2017-03-23 13:22:19

<Medical Dynamic Stretchingの実際⑧救済>

テーマ:医学

 

引退したアスリートの危機
問診票で患者のスポーツ歴を調べるようになって、過去にアスリートとしての経験が濃密な患者程、引退後に急激な身体的不調を患っている傾向が強いということに気づかされた。おそらく、引退によって急速な神経伝達機能の低下を来し、アスリートとして築き上げた強靭な筋肉が弛緩不全を生じて、通常人よりも過大な負荷が骨格に加わることで、関節破壊を招いているものと考えられた。

鍛え上げた肉体が仇となる
特に顕著な破壊をみるのは腰椎と股関節だ。アスリートは、その競技能力が高ければ高い程、腸腰筋が発達しており、その弛緩不全によって腰椎と股関節に過剰な軸圧が加わることで、そこに破壊的な変化を来してしまう。つまり、かつて鍛え上げた筋肉が何らメンテナンスを受けることなく放置されている肉体程、骨格の異常を招いてしまうわけである。それは回遊魚が泳ぐのをやめると死に至る様によく似ているといえるだろう。アスリートは、引退後も安易に競技を絶つべきではないのかも知れない。

筋力強化の意義
さて、今回のシリーズでは、筋力強化が整形外科疾患の予防や治療にはほとんど役に立たないことを主張してきた。しかしながら、筆者が筋力強化を怠っているかと言えば、そうでもない。それは怪我の予防や病気の治療のために行っているのでなく、あくまで筋力強化のために行っているのである。つまり、健康のために筋力強化があるのではなく、健康以上の何事かを追求した先にそれがあるに過ぎない。そもそも、筋力強化は怪我や病気を引き起こす可能性が多分にあるわけで、アスリートなら誰もがそれを知っているだろう。怪我を負ってしまう可能性のある方法が、予防法や治療法として、ふさわしいはずがないのである。

まずは試すこと
ゆえに、安全性と汎用性が高く、かつ安価で効果的な予防と治療の方法はMDSだということができる。アスリートが肉体を鍛える際には、必ず間にMDSを挟むべきだ。他方、MDSは競技直前や競技中のインターバルに行うのも有用だ。それは速やかに肉体の疲労を取り除き、勝負を有利に運ぶだろう。また、引退したアスリートが肉体の崩壊を予防する方法としても最適である。MDSに関して、議論や躊躇は時間の無駄だ。まずはこれを試し、本稿の正当性を吟味していただくのみである。
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