2010-10-12 06:01:55

「悪人」

テーマ:映画

asahi.com(朝日新聞社):女優賞に「悪人」の深津絵里さん モントリオール映画祭 - 文化 このエントリーを含むBuzzurlこのエントリーを含むBuzzurl

深津絵里さん、おめでとう!でも、ほんとは、妻夫木聡くんにあげたかったな。女優賞じゃないよ。男優賞だよ。


善人未踏 あくなくたたかう 悪い人

 深津絵里さん、おめでとう。映画「悪人」でモントリオール世界映画祭の主演女優賞を貰ったんですね。確かに好熱演でした。妻夫木くんとのセックスシーンなんか。でもね、海外の映画賞では難しいかな、賞狙いは。そう思わせながらも、もっと評価したいのは、その妻夫木くんなんすよね。
 タイトルの「悪人」は、彼、妻夫木くん演じる清水祐一。でもね、本当に彼、悪人なのだろうか。そう思ったら、もう、この映画を観ただけの価値あり。そう、確かに殺人はあかん、そう思うけれど、実は、現代社会、殺人を犯すか犯さないか、紙一重であることが、この映画で分かります。
 殺した人間が加害者で殺された人間が被害者、それは当たり前です。でも、この映画で、おそらく、そんな加害者と被害者を簡単に割り切って、定義づけできるか、疑問に思えてきます。でも、社会のルールを最優先する治安国家の犬たちと、それを盾に話題福利のために個人を潰しにかかるマスコミの豚たちは、彼らのためにもっともっと迷えることになる羊たちを食い物にします。
 この言い方、この映画を観て共感していただける方は、必ず分かっていただけると思います。
 妻夫木くんの最高の演技は、確かにクライマックスにもありますが、実はもっと前に静かな好演があるんですね。
 深津絵里演じる馬込光代を無断欠勤させてのデート、お互いが本気だったことが分かったんですね、昼食の場面で、唐突にも喋り始めるんですよ。自分の犯した業を。すると、まるで堰を切ったかのように、どんどんと吐露していきます。申し訳ないですが、涙がガンガン流れてきて止まりませんでした。この場面での評価は海外ではないでしょう。ああ、日本人しか分からないかもしれない、そうも思いましたが、彼が誰にも喋れないことを喋り始めたシーンこそ、私にとって最高の演技だと評価したいんですね。
 そして、当然クライマックスで、警察が二人の居場所を突き止めます。もちろん、一旦は自首しようとした清水祐一を引きとめ二人だけの旅に出ることを誘った馬込光代が「私が悪かったん」そう言います。それはそれで、ステキな主演女優賞としての台詞です。でも、その後に、彼がとった行動、警察が二人の最後の砦に入り込むとき、彼は敢えて彼女の首を締めようとします。そのシーンに、また涙が流れてきます。彼がそんな行動をとることがいたく分かるからです。大切な人こそ、大切にしたいがために最低限でも後の幸せを願えば。そんな行動なんですね。
 伏線で、これまたステキな役者が二人います。一人は、生みの親に捨てられた後、ずっと彼を育てた母親のような存在の祖母、清水房江を演じる樹木希林。ずっとマスコミの心無い押しかけに対し無視を決め込んでいた彼女が、最後に頭を深く下げます。世間に、世の中のルールに、さらにはマスコミの横暴にも或る意味屈服せざるを得ない、そんなシーンが重なります。そして、も一人、殺された女性の親父さん石橋佳男である柄本明。被害者は彼の娘です。かけがえのない娘です。彼は、社会のルールやマスコミとは別に真相を探ります。そこで浮かび上がる、加害者の清水祐一ではない、もう一人の或る意味、悪人を作り上げる側、現代人の典型、人を人と思わず平気で彼女を蹴り飛ばし、その親までも蹴り飛ばす大学生を突き止めます。
 私たちは、単純な構図かもしれませんが、悪人の彼と、彼を悪人となる行為に至らしめた彼女、そして彼女を振り回した彼、そんな三角の構図の中で、一番の被害者は誰だったか、そう問いかけています。
 そう、その恐らく誰もが一番の被害者である人間が、ここで悪人のレッテルを貼られるわけです。被害者の彼女も、被害者と加害者を作った善人面で人を人とも思わぬ上っ面で偽善者ぶって生き続ける大学生も、実は悪人を作った張本人であるのですね。そんなところへメスを入れるのは、実は社会でもマスコミでもなく、知らず知らず娘のことを思いながら真実を知ろうとした父親の行動を追うことができて、私たちにも理解が及ぶんですね。
 現代社会の中で、人間関係とは愛情までも損得勘定になっている時代、本当に大切な人に気づくことができない、もうどうしようもない時代に入ってしまったのでしょうか。そういえば、私もよく、昭和人間だよね、などと馬鹿にされます。しかし、そう述べる人間が、実は、平成という時代は、もう、この映画みたいな人間関係しか築けないとすれば、私は昭和人間でいいです。
 でも、そう言いながら、時代に遅れないがために、時代に迎合するために、上っ面の偽善的生きかたしかできない大学生の彼と、私も五十歩百歩かもしれない。そう思うと、あかん、旧くてもいい、時代に流されない自分を持っていたい。
 男どもによくある学習できないおじんというのも、あかんとは思うけど、かと言って、女性によくある新しい時代にマッチすることでいつまでも若者魂を是として疎外創造者の一翼を担ってしまうおばん軍団というのも、これは、もっとあかんと思うのですよ。

 善人なおもて往生をとぐ いわんや悪人をや

そんな言葉を思い出したけれども、いや、それとは違うのかもしれませんですね。というのは、

 悪人なおもて往生をとぐ しかして善人はむり

じゃあ、なかとかね、なあんてね。
 監督は「フラガール」の李相日。脚本も原作の吉田修一とがっちり組んでますね。いいですね。

posted by Buzzurl[バザール]

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