下の絵図は第四幅 第三図です。
ここには三つの場面が描かれています。

下の場面は上図右下の拡大図。
弟の尋有ジンウ僧都ソウズ宅の善法院
(今の角坊スミノボウ別院の場所)に移られ、
部屋で火鉢を前に座す①親鸞聖人。
同席しているのは顕智坊と専信坊でしょうか。
縁にも門弟・信者、庭には白梅。

正統伝には、顕智坊が聖人に、聖人の
体調の良好なうちに、義絶した長男、
慈信坊善鸞ジシンボウゼンランにも上洛を
促すよう進言したが、聖人は首肯シュコウされ
なかったという趣旨の記述があります。

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第四幅 第二図 熊野権現で夜の場面

①平太郎 横になりうつらうつらしている
②平太郎の主人、佐竹末賢サタケスエカタ。
八幡太郎義家の次男で大部郷の地頭。
他は佐竹末賢の一族郎党

うたた寝の平太郎の夢に現れた
③親鸞聖人 ④衣冠正しき俗人

熊野権現に到着した夜。横になった平太郎は
夢を見たのです。
.
その夢の内容は次のようなものでした。
.
衣冠正しき俗人が社殿の扉を開けて平太郎に、
「どうしてそのような不浄な姿でここに来たのか」
と咎めたのです。
その時そこに忽然コツゼンと聖人が現れて
「彼は善信ゼンシン(=親鸞聖人)の教えに
従う念仏者です」と申されると、俗人は敬って
頭を垂れ、それ以上何も申されなかったのです。
.
そこで目が覚めた平太郎は、不思議な夢を見たと、
帰途に聖人の元を立ち寄り、この夢の話をしたところ、
聖人は「そのことなんだよ」とおっしゃっられたのです。
これも又、不思議なことでありました。
.
※参考説明
「そのことなんだよ」というのは、熊野へ向かう途中
平太郎が聖人を訪ねた時に、聖人がおっしゃった
「熊野参詣も念仏を尊ぶ垂迹の縁となる」との内容が
これなんだという意味なのです。

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