医療費控除について思うこと

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4月になりました。確定申告期間は、ご協力をいただきありがとうございました。

スタッフにもかなり負担をかけてしまいましたので、今月から有給休暇や代休を取得してもらえるようにしたいと思っています。

 

さて、先月は、確定申告期間であったために、ブログの更新をお休みさせていただきました。

今月から再開したいと思います。今回は、医療費控除について取り上げたいと思います。

 

医療費控除とは、自分や配偶者などのために一年間に支払った医療費をその年の所得税から差し引くことができる制度のことです。医療費をたくさん支払った人は、そうでない人に比べて担税力が低いであろうという点を考慮して作られている制度です。

ただし、私見になりますが、税実務上いくつかの問題点がある様に思います。

 

①処理・対応が煩雑になる

医療費控除は、年末調整では処理できない項目になっておりますので、必ず確定申告しなければなりません。つまり、普段確定申告をしない人が対象になる場合が多いので、皆様かなりご苦労されている様子です。また、税務署側もその対応に追われます。臨時で税務職員を増やしたりしていますので、いわゆる税務署側の追加の「徴税コスト」が莫大にかかってしまいます。そういった増加分のコストを発生させず、医療費を支払った人にその分医療費が戻る仕組みを考え直した方が有意義な税金の使い方ではないでしょうか。

また、国からすると、医療費控除を適用するとその分税収が減ることになります。医療費の補助は本来、社会保障関係費で賄うべきもののはずですが、個人の所得税や住民税で控除するという点も、細かい論点かもしれませんが、矛盾があります。

 

②控除の対象か否かの判別が難しい

 医療費控除は、控除の対象になるものとならないものが細かく規定されています。これがこの制度を煩雑にしている一因でもあるのです。

例えば、美容整形などは控除の対象になりません。これは、立法趣旨を考えれば当然でしょう。しかし、昨年までは人間ドックの費用やインフルエンザなどの予防接種の費用も控除の対象になっていませんでした。病気になってからの支出でないと控除できなかったわけです。この点を是正すべく、2017年の税制改正により、健康増進や疾病予防のための支出にも控除が認められる制度が創設されました。(セルフメディケーション税制)

これにより、ある程度控除の対象が広がったのですが、今までの医療費控除とセルフメディケーション税制は有利な方を選択して申告することになるため、結果的に今までよりもっと複雑な制度になってしまいました。

 

③所得が多い人がより得をする

医療費控除は正確には、「所得控除」というカテゴリーに入ります。税率を乗じる前にその人の所得からマイナスします。つまり、高額所得者で所得税率が40%の人は、支払った医療費の4割の税金を戻せるのに対し、所得税率が10%の人が同じ治療を受けても、支払った医療費の1割しか戻らないことになります。

この矛盾点を回避すべく、他の先進国では給付つき税額控除が主流になっていると聞きます。日本もこういった制度に移行するか、税制を絡めない医療費の補助の仕方を考えるべきではないかと思います。

 

 

以上、今月は、久々に税金のお話でした。医療費控除自体の趣旨は素晴らしいものなので、より良い制度・わかりやすい制度になって行ってほしいと思います。

 

では、皆様今月もよろしくお願いいたします。

 

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