続編No.52<理想社会の実現> | 眠れぬ夜に思うこと(人と命の根源をたずねて)

続編No.52<理想社会の実現>

実のところ、理想社会の実現を意図する有志は、いつの世にも無数に存在している。けれども、それが実現しないのにはわけがある。そして、その理由こそ個々の存在が無意識のうちに育むエゴにあるのだ。排他性という名のエゴ。

大いなる意思を具現化させるためには、一人だけの力ではどうにもならない。何かを成すには、集団や組織の力が必要となる。しかしながら、組織の健全性が損なわれれば、分解するか、カルト化するかのどちらかだ。
組織がカルト化すれば、もはや、そこにいかなる望みもありはしない。いかに強固な求心力を有していたとしても、一人の力では非力であるのと同様に、一つの組織で成し得ることなど、微々たるものだからだ。

結局、理想社会の実現には、思いをつむぐ行為が不可欠なのだ。互いが異質を認め合い、同じ目標に向かって手に手を取り合うこと。

にもかかわらず、排他性によって互いが異質を排斥し合っていたのでは、いかなる事業も成し得まい。つまり、異なるイデオロギーの糾合と調和こそ肝要であるということだ。小さくは夫婦からはじまり、組織、国家、宗教へと、愛の名において互いが結びつくことだ。
愛という合言葉によって、異なる個性が手を取り合わねば、理想社会の実現は、いつまで経っても画餅のままであるだろう。