2008-03-06 15:46:43

ライラの冒険 黄金の羅針盤

テーマ:映画

Variety Japan | 視覚的には豪華、だが論調的には冷たい冒険物語 このエントリーを含むBuzzurlこのエントリーを含むBuzzurl


世界観 消化不良で ハイ!つづく



 確かに、予告からも「ライラの冒険」シリーズの第一章としての予感、そして冒頭でも三部作の第一弾という断りもあったけど、この終わり方はどうでありましょう。「何これ、ずっこいじゃん」は、一緒に観に行った相方がエンドロール中で耳打ちした言葉。私も、確かに「ずっこい」と思いました。
 なるほど、オリジナルティ溢れる深淵な世界観なんだろうね。そして、ユニークかつ魅力的なキャラクターの数々。でも、それに対する大胆不敵にして深い哲学的テーマ性が匂ってきません。あのダイモンなるユニークな存在は面白い。もともと、ギリシア人の霊魂観にある守護霊、ダイモンあるいはダエモン、デモンからのインスピレーションなんでしょうね。
 人間ってえのは、日頃の何気ない行動から人生を大きな分かつターニングポイントまでも含めて、その半分以上は背後に憑く霊により動かされていると考えられていたのであって、その霊には人を善行に導く「善霊」アガソダイモンと、破滅に誘う「災霊」カコダイモンの二つがあるとされてたそうな。かの古代哲学者ソクラテス殿にも、自身にアガソダイモンが宿り、正しい道へと導いていると語ったそうな。ほんまかいな。
 ところで、この二つあるはずの霊、ギリシア語に翻訳される際に天使を表わすヘブライ語「マラーク」の訳語として最も相応しいはずのダイモンという単語を用いませんでした。単なる使者の意味を差す「アンゲロス」にしてしまったんです。故に、後々キリスト教でカコダイモンの災霊の側面のみが伝播、悪鬼を意味する「デモン」の意味のみが定着してしまったのだそうな。
 まあ、それはともかく、このダイモンに関しては、「ライラの冒険」の宣伝にも用意周到に使われてて「あなたのダイモンは?」なんて、私もやってしまったけど。このブログのここを参照




 さて、先にも述べたオリジナリティ溢れる世界観やユニークなキャラクターは、うんうん確かに、と頷けはするものの、大胆不敵にして深い哲学的テーマ性に至らないのは、三部作の全編を通して紐解いてやろうとする製作者の魂胆があるからではないでしょうか。だから、今回の映画のみで評価すると「ユニークだけど、なんと納得させられぬ勝手な世界観」となってしまうのです。製作者が「そうじゃないんだ」と反論しても「じゃあ、その心は・・・」というと、おそらく製作者は「シリーズ最後まで観てくれれば」となる。私たちは「ライラの冒険 黄金の羅針盤」を最後まで観たのですよ。しかし、製作者は「途中だ」と言うんでしょう。それでは鑑賞者にとっては連続テレビドラマではないですか。いな、連続テレビドラマでも、一話一話に観るものの心を動かす完了形感動が用意されていますよ。
 かつて「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を観たとき(あれは、もともと1作品で終わる予定が好評であとからシリーズにしたと言われているけど)は、3本のどの一つをとっても満足させられる作品に仕上がっていました。ジョニー・デップ主演の「パイレーツ・オブ・カリビアン」では、2作目の「デッドマンズ・チェスト」のラスト、確かに3作目の「ワールド・エンド」への予告、引きずりは見られましたが、それなりに一話ずつ楽しめました。
 この「ライラの冒険 黄金の羅針盤」においては、ニューライン・シネマか何か知りませんが、せっかくワクワクしながら、オリジナリティ溢れる世界観やユニークなキャラクターを楽しまさせていただきながら、深い哲学的テーマ性の出し惜しみ、「また来てね、次を見てね」のラストに、私たちの「何これ、ずっこいじゃん」の一蹴りで劇場を退出しなければならないんです。
 私は、ダイモンもダストも、ニコール・キッドマンやダコタの役柄も、みんなパラレルな世界における深い哲学的テーマの予感がしたから期待して観に行ってるのですよ~(叫び)。安直な羅針盤とクマさんや魔女さんたちの戦いだけを楽しみにしていたんと違うのよん。みんな「こりゃあ次回も観なければ」なんていう気持ちに素直になる人も多いでしょうけど、いかんわ、私は最終章だけ観れば済むんじゃないの? そう捻くれて思ってしまいました。
 監督脚本のクリス・ワイツ曰く、「映画市場で、日本は米国に次いで2位。つまり、重要なマーケットだとみている。だから、『ライラの冒険』が成功したかどうかの判断に、日本の興行成績が大きく影響する。私としては、完成度に満足しているが、日本の観客がどれだけ受け入れてくれるか、今はその答えを待っているところだ」。そうですか、完成度に満足されてるんですか。
 それにしても、あの「黄金の羅針盤」も、予告ではもっと意味深に思えたのだけれど、「あれだけのことか」と結論付けてしまいたくなりました。「そうじゃないんだ、次回も観てね」という製作者の台詞に、私は、観客ってえのは鑑賞後どんな気持ちになって劇場を出ることができるかなんだよ、次回作までじっと劇場内で待ち続けるわけじゃあないんだよ、そう声を大にして言いたいんです。某配給会社の辟易するほどの大量プロモーション攻勢による集客展開が、この中身では余計に鼻を突いてしまいます。
 あなあわれな、あの黄金の羅針盤、ダコタが手にする必要性もなし。むしろ、いつの間にか背中をドンと押され入場した私たち観客たちに用意すべきものではなかったでしょうか。
 で、ついでに、もう一句。


 ダコタより 観客に示せよ 羅針盤 


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コメント

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6 ■しゅぺる&こぼるサマ

>かなりずっこい終わり方でしたね。

でしょでしょ、ずっこいでしょ。

>でないと、映画化の意味ないじゃん・・・

そうなんですよ、映画の意味ないです。
テレビかDVDの連続ドラマじゃないと、映画ファン裏切りかも。

5 ■そうですね

かなりずっこい終わり方でしたね。
わたしは観た直後は素直に「ああ続きが観たいな」なんて思いましたが、よくよく考えてみれば単体としても満足いく形で完結して欲しいですね。
でないと、映画化の意味ないじゃん・・・
原作はとても面白い!ぐいぐい読んじゃいます。

4 ■きらりサマ

>あからさまな“つづく”はすっごかったですね

でしょでしょ、ですよね、ですよね。もう、ずっこいんですよ。
第一作というより、これ序章? これ見逃して次回作から観ても問題なかったりして。

3 ■とんちゃんサマ

「ずっこい」は「ずるい」のことです。
ずるをこく、から来ているのかなあ。
ひょっとかして、ずるいが濃いのかも。

>確かに「ずっこい」映画ですよね!!

ですよね、ですよね、ですよね。ずっこい、ですよね。終わりで、「これから」はないですよねえ。

2 ■まったく同感!

あからさまな“つづく”はすっごかったですね(笑)“さぁいよいよ冒険が始まるぞ!”って終わり方はどうなんだろう(´-`;)あくまでプロローグな第一作なんでしょうけど。これじゃ良いも悪いも言えないですねぇ(´ω`)

1 ■こんばんは~♪

いつもTBでお世話になっているとんとん亭のとんです。
コメントするのは初めてかも?(二度目かも・・・まぁその辺はいいですね^^)

「ずっこい」とは・・・?「するっこい」って意味ですかね?
うちの田舎ではズルイを「ずるっこい」なんて言ったりします^^
あたってなかったらごめんなさい。

あたってたら、確かに「ずっこい」映画ですよね!!
私は3部作である事を最後まで知らなかったんですよぉ・・・お馬鹿にもほどがあるけど
冒頭で、そういう説明ありましたっけ^^;?
う~ん、見逃しました。
なのでラスト近くで、どうやって完結させるのかなぁ・・・と不思議でした。
そしたら「これから冒険がはじまる・・・」な~んて
嘘~~でした。
また次も観なきゃいけない・・なんか面倒臭いのぉ~これが本音です(笑)

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