歩と突いて来られましたが、構わず△5六歩と突いていきました。


進んで(第2図)。駒が捌けてきてしかも手番を握っているので良くなっている気がしたのですが、有力そうな手がいくつかあって迷ってしまいました。


局後にF井(佳)さんから指摘されたのは①△3六金という手。現状3五に銀がいることで6四の角が捌けておらず、3五の銀に働きかけることで角を捌こうという狙い。言われてみればなるほどですが実戦では全く考えませんでした…。


②△5七金は実戦でも考えていて、以下▲6九銀のような手で千日手含みに粘られるのが気になってやめたのですが、そこで△5三角と引く逆モーションの一手がありました。


3五の銀にあたっていますが、1️⃣▲3八飛と銀に紐をつけるのは△3五角と食いちぎってから5七に打ち込んでいく筋が残り、2️⃣▲2六銀と引くのは△4四角という絶好のぶつけがあります。こういう展開になると2六の銀が遊び駒になってしまうのが大きく、居飛車を持って指し切れないところでしょう。


本譜は③△3八歩と垂らしました。▲3八同飛と取らせておけば後々4九に割打ちのスキが残るという意味ですが、堂々と取られてみると意外に後続手段が見えず、悪い手ではないにしても明快さには欠けてしまったようです。



それはそうとしてその後もうまく指し回して(第3図)。ここでははっきりと優勢になっています。


残り時間もわずかとなっておりここから指し手は乱れていくのですが、△6七角▲3六玉の交換を入れてから△9九金と香車を拾ったのは余計で、単に△9九金として次に△2七角を狙うほうが勝りました。ただしこの辺りでは時間がなく焦る一方だったので先まで読み切れず、やむを得ないところはあります。


本譜はここから20数手指し継ぎましたが最後は私の持ち時間が切れてしまい時間切れ負け。終始押していただけに悔やまれる敗戦となりました。


終局図も互角かやや悪いくらいの局面だったということで、一局全体を通して悪手らしい悪手はなかったと思いますが、なかなか決断出来ないせいか、序中盤で考え過ぎていたように思うので、如何に決断良く指せていけるかが今後の成長に向けて必要なのかもしれません。あるいは時間に追われてもある程度正確に指し回せる終盤力か。


いずれにせよ、こういうもったい敗戦をなくしていかないといけませんね…





進行が遅かったこともあり、全局消化は諦めつつもせっかくなので親睦戦A級に回ることに。


1回戦はI藤さんと。ベテランですが昨年の宇部日報杯名人戦では負かされており、なんとかリベンジしたいところ。


I藤さんの後手四間飛車に居飛車穴熊で対抗しました。



△3二銀・△9四歩型がありそうであまりない珍しい組み合わせ。


△5五歩と突っかけてきたところですが、▲2四歩△同歩▲3七桂と跳ねて迎撃。本譜は以下△5六歩▲同銀△5五歩▲4五銀△4三銀と進みましたがそこで▲3五歩と突いたのが厳しく、リードを奪いました。



ところが終盤に入ってから玉を吊り出し過ぎて形勢は混沌とします。

自玉がゼットであることを活かし、5二にいた桂馬を龍で食いちぎったのが(第2図)。


ここから本譜は①△7八金と詰めろで迫って来られましたが、以下▲9六桂△9五玉▲7四桂!が狙いの寄せ。△7七桂成▲同角△8五玉と交わしましたが▲6一龍がピッタリの一手で勝ちとなりました。


実は(第2図)では②△5二同香と取ってしまえば後続手に困っていました。以下▲9六桂△9五玉▲7四桂の寄せを敢行してもちょっと届かなさそうです。


最終盤でひどい錯覚をしていたのは反省です。美濃囲いから釣り出した玉がこんなに寄せづらいとは…





2回戦はM吉(喬)さんと。同じ山口県光支部所属であり、支部対抗戦ではチームメイト。歳の差こそありますが、日頃からよく指しています。


駆け引きの末、M吉(喬)さんの陽動中飛車となりました。




1筋の位を取れているのは大きいものの、自分からは動いていくことが出来ずやや不満な展開。


この△5一飛がまたマズい一手で、▲9五歩△同歩▲同香と仕掛けられるのをうっかりしていました。あまりにも駒の配置が悪く(9五に角が出られてしまうと7三の桂馬と5一の飛車が間接的に睨まれお荷物となる)、ここでは苦戦を意識しました。




紆余曲折を経て(第2図)。5一にいた角を7三に転回し次に△6五歩を狙ったところですが、ここで①▲5三金と構わず銀を取られると困っていました。以下狙いの△6五歩には▲5四金と根元から払ってしまえば怖いところがありません。


本譜は②▲4六歩だったので△6五歩が間に合い、▲4五歩△5五香と進んでなんとか勝負形になりました。以下はなんとか逆転に成功して勝ち。


2局とも勝てたとはいえベテランの迫力に押され気味で、課題が残りました。


2勝0敗となったところで進行の都合上対局は打ち止め。

ただし今回は本戦の進行が遅かったせいか親睦戦A級の参加人数が少なく、かつ4局指さずに途中棄権された方が何人かいたせいか、2勝者にも入賞の目が回ってくる展開となり、2勝0敗の私もその対象となりました。ありがたいような、申し訳ないような…




本戦はその後K谷さんが優勝。仕留め損なった代償は大きいものがありました…。


準決勝では下関の有望若手のO﨑くんがF井(佳)さんを倒す金星を挙げていたのですが、最後までしっかりと時間を残して勝ち切っていたあたり、時間を使い過ぎた自分とは対象的でしたね。




次は2週間後に岡山に遠征して菅井杯のA級に参加しようと思います。初参加なので非常に楽しみです。


更新頻度は今までもこれからも気まぐれですが、また次の記事で。

こんにちは。

今日は叡王戦第4局ですね。宮島開催ということもあって大盤解説会に参加しようか考えていましたが、連休明けのお仕事で疲れたので断念…
今日はゆっくり過ごしたので、明日は光支部の月例会にでも参加しようと考えています。

さて、前回の続きを書いていきます。

ベスト8の組み合わせは、
①K村(公)さん対Oくん
②M本さん対私
③A木(健)さん対K田(慶)さん
④Y村くん対N村(均)さん
となりました。

﨑くん、A木(健)さん、私がやや目新しい感はありますが、全体的には大きな波乱はないという感じではあります。

私の相手はM本さん。昨年の全日本シニア名人で、県代表経験は30回以上は超えてそうなベテラン強豪です。
対戦成績は1勝3敗ですが直近の対戦では快勝しており(赤旗名人戦山口県大会)、なんとか食らいついていけたらという心境でした。

振り駒の結果私が後手番に。M本さんに初手▲5六歩と突かれて意表を突かれたのですが(M本さんが先手中飛車を採用しているところを見たことがない)、続いて△3四歩に▲6八銀と進んで納得。こちらが居飛車を選べば嬉野流に、振り飛車を選べば鳥刺しにしようという狙いで、作戦巧者であるM本さんらしい序盤だと感じました。

▲6八銀と指され、なんとなく△8四歩を誘われているような気がして少し迷いましたが、結局は△3二飛といつも通り飛車を振ることに。



▲3七銀上と上がって3筋の位を確保しようとされたところ。

ここでは①△6四歩と突いて以下△7四歩〜△6三金〜△6五歩と陣形整備を進めていくのが自然ですが、M本さんに準備されていそうな気もして少考。

やや思い付き感はありましたが、②△3三桂▲3六銀△4五桂と進めました。4六の銀が簡単には動けないので、桂馬の高跳び歩の餌食、という展開にはなりにくいのが主張です。

この後は5筋方面で小競り合いとなり、ペースを握りました。



露骨に△5七銀と打ち込んでいったところ。この手は筋が悪く、以下①▲5七同歩△同歩成▲7七金と我慢する順はあったかもしれません。以下△6八角と打ったとしてどれくらい効果があるのか。
ただ居飛車としては5七の銀は取りづらいのかもしれません。

本譜は②▲6四角と飛び出して来られたので△7三角と自然に合わせて手順に攻防の角を消すことに成功。6筋の歩が切れたのも好都合です。これではっきりと良くなりました。



さて、どう決めるかという局面です。
ここでは①△6六歩とするのが簡明でした。▲同歩なら△6七歩と叩くのが厳しい手になります(仮に▲6七同玉なら△7九角くらいでも困ってそう)。△6六歩に対して相手をしないのも△5七金がより厳しくなって指しづらいところで、当然こう指すべきでした。

本譜は②△8八角と指しました。これ自体は悪くない手で、以下▲7七角に対して1️⃣△5七歩成▲同歩△6五桂!(以下▲8八角には△5七飛成から詰み)という綺麗な順が見えていれば何も問題はなかったのですが、本譜は2️⃣△5七金▲7八玉△7七角成▲同桂△6七金▲同玉△8九角と進めました。

これが厳しいとばかりに思っていたのですが、当然のごとく▲6八玉と引かれて唖然。駒がないのでこれで耐えています。△6七歩と叩いても▲7九玉と引かれてしまうのが痛いところで、これで逆転模様に。


今度はM本さんがどう決めるかという局面。
ここで①▲5八歩としておくのが手堅い勝ち方だったように思います。手駒のない後手としては5七のと金に働きかけられると痛いのです。

本譜は②▲7五歩と突いて来られたのですかさず△6七角成と成って再逆転。▲5八金打と凌ぎますが△同と▲同金△5七歩▲4八玉△5八歩成▲3七玉と進み、手順に金を2枚手にすることが出来ました。



本譜はここから①△2二飛▲2三歩△同飛▲2五歩と進み、そこで△1五金と打ちましたがこれがなんでもない手であったため、以下▲7四桂△同銀▲同歩と進んで勝てない形に。以下は押し切られました。

(第5図)では②△7七馬と取っておくべきでした。
先手としては▲7四桂△同銀▲同歩と踏み込みたいところではありますが、以下△5九馬▲2八玉に△2七歩!があります。

1️⃣▲2七同玉は△1五桂以下詰み、2️⃣▲2七同飛には△2六歩と叩いて先手玉はほぼ寄り形。龍の利きをそらしたおかげで、上部に脱出しやすくなっているのもポイントです。




というわけでベスト8で敗退。格上相手に熱戦に出来たのは良かったですが、数多くあったチャンスをものに出来ていないあたりは相変わらずで悲しくなりました。

正直なところ、棋力云々の前に時間の使い方が下手くそ過ぎました。(第3図)のあたりで残り時間が5分切っているあたり、切れ負け将棋の指し方ではないですよね。




優勝はK村(公)さんでした。3連覇はもちろん、決勝では先日の支部名人戦西地区大会で3位だったY村くん相手に中押し勝ちしたりと流石でした。

支部対抗戦終わりでモチベーションが高い中でのベスト8入りは好感触ではありましたが、代表経験者が近くにいるような厳しいブロックに入らなかったこともあって、最低限の結果だともいえますね。

しばらくは一般大会がないので、どうやってモチベーションを保っていくか難しいところですが、また頑張ります。

それでは。