2008-04-01 21:34:01

陰日向に咲く

テーマ:映画

巻き戻し 再生しましょ 桃の記憶 



 この映画、桃の木と桃の缶詰、これが鍵かもしれませんよ。なあんて言うと言い過ぎかな。でも、一人目の本当のお母さんが気にしていたのは、桃の缶詰じゃなく桃の木の前での記念写真。でも、その母の病室で「桃の缶詰が食べたい」と勘違いした息子シンヤ(岡田准一)は、公衆電話からのリダイヤル違いによる出会いからケンイチになりすましのアドバイス。そう、二人目のお母さん(あえて、そう呼びますね。一人住まいの彼女の大家さんの冷やかな態度にシンヤが怒鳴り散らす場面、感動しちゃったから)に大切なのは、亡き息子からの咳を治すアドバイス、桃のカンヅメ。
 劇団ひとりの原作による「一人じゃない」っていう映画。みんなみんな一人で孤独のようだけど、繋がってるんだよ。ということで、ちょっと強制連関っぽい人間関係を目論みすぎな気もしないではありませんが、そこは運命というもの、まあ、ありえなくはないでしょう。
 先の二人目の母、間違い電話で母子関係のお母さんは、かつてシュールなヌーディストだったジュピターさん(緒川たまき)。彼女にホの字でひとえに同じ小屋のコメディアンの道を選んだ雷太(伊藤淳史)と、彼を想ってコントの相方を志願する鳴子(寿子の母。どちらも宮崎あおい)。そして、ほら吹きカリスマ浮浪者のモーゼ(実は・・・内緒。西田敏行)と彼を心酔し浮浪者入門をするシンヤの父のリュウタロウ(三浦友和)。みんな陰日向に咲く花たち。実はネタバレになるから先にもカッコ内で内緒にしたけれど、モーゼとジュピターと鳴子の結末にも、シンヤの家族関係への再生の前に、これも素敵な涙と感動が用意されています。
 そして、強制連関する中、まったく伏線として彼らに交わることなく描かれていることで、ある意味、ほっとした関係。それは、25歳の崖っぷちアイドルみゃーこ(平山あや)、そして彼女を一途に応援するアキバ系アイドルオタクのゆうすけ(塚本高史)。いやあ、これもいいじゃないですか。かつて手渡せなかったささやかな花束をやっと手渡すあたりなんか。
 そうです。「一人じゃない」って言えば、それでおしまいなんだけど。みんな一生懸命生きながらも、うまく行かないんですよね。思い通りに生きられる人なんて、なかなかいませんね。みんな、すれ違いや勘違いや、ボタンの掛け違い、思い思いの想いが錯綜するんですよね。桃の木が桃の缶詰に。でも桃の缶詰から、また何かが生まれる。
 ギャンブルから足が洗えず借金まみれのシンヤ、そして母寿子の思い出を辿る鳴子、この二人の出会いは、台風の接近と相まって、どんな掛け違いであっても縁結びのお守りに象徴されるかのごとく、擦れ違うはずの彼らの人生が、不思議な縁の渦に巻き込まれ絡み合っていくんですね。風に舞ってあちこち導線を描いて飛ぶ黄色い傘も印象的。
 桃の木や桃の缶詰や、たくさんの鍵となるモノがジグソーパズルのように用意されていました。でも、私たちは、そうしたモノに気がつかずに、気づいても勘違いしたまま真の心に触れ合うことなく通り過ぎるように生きてしまっているのかもしれませんね。傷つかないように、壊れないように。こわれものはダンボールの中?
 この映画で、こわれものになった桃の木の前での記念写真を修復するように、そして、もう一度、桃の木の前で改めて記念写真を撮ろうとするように、こわれものになりつつある自分の記憶と記録を再生して見なくちゃいけないなあ、しみしみとそう思いました。


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コメント

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2 ■咲太郎~歌キチ~さま

>人間関係のつながりは出来すぎの感はありますが、

確かに出来すぎくんかも。でも、

>この映画のように、実は私たちの人生も複雑に絡み合っているのかもしれませんね。

そう、そう思うと、人の繋がり、心の奥の思い、胸にしみます。

1 ■こんばんは!

TBありがとうございます。
人間関係のつながりは出来すぎの感はありますが、登場人物の内に秘めた想いが明らかになるシーンには思わず涙してしまいました。
この映画のように、実は私たちの人生も複雑に絡み合っているのかもしれませんね。
気付かないだけで・・・。

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