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祖父の祖父が大久保利通、祖父が吉田茂、そして父は――。ある政治家一族に注目すると、九州の原発がなぜ再稼働第1号かが見えてきます。

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(原発利権を追う 九電王国:上)
麻生一族と九電、結束脈々 
圧倒的な影響力

朝日新聞2014年04月22日
http://news.asahi.com/c/aey7bS6Ilhj3xwaD

 高祖父は大久保利通、祖父は吉田茂。華麗な政界家系に生まれた麻生太郎副総理兼財務相(73)には、あまり知られていないもう一つの家系がある。実父が九州電力の初代会長なのだ。

 福岡県飯塚市で炭鉱を営んでいた父・太賀吉(たかきち)氏が九電会長に就任したのは、吉田首相がサンフランシスコ講和条約に調印して戦後日本が新たな一 歩を踏み出した1951年。この年、九州では二つの電力会社が統合して九電が誕生。指導者として財界実力者の太賀吉氏に白羽の矢が立った。

 それから63年、第9代九電会長として九州財界に君臨してきた松尾新吾・現相談役(75)が、現在の麻生氏の後ろ盾になっている。

 今年3月29日、博多湾を見下ろす福岡市内のホテルで、麻生氏が地元で年1度開く政経文化セミナーが催された。1200人がひしめく会場で主催者として登壇したのは松尾氏だった。

 チケット代1万円。飲食は一切なし。「そのかわり頭と心にたっぷりの栄養をもたらします」と、松尾氏は笑いを誘った。麻生氏は続いてあいさつし、アベノミクスの実績をアピール。降壇後、最前列に座っていた松尾氏に真っ先に歩み寄り、その手を握った。

 福岡県内の議員や首長に加え、九電子会社や下請けの幹部が会場に詰めかけていた。その一人は「麻生さんに『早く原発を再稼働させて』と頼んでおいた」と記者に言った。別の会社幹部は「チケット10枚ぐらいは買った」と明かした。

 麻生氏は初当選する39歳まで父らが築いた麻生グループの中核会社で社長を務めていた。元側近は、政界のプリンス・麻生氏の別の顔をこう明かす。「経営や商売に精通していて財界人とのつながりも深い、という絶対的な自負がある」

   ■    ■

 麻生氏の事務所によると、麻生政権が総選挙に敗れて自民党が下野した翌年の2010年、松尾氏は麻生氏側の要請でセミナー主催者となった。九電は「個人 として就任している」というが、地元では「九電社長、会長を歴任した松尾氏に依頼すれば『オール九州』の支援が得やすい」(地元議員)と言われる。

 九電は電力業界で東京・関西・中部の3電力に次ぐ規模だが、九州での存在感は圧倒的だ。東京商工リサーチによると、九州・沖縄に実質上の本社を置く企業 を売上高で比べると、九電は調査開始から12年度まで36年連続でトップ。JR九州に比べ従業員は1・4倍の1万3千人、売上高は4・5倍の1兆5千億 円。地域独占で得る電気料金を設備投資やグループ会社86社に流す。建設業など地元経済への影響力は絶大だ。

 約960社で作る「九州経済連合会」(九経連)の運営費や人員の多くを負担。九経連会長職は創立以来、松尾氏まで7代続けて九電会長が務めた。

 国会議員に資金提供してきた九電元幹部は「原発推進に協力し、官庁に圧力をかけてもらうのが目的」と明かすが、麻生氏への期待はそれにとどまらない。

 2011年の原発事故後、今度は窮地の九電に麻生一族が手をさしのべる。

   ■    ■ 

 佐賀県にある玄海原発の運転再開を巡る「やらせメール問題」が九電を直撃し、松尾氏は12年に会長辞任。13年には九経連会長も退いたが、後任選びは引 き受け手がおらず難航した。その座に九電出身者以外で初めて就いたのは、麻生氏の実弟である麻生泰(ゆたか)・麻生セメント社長だった。「いざという時に 九電と麻生一族は手を結ぶ。これほど固い政財界の結びつきは東京や大阪ではありえない」と麻生氏の元側近は話す。

 自民党と電力会社が結束して地域を掌握する。九州は特にその岩盤が強い。

 鹿児島県にある九電川内原発が再稼働第1号に有力視されていることについて、麻生氏は18日の記者会見で「地域における電力会社への信頼は高い」と胸を張った。九電が「原発復権」へのブレークスルーとなるのは、圧倒的な「地元掌握力」と無縁ではない。

 その実態を探りに取材班は薩摩へ向かった。

(この連載は野口陽、堀内京子、村山治、板橋洋佳、市田隆が担当します)



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